マガジンのカバー画像

ありがちなRPGの進め方

22
『古典的なRPGの進め方』https://note.com/cocotwlz/m/m4cbff8bfa041 と同じ世界観、違うキャラクター達のワンシーン集。
運営しているクリエイター

#800字SS

私だけはあなたの思い出にいない

「アレックスの好きな花ってなに?」 見上げた横顔は一拍遅れてこちらを向いた。目つきの悪い…

譲原
3年前
2

はじまりの言葉を今も抱いていた

森の中でも敢えてろくに整地されていない場所に飛び込んだのは、少しでも敵を撒けないかという…

譲原
3年前
1

自由の先は無い、それでも自由でいたい。

「『冒険者なんて先のないこと、いつまで続けているの?』」 セルマは隣の相棒をちらりと見た…

譲原
3年前

君と歩いていきたい道がまだある

「アレックス。あれはなに?」 少女が指差したのは、中央の広場。噴水が吹き出している側で、…

譲原
3年前
1

葉擦れには負けないたった一つの単語

「あなたは私の名前をよく呼ぶわね」 探索の途中。暇つぶしにと切り出した雑談の一言は、思っ…

譲原
3年前
1

空と草原のその先を

「ヴィーは将来、とびきり美人になるよ。僕が保証する」 金糸が混ざる、若草色の髪。蜂蜜を溶…

譲原
3年前
1

喧しい二人は仕舞われた

「……買いすぎです」 「……反省してます…」 長身の男女。男は責める調子で、女は落ち込んだ様子で並んで街中を歩いていた。二対の手には冒険者の格好にはあまり似合わない大きな包み。 長身だけれども華奢な女には荷物は大きく、身体の横の直径より荷物のほうが幅をとっている。 いつもなら見かねた相棒が荷物持ちを代わるのだが、その彼も今は同じく大きな包みを抱えている。これ以上の荷物は持てない。 元より、今回は彼女の自業自得なので、早々手を貸すつもりもなかった。珍しくため息をついて、カーティ

雨夜に君がいるところ。

「…そろそろ大きな木を探そう」 「木?」 森の探索途中、頃合いを見計らった口調で提案したア…

譲原
3年前
1

街角で相談した話

「妹さん?」 「お弟子さん?」 彼女と歩いていると、よくこの二つが挙がってくる。残念ながら…

譲原
3年前
1

強くなりたい話

「早く強くなりたい」 それは嘘じゃなかった。 朴訥とした小さな村。羊飼いの家。見晴らしの…

譲原
3年前
2

回復の話

「お疲れ様でした」 盾の陰に隠れて座り込んだ俺に、セルマが水を差し出してくる。清浄な水。…

譲原
3年前
1

依頼受注のコツの話

「……まだかかるか」 「あとちょっと」 王宮直属案内所の掲示板前。情報量の多さから何かと便…

譲原
3年前
2

魔法の効果範囲の話

「ヴィー」 「なに?」 仕留めた獲物を解体し、充分な処理をした後どうぐ袋に収納した二人は、…

譲原
3年前

関係性に名前を発見した時の話

「はいどうぞ。おまちどうさま」 お店の前。ぼんやりと待っていればジュースを二つ、差し出された。 小銭を払って、引き換えにジュースを受け取る。少し前にここを離れた彼が戻ってこない。仕方がないので少し脇にずれて、店の横でジュースを飲みながら待つことにした。 「お連れさんは兄妹?」 手持ち無沙汰なのか、店番をする奥方はニコニコと世間話を振ってきた。 その言葉に首を傾げて、私達はどういった関係性なのだろうかと思いを馳せる。 彼──アレックスは優しい。 それがどういう優しさなのか、その