ノートに書かれた言葉は消えない。
雨が降っている。窓の外の空は色を失ったように、白とも灰色ともつかぬ曖昧さでのっぺりとしている。私がフランスに来てから三年と一か月が過ぎた。早いものだ。時は振り返らず進む。街ではハロウィンとクリスマスが、毛糸玉を追いかける子猫たちのようにじゃれながら追いかけっこしている。
先ほど、ゴミを出すついでに競技場まで散歩しに行った。遠くの空がほんのすこし青く、しかし小雨がシャワーのように降り出したので、あわてて帰ってきた。道中、無料で本を提供してくれる小さなコーナー(何と呼べばい