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Vol.5 アリスの日記

習作『アリスのための即興曲』というのを書いております。
もしよろしければ。

あらすじ

大学3年生の坂本は、華道の講師である祖母とふたり暮らしをしている。
ピアノを弾くことが趣味の、どこにでもいるような学生だ。
ある日偶然見つけたフランス語レッスンの張り紙を頼りに、彼は古びた洋館へと向かう。
レッスンを担当するのは、アリス・デュボワというフランス人の女性だ。
彼女はレッスン料を請求しない代わりに、毎回、不思議な頼み事をする。
坂本はアリスに惹かれながら、抗いがたく「兎穴」という闇の中に引きずり込まれていく…。

これまでと、これからのストーリー

Vol.1  兎を追いかけて
Vol.2  架空の街の洋館
Vol. 3 レッスン
Vol.4  ロマンティックなワルツとオットの侵入
Vol.5  アリスの日記
Vol.6  甘えん坊のピアノと、冷蔵庫の中のブルーベリー・ショートケーキ
Vol 7. 生まれたてのゴマアザラシ、あるいは中山伊織という女
Vol.8 天邪鬼な蛇
Vol.9 そこにいないアリスは物語を語る
Vol.10 ひかりとあまい泥
Vol.11  アリスの日記『わたしは自由をおそれはしない』
Vol 12  僕はまっとうな人間になれない
Vol.13 坂本、オットに会う
Vol 14  敵なんてはじめからいなかったのかもしれない
Vol15 虚構の家の幽霊


本編 Vol.5 アリスの日記

今日から 日本ごで にっき お かきます。
金よう日 おきゃくさんが 来ました。
ほんとうは おきゃくさんじゃなくて フランスごのせいと です。
さかもとさんは 大がくせいです。
21さいです。
せがたかいです。 
ゆびが きれいです。
さかもとさんは あまり はなしません。
でも やさしいですと おもいます。
たかゆきと どっちが かっこいいかな?
 
 
わたしたちは 1じかんくらい フランスごレスンお しました。
とても たのしかったです。
 
レスンのあと「お金はいりません」と わたし いいました。
さかもとさんは びっくりしたみたい。
だって、わたしは お金 ほしくないです。
おっとは お金もちですから。
 
さかもとさんは こまったかお しました。
だから わたしは 「お金いりません。でもピアノお  ひいてください」と 
いいました。
さかもとさんは ピアノお ひきました。
(たぶん Sévrac だとおもうね。日本ごで 「セブラク」かな?)
 
きれいな おんがく!
さかもとさんは すっごく すっごく ピアノが じょうず!
もっと さかもとさんの ピアノききたいけど、
たいふが 来たから かれはかえりました。
ざんねんだな。
 
わたしは、日本ご じょうずになりたいです。
日本人のともだち つくりたいです。
でも さかもとさんは ともだちなってくれるかな?
わかりません。
 
 
あ、たかゆきが かえってきた。
(今はよるの11じ。日本人は なんであんなに はたらくの?)
よるごはんお つくります。
今日は これでおしまい。
 


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