街角で相談した話

「妹さん?」
「お弟子さん?」
彼女と歩いていると、よくこの二つが挙がってくる。残念ながらどちらも違う。
では何か。これには困ってしまう。幸い彼女が隣にいた時にそこまで聞かれたことないので、ずるずると頭の隅に追いやっていたが、その自問が居残っていたのも確かだ。だからだろうか。

「あんたはその子に何を求めてる?」
街の一角、小さな椅子に座って、占い師に相談をしていた。
大抵の占い師は通りすがりの相談役みたいなものだ。魔法の一つである『占』を使っているのは滅多に見ない。相手の悩み事に耳を貸し、助言をする。とはいえそんなに仰々しいものでもなく、責任はとらないけどこういうのはどうか、などの提案だ。
一人ではうまい答えが出ないと悟った俺は、一時ヴィーと別れて、見知らぬ他人に悩みを打ち明けていた。
「人間関係は一方的じゃない。与えて、与えられてさ。ましてや旅の同行者なら大小様々に分け合ったりもするだろう」
「ヴィーに、何を求めて……」
自分よりいくつも年下の少女。場数を踏んで、戦闘時にも素早く弓を引けるようになった。よく笑うようになった。魔物の解体を任せるようになってくれた。
「別に求めてるものは…ない。多分。一緒に旅をしているのが楽しいから、彼女もそう思ってくれているといいとは思う」
「案外単純じゃないか。対等に共感してほしいんだろ」
「そうなのか?」
「さあ。そう聞こえただけだよ」
男なのか女なのか分からない。飾り気の無い平坦な声。フードを目深に被って、骨ばった指が机に伏せた鏡の縁をなぞる。
「占い師。君ならどうする」
「そうさなァ。……友と呼ぶかな」
「……友」
「そうだ。情熱も支配もなく、ただ対等に楽を共感してほしい。友が一番分かりやすいだろ」
占い師の言葉を反芻する。今までのどれよりも求めていた答えに近い気がした。
「ありがとう。君の言葉をしばらく借りていくよ」
「あいよ。良い旅をな」

(いいわけ)806字。削り過ぎた。占い師は無責任に口出してくる喫茶店のマスターみたいな感じです。
機会あったらリベンジしたい。

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