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持続可能なまちづくりの、シンプルな方程式(前編)

こんにちは!
生き方共創コミュニティ、こくりな(Co-Creation Nagano)です。

コロナウイルスの蔓延をきっかけとして、働き方や生活様式が多様化している昨今、「本当はどう生きたいのだろうか?」と生き方を見つめなおし、新たな挑戦をしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
そうやって新しい生き方を模索している人たちが長野県辰野町に集まっているらしいとの噂を聞きつけ、その立役者の1人、辰野町職員の野澤隆生さんにお話を伺いました。

「新しい生き方を見つけたい」
「理想の生き方に向けて一歩を踏み出したい」
そう思われている方は、ぜひ読んでみてくださいね!

野澤隆生(のざわたかお)さん 
辰野町 産業振興課 商工振興係長 兼 企業支援係長 兼 地籍調査係長
長野県上伊那郡辰野町出身。小中高を静岡市で育ち、大学を卒業後、2001年に辰野町役場に入庁。産業振興、まちづくり政策など各課を担当し、現職。プライベートでは、日本中のグルメ・温泉巡りや、移住希望者向けの町内ガイドのほか、趣味であるサーフィンをしに太平洋へ、釣りは日本海に日帰りで赴く。

ー いつも誰かと町に出ていて、席にはいない人。公務員の一般的なイメージとはかけ離れた印象を持つのですが、なぜ公務員の道を選んだのですか?

もともと民間企業の就職活動もやってて、公務員は考えてなかったんだよね。
でも就活の過程で気づいたんだけど、民間企業は利潤を生むために素直に良いと思うことが出来ずに無理することもあるなって。
目の前のことで利潤を生まないといけないから、本当にいいなと思ったことを素直に行動に移せないこともある。
でも公務員は短期間では利潤を生まなくても20年後30年後を見据えて仕事ができる。
だからクリエイティブ人材は公務員があってると思うんだよね。
実際になってみても思うけど、公務員って面白いよ!

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いつも飾らず自然体で接してくださる野澤さん


ー まちづくりや移住定住に関わるようになったのはいつからですか?

2015年から。
移住してもらうことだけを目的にしていたわけではなくて、その人の状況に応じて観光だけでもいいし、観光以上移住未満でもいいと考えてた。
そういうグラデーション層がいてもいいじゃないかって。
グラデーションがあることで、様々な価値観を持つ人が集まって、外から来た人も自分のグラデーションに合ったリアルが聞けるんだよね。
でも当時はそういう関わり方を表す「関係人口」って言葉もなくて、移住してもらわなきゃ意味がないじゃないかって周りからは言われてた。


ー 共感者がまだ少ない逆境の中、どのような取り組みをしていたのですか?

移住定住促進協議会の予算が1年間で15万しかなくて。
僕が来る前は移住定住セミナーとか町と同じようなことをやってたんだけど、空き家のDIYに特化した。
辰野には空き家がたくさんあって、地域の人たちはそれで困ってる状態。
ボロボロで家財道具もそのままだし、少し前までおじいちゃんが寝てた布団がそのままとか。
そういう状態の物件は安くて不動産会社も儲からないから手をつけなくて負の遺産として扱われるけど、うちらはそれが地域資源であり豊かな余白だなと思って。
自分たちで片付けから床直したり壁貼ったり、DIYをするんだけど、そこで地域の人との関係性もできちゃう。
今ある地域資源を最大限生かして、お金をかけずに人の力、コミュニティの力でなんとかするって考え方かな。

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現在DIY中の空き部屋。年内に事務所としてオープン予定。

もともと普通の不動産会社は扱わないような物件だから、めちゃくちゃランニングコストは安くて、最初の物件の賃料は1カ月1万円。
お店をやるにも10倍の賃料だったら賃料に応じた売上を出さないととやっていけないけど、これなら気軽に始められる。
ランニングコストが安いからこそ、多くのお客さんを呼ぶ必要はなくて、ひとりひとりゆっくり丁寧に接客ができて、人間関係が生まれる。
利益が確保できて、豊かな時間や場所もある、これはいいぞとなって二号物件にも取り掛かっていった。
元々DIYした物件はモデルハウスにするというのは条件にしていて、一つの物件から次の人が集まって、その次…と人を呼び込んで増えていったんだよね。

そうしてカフェができて、ゲストハウスができて、そこが人を呼び込むからあえてコミュニティスペースを作らなくてもよくなったんだよね。
コミュニティスペースよりもその方が持続可能だと思う。
くだらない会話とか雑談ができる余白があるからこそ、その場所が案内所みたいになって次のハブになる人を紹介することもできるし、勝手に脳のシナプスみたいになっていくかんじ。
そんなシナプスがめちゃくちゃ生まれてるんだよね。
それはなんでかっていうと、みんなこの地域が好きだから。
この地域が好きな人同士が集まっていて、そんな1人1人がお互いのことも好きで、地域ってイコール人だから、次の人を紹介したいと思えるようになる。
そんな流れが自然に生まれるような状況を作ってる。

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最初にDIYを行った、カフェ「農民カフェあずかぼ


ー なるほど…余白を生かす取り組み、目から鱗でした…!
DIYの取り組みの影響もあって辰野には様々な人が訪れると思いますが、どういう人がどんなきっかけで来ているのですか?

最近は首都圏大企業に勤めてたけど辞めて辰野、って人が増えてる。
ふつうはまず生きていくための仕事を見つけてから、次に好きなことをしようと考えるけど、辰野は逆。こんな生き方をしたいなと思って辰野に来て、やれるとは思ってなかったことも始めた結果、仕事が10個になってる、って人もいるくらい。
仕事が10個あればもし1個なくなっても安定してるしね。
大企業に勤めてるとめちゃくちゃ稼いで、でもめちゃくちゃ使って、可処分所得は少ない、可処分空間は小さい、可処分時間も少ない…ってなんなんだろうって悟りを拓いたような人も多い。
牧歌的な感じで逃げてくるってよりは自分のやりたいことをしたいと思って来る人が多いね。
やりたいことがなくて辰野に来て見つける人も多いけど、それは余白があるから。
空間的余白も時間的余白もあるから、何やろうか、ってなる。
余白があることで眠ってたやりたいことを目覚めさせる、そういう場所だなって。

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【編集後記】
終始にこにこと楽しそうにお話をされる野澤さん。
公務員のステレオタイプを見事に打ち壊し、むしろその面白さと可能性を感じさせるお話に、その場にいた一同が惹きこまれました…!
余白のある辰野町には、都会にあるものはなくても、都会にない余白から生まれる豊かな暮らしがあるのかもしれない、そうひしひしと感じ心を動かされました。
この後も興味深いお話が続くのですが、今回はここまで。
後編では辰野町に移住してきた方々の具体的なエピソードや、辰野町と野澤さんのこれからについてお伝えします。
後編もお楽しみに!

聴き手:神原沙耶
書き手:松永圭世
写真: 齋藤海月

1月10日(祝)10時~17時 入退場自由 たつの×こくりなMeetUpイベント

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
「辰野町や、長野に興味をもった!」
「地域の関係人口になってみたい!関わり方を模索したい!」
そう思っていただいた方は、22年1月10日(祝)に辰野町×こくりな共催イベントを行いますのでぜひいらしてください^^
(画像をクリックすると、イベントページに遷移します)

こくりなFacebookイベントカバー

辰野町への「関わりしろ」がオープンにされる場ですので、
ちょっと覗いてみるだけでも、ぜひ気軽にいらしてくださいね♪

後編につづく・・!



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