見出し画像

共感的理解/カウンセラーの基本的態度③2024ver.

傾聴を学ぶとき、まずはじめに教わるのは「カウンセラーの基本的態度」というものです。(ロジャーズの中核三条件)

カウンセラーの基本的なあり方、心構えとして日々意識してきたことを2024ver.として書き直しましたので
傾聴を学んでいる方は振り返りにご活用ください☆彡(三条件はひそかな人気記事です)


◆共感的理解とは
相手の主観的な見方、感じ方、考え方、受け止め方を、その人の立場に立って、相手の身になって、感じたり、考えたりしようとすること。

▶︎勘違いポイント
同情・・・相手と一体となったり融合して同じように体験する同情や巻き込まれた体験
共感・・・カウンセラー自身の主体はいつもカウンセラーに存在し、そして、クライエントの主体もいつもクライエントに存在している。

仲間とよく使う表現ですが、カウンセラーはクライエントの「鏡のように」存在し、クライエントが主体であること。
カウンセラーはあくまでクライエントを映し出す「鏡」でしかない。
カウンセラーの考えや感じ方はいったん脇に置いておき、クライエントが感じている世界を味わう。



ロジャーズは「共感とは、カウンセラーがクライアントの宇宙の中に無理なく入っているということである。
それは、《今ここのなか、今ここでの現在のなかにある、瞬間瞬間》の敏感性なのである。
それは、クライアントの私的な個人的な意味づけの内的世界を《あたかも自分自身のものであるかのように》感じることである。」と言った。

例えば、クライアントが崖から落ち、崖の中程に引っかかるように掴まっているとする。
するとカウンセラーは、崖の上から「そこへ掴まれ」とか「諦めるな」とか言って助言するのではなく、命綱をつけ、クライアントが引っかかる場所まで降りて、その内的世界を味わう。

同じ崖で、その高さを味わい、この崖をどのように這い上がるのかを共に考え、支援をするのである。



◆初心者はすんなりできる
傾聴を習い始めた人は、この不思議な「没入感」を体験することが多いのではないでしょうか。

これは不慣れなため、カウンセラーが全身全霊で聴いていることによるビギナーズラックと言えると思います。
カウンセラーを選ぶときに、ベテランだからいい、若いから・経験がないからダメというわけではないこと・・・
共感的理解ができているかどうか、というところなのかな?と思います。



◆慣れたころや、経験豊富な方ほど要注意
たくさんの話を見聞きすると似たような気持ちを感じたり、似たような話を聞いたり、たくさんの経験を持つようになると思います。
・・・が、クライエントが感じているものは唯一無二のもの。

カウンセラーのものさしを持ち出していないか。分かったつもりになっていないか。自分の興味で質問をしていないか。
話の主体はあくまでクライエントにあることを、よく確認しましょう。



◆分かったつもりで聞かれた体験談
体験1
家族の病気について、相談をしたことがありました。するとうちの○○も同じ病気だけど生きてるから大丈夫だよ!
と言われました。励ましたかったのだと思いますが、詳細を伝えていないだけで「同じ」ではないのです。

体験2
つきまといに困っている時期があり、住所が番地まで知られていたこと、はがきが届いたことを相談したところ
「誰でも知りうる情報」と言われたことがあります。店舗の番地ではなく、住民票上の番地で届いたから
恐怖を感じたのですが、説明をしたとしても、その「恐怖」を共有することはできそうにないと諦めたことがありました。

このような体験をした時に思うことってどんなこと?どんな気持ち?
もし、カウンセラーとして対応した相手にこのような我慢をさせては、もう二度と相談してくれないでしょう。



◆分かったつもりで聞いた体験談
体験1
介護の話を聞いて「こういう気持ちだろう」と安易に考え、「~ということですか?」と問いかけると
違う!そうじゃない!と言われたことがありました。

同じように「違う」と言われたこともありますが、その時はクライエントの言葉を伝え返しして
その上で違うと言われたので「本心とは違う言葉が出てくる状態」と思うことができますが
クライエントからの情報がないまま、私の想像で推理するのはよくないですね。

体験2
話が見えてこないクライエントに対し「事柄」の伝え返しのみで済ませておけばよかったものを
もう少し感情に触れたいと思って「~という気持ちで○○したんですか?」と問いかけたところ
相手に「話を操作された」と感じさせてしまいました。

「話が見えてこない」と感じた時点で、クライエントとカウンセラーの距離がとても離れている
ということが分かったはずなので、無理に話を進めずにスタート地点からやり直して寄り添うことが
必要だったと思います。

自分とは全く違う考え方・感じ方を持つ人と、同じ気持ちを共有するためには
「聴いて教えてもらう」ことに尽きると思います。



◆「共感的理解」のために必要なこと

1.基本的な技法を忠実に
「伝え返し」の技法で、うまく話せなくなるクライエントもいますが
やはりクライエントと離れないよう、そばに立って気持ちを感じていくうえで
基本的な技法かなと思います。

「要約」は伝え返しをしていくうちにカウンセラーがクライエントの中に感じたこと
をお伝えしていくのであって、「予測」や「先読み」してお伝えしてしていくものではないこと。
これらは基本中の基本なので、謙虚に使っていくことが大切かなと思います。

2.自分の中の価値観を見える化する
どうしても相手の話にフィルターをかけてしまうことがあるので
自分の思考のクセを知っておくことはとても大切です。

「あれ?」と気付くこと、違和感を「見える化」すること。この繰り返しです。


▼2020verより抜粋▼
クライエントの経験と似たような経験を持っている場合、同一視しないことが重要になる。
同じ経験をしたとしても、クライエントにとってはこの世でたった一つの経験だということ、感じることは人それぞれだということを頭に入れておくこと。
とはいえ、その経験を隠す必要はなく、ラポールが十分に形成されている場合には、カウンセラーの自己開示として話すことは有益になることもある。
(この人なら分かってもらえるかも・・・)といったような。大切なのは、相談者中心であることを忘れないこと。

全く想像もできないような経験であっても、経験を語ってもらい、理解しようと努力をし、
クライエントの背景についても、理解するために必要なものは調べて深めようと努力する。

背景とは、宗教観や愛読書、似たようなクライエントの手記など、様々な方法があるが、
わからないことはわからないと聞いてみることの方が、一番理解できるように思う。

そこそこに理解して、分かったふりをすることがないよう、正直であることも(純粋性と重なる部分もあるが)大切だと思う。



カウンセラーとして活動してきて5年目
これまではビギナーズラックでやってきたように思いますが、慣れてきたからこそ気を引き締めて
「鏡のように」クライエント主体で、謙虚に、初心を忘れないように自己研鑽を続けたいです。



参考になったでしょうか?
心理職には欠かせない自己研鑽についての記事をこれからも定期的に投稿していく予定です。
いいなと思ったらフォローいただけたら嬉しいです。一緒に磨いていきましょう!

▼三条件のそのほかの記事について


よろしければサポートお願いします💖いただいたサポートは実力アップのための受講料・書籍代に使わせていただきます✨