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心理学で「ドラゴン桜2」を読んでみる|ココカリ心理学コラム

今年度迎える娘氏の大学受験、親はどんな姿勢で挑めばいいのだろうと考えております。私の時は、配慮はしてくれたけど適度な積極介入はなく、本人としては孤独で不安な状態だったなと。まずは大学受験の全容や戦い方を調べてみようということで、TVドラマが始まって話題の「ドラゴン桜」を開いてみました。

読んだのは、漫画「ドラゴン桜」「ドラゴン桜2」、書籍「ドラゴン桜2|公式ガイドブック|アップデートしつづける勉強法で東大へ行け!」です。心理学的に理解できる箇所が多くて興味深かったです。

「自分なんて…」という話し方は今すぐ止めろ。自分はバカだと言っていると本当にバカになるぞ。自分に向けて否定的な言葉を使っていると、自分自身を肯定できなくなり、言葉どりの人間になってしまう。クセになると、一生直らないぞ。

自己成就予言ですね。自己成就予言とは、根拠のない噂や思い込みであっても、人々がその状況が起こりそうだと考えて行動することで、事実ではなかったはずの状況が本当に実現してしまうことをいいます。言霊はポジティブにもネガティブにも効果を発揮します。

認知行動療法における認知再構成法では、思考の変容を試みることでその他の機能の変化を促そうとしますが、口癖の変容は行動面からアプローチしていますね。思考、行動、身体、気分は影響し合います。行動面のたった一箇所にでも緩みをもたせられれば、バタフライ効果のごとく、様々な面で大きな変化を期待できます。

頑張らない。これが東大合格のための第一歩だ。やるべきことを淡々とやればいい。歯を磨くように勉強する。特別な行動はストレスになる。やらないと気持ちが悪くなるレベルまで習慣化させる。

習慣化されたものは強いです。基礎心理学で「記憶」のメカニズムを学びますが、長期記憶として脳に保存された事柄は、理論上は半永久的に保持されるといわれます。短期記憶から長期記憶へ移動させる唯一の方法は、リハーサルです。繰り返し何度も行うのです。ストレス・フリーな状態で勉強できるようになれば最強ですね。

ピア効果。人間というものは、個々に行動するよりも、仲間と行動したほうが、高い能力を発揮できる。効率を高めるために、仲間を持て!

社会心理学でいう社会的促進が働きます。作業や課題を遂行している時に、そばに他者がいることで、その作業や課題の成績は高まる傾向があります。作中で薦められている「みんチャレ」を使えば、世界中の受験生と同志になれます。お互いを高めあえる仲間の存在は重要です。人間は独りでやり切れるほど強くありません。

己の現在地点を知ること。苦手を見ないフリするのは諸悪の根源だ。自分の力をきちんと知ろうとしない人間に、その先はない。

ウェクスラー式知能検査などを実施していると、個人の能力は千差万別だと日々痛感します。みんな違くて、みんな良いのです。最初の一歩はみんなとの違いをきちんと知ることです。誇大妄想も卑下もしない等身大の自分を見つめ、伸び代に期待し、自分にとって自然で最適な努力の方向性を定めるのです。

子どもが人生の大勝負をかけるとき、親も腹をくくらねばならない。しかし、それはくくるだけだ。なにもできないし、なにもしてはいけない。自分で立てた目標まで歩んでいく姿を、見守るしかない。

親は子どもが壁を乗り越えようとする時、基本的に無力であることを自覚しなければいけません。詰まるところ頑張るのは本人なので、親がやることは、頑張れる環境を整えることと、やる気が出るような動機づけを行うことでしょうか。後方や側面からの支援のイメージ。家庭が心理的安全基地として機能するように、優しさと厳しさをもって日常を過ごしていくことです。

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娘氏の志望校は東大ではないですが、親として参考にしたいエッセンスが満載でした。がんばれ娘氏!応援してます。


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