_ヘッダー写真_新__ゆく夏に穿つ

【あらすじ/登場人物紹介】

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■あらすじ

奥多摩の柔らかな自然に溶け込むようにたたずむ「奥多摩よつばクリニック」。ここは、医局での派閥争いなどの一切を嫌った野良精神科医、木内が都会の喧騒を避け、穏やかな日々を送るために建てたログハウス風の小さな精神科だ。

このクリニックには、他の患者やスタッフには知られていない部屋が存在する。「白い部屋」でひっそりと暮らす青年、裕明。彼は解離性同一性障害(多重人格)であり、「過去と秘密」を抱えながら生きている。

何も変わらない日々を望み続け、それが叶ったところで少しも満たされることのない人生。彼はかたくなに心を閉ざすことで、そんな自分を懸命に守ってきた。

ある日、クリニックに通院している少女、美奈子がちょっとしたトラブルから誰もいないクリニックのロビーに取り残される。

ほんの出来心から、クリニックを探索することにした美奈子。院内の奥にひっそりと存在していた、異様なまでに白塗りの扉、その向こうから、とある詩の朗読が、静謐な声で聞こえてきた。それは美奈子の傾倒する中原中也の「雪の賦」であった。美奈子は扉越しに、その声に聴き入っていた。

しかし突然、その声が途切れ、何かが割れたような大きな音がした。驚いた美奈子は思わず扉を開けて「白い部屋」へ足を踏み入れてしまう。

「運命」などと呼ぶには、あまりにもそっけない二人の出逢い。それでも、好きな詩人が同じだったこと、同じ詩を暗誦していたこと、なんてことない事情で最終バスを逃したこと、あらゆることを理由にしてでも、二人は信じたいのだ。それは間違いなく、お互いの抱く時計と傷とが、静かに交錯し始めた瞬間であったと。

■登場人物紹介

江口 裕明(えぐち ひろあき)
解離性同一性障害(多重人格)の青年。「白い部屋」で暮らしている。

高畑 美奈子(たかはた みなこ)
母親のネグレクトに苦しむ少女。詩集を読む間は孤独でないと感じられる。

多田 泰弘(ただ やすひろ)
かつて、ある一家を襲った殺人犯。その凶悪さゆえ死刑が執行された。

有馬 雪(ありま ゆき)
すでに色褪せて遠く去った夏に、自ら命を絶った少女。

木内 博(きのう ちひろし)
「奥多摩よつばクリニック」院長。裕明の「過去と秘密」を知る人物。

岸本 恵美(きしもと えみ)
木内のパートナーで奥多摩よつばクリニックの看護師長。料理上手。

小泉 メイ(こいずみ めい)
奥多摩のスナック「りんどう」のママ。美奈子と裕明のよき理解者。

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末筆になってしまいましたが、私が過去作品のリライトを決めたのは、note以外のSNSでの小説発表は(恐らく)今後しないこと、2019/11/24(日)の文学フリマには諸事情でどうしてもサークル参加できないこと、丹宗あやさんが企画してくださった「小説透明批評会」に参加して、改めて小説を書くことがとても楽しいと感じられたこと、noteで小説を連載することの可能性を模索したいことが理由です。

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