わたしが生まれてきた訳は

今日は父の72歳の誕生日です。

父は持病を抱えながらも、大好きなロードバイクであちこち走り回るとても活動的な人です。

幼い頃のわたしにとっての父は、いつも“何でも出来るスーパーお父さん”でした。

10歳くらいの頃かなぁ。近所の友達と遊びながら、どんな人と結婚したいかって言う話になって、わたしは恥ずかしげもなく「お父さんみたいな人」って言ったことを覚えています。

夏休みの課題の工作は父に任せっきりだったし、ネックレスのチェーンが絡まって取れなくなったらいつも元通りにしてくれた。

幼い頃は8ミリビデオでわたしと妹の成長を撮影してくれていたし、写真もたくさん撮ってくれた。その中でわたしが笑っているものはほとんどなかったけれど、それでもそうやっていつもカメラ越しに見つめてくれていた父がいたんだと、今ならわかります。

印象に残っているのは、小学2年生の頃、父が習っていたプールに毎週ついて行っていたこと。父のレッスンが終わるまでの待機中は自由コースでひたすら泳いでいました。なんでついて行ってたのかわからないけど、きっと家の中に家族でいるより、父と二人きりの方が安心出来る空間だったのかもしれない。一度、学校からの帰宅が遅くなって、父が先に一人でプールに行ってしまったかもしれない不安と焦りで慌てて帰ってきたら、父はまだ待っていてくれて、それがうれしくてたまらなくて作文に書いたこともありました。その後ろで母はすごい剣幕で怒っていたけれど。

休みの日の父はよくレンタルビデオを観ていて、わたしも後ろから一緒にこっそり観てた。その時に「シザーハンズ」に感動して、大好きな映画になりました。そしてのちに出逢った旦那さんは美容師だったのも偶然ではないのかもしれません。

あと、いくつの頃かはもう覚えてないけれど、朝7時前には出社する父を見送るために、いつも半分寝ぼけながら慌てて部屋の窓を開けて「おとうさんいってらっしゃい」って言いながら、すがるような目でその背中を追いかけていたことを覚えています。

殴られたこともいっぱいあったけど、父が大好きで、父に甘えたくて、父と二人の時間だけはいつもよりほんの少し肩の力を抜いていられることが、わたしの救いだったのかもしれません。

父がわたしたち姉妹を連れて、母には内緒で職場の綺麗なお姉さんを同行して海に行ったこととか、あとで母にバレて大喧嘩になってたこととか、父の浮気相手への赤裸々なメールを古いパソコンに見つけたこととか、そのメールの内容も今でも鮮明に覚えています。

その時高校生だったわたしは、あんな母じゃ浮気したくもなるわな…と思ったこと、メールの内容が当時のわたしには刺激的過ぎたものの、相手を思いやる心に溢れたものであったことが、特に印象に残っています。

そう言えばいつも、父と母が喧嘩をするたびに（母が一方的に発狂している）、早く離婚すればいいのに…それならお父さんについて行くのに…って小学生ながら冷静にその場を見ていたことを思い出します。

そんな両親も今はお互いが体調を崩したこともあり、支えあいながらそれなりに仲良く暮らしています。

母は自分に経済的に自立する力がないことで、耐えるしかないことがたくさんあったみたいだけれど、だからこそ娘のわたしにはしっかり自立して欲しくて、鬼のような厳しさで接してきたと、今年実家で一緒に過ごした少しの期間に話してくれました。

そんな母の願いとは真逆に、世間一般的に良しとされる妻らしさや母らしさは今のわたしには微塵もなく、かと言って引目もなく、何も握りしめずに生きていられる今、心はとても安らかで、旦那さんに全面的に甘えて暮らせていることがとてもしあわせです。

今しあわせだから、わたしが生まれてきた訳がわかるよ。

しあわせをこの胸に感じるため。

お父さんお母さんに出会うため。

大好きな人たちに出会うため。

喜怒哀楽すべての感情を味わい尽くすため。

美しい景色を見るため。

愛しい我が子を守るため。

でも本当は守られていることを知るため。

愛は一面だけでは判断出来ないね。きっとわたしにはまだまだ見過ごしている誰かの想いがきっとあると思うけど、死ぬまでにたくさん気付いて受け取って与えて受け取って、流れる水のように生きて行けたらいいなぁって思います。

父方の祖母が亡くなった時、横たわる遺体を前に、はじめて父が声を上げて泣くところを見ました。

その声をわたしは多分一生忘れない。

お父さん、改めてお誕生日おめでとう。　

これから死ぬまで、好きなことだけたくさんやり続ける人生にしてください。

いつもありがとう。

昨夜たまたま目にしたブログで知ったこの曲を聴いていたら気持ちが溢れてきて、偶然父の誕生日とも重なった今日、記事を書くことにしました✨

出だしの歌い方、ほにゃほにゃしてる感じが好きです。いい歌だなぁ。