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【感想録】窓辺にて~本当に好きって?~

今泉力哉監督の『窓辺にて』を観て、
感じたことと心に残ったこと、
そして、これから一緒に考えたいことがあって···。

本当に好きって、なんだろう…


映画『窓辺にて』

今泉力哉監督の最新作。
稲垣吾郎さん主演の恋愛映画。

稲垣吾郎さん演じる主人公は、
元小説家のライター。

編集者の妻の浮気に気づきながら、
浮気されたことよりも、浮気されても悲しくなかった事実に苦しみ、女子高生の大賞作家と心を通わせるようになる。

彼女の同級生との恋愛へのまっすぐな想いや、
友人夫婦の家族関係の守り方と向き合いながら、
自分の気持ちと向き合い、気づき、
彼もまた周りの人たちの背中を押すような心に残る作品。

嫉妬や独占欲が本気の証拠?


映画のなかで、
「パートナーに浮気をされても、
 悲しくないなんて、本気でないからだ。」

「嫉妬もしてくれないなんて、ひどい。」

と責められる場面が描かれる。

「自分に興味を持ってくれていないから、
 淋しさが募って浮気してしまった。」

という印象も受ける。

パートナーを独占したいことが本気の証になるのか。
相手が嫉妬しないことを責める権利はあるのか。

モヤモヤと考えたこと

相手との関係が続くために、
両者が同じ "好き" を持ち、
ふさわしい振る舞いをすることは必要なのか。

相手の大事なものを尊重する


主人公は誰に対してもどこか受け身的で、
相手のしたいことや、してほしいことを尊重し、
望まれることに自分に出来る範囲で応えようとする。

大きな決断をして不安な友人には
『決断は正しい』と後押しす言葉をかけ、

奥さんの休日出勤も穏やかに送り出し、
奥さんの母親にケーキを持って定期的に尋ねる。

そこには相手を想う気持ちがあって、
彼の周囲への愛を感じた。

主人公はたしかに妻と
妻の大切な仕事の時間を尊重して
妻の大事な家族を喜ばせようとしていた。

それなのに、彼の妻は主人公に愛されていないと感じて、彼は自分のことを本当に好きではないと思ってしまった。

映画のなかで本当に好きかどうか、
受け取り手が判断する描写があまりに自分たちのまわりに起こっていることと重なって、本当に好きとは何か考えるモヤモヤが積もってしまった。

物差しの違いを乗り越えられるか?


自分が好きな相手にしてあげたくなることを、
好きな相手に対して、ついしてしまうことを、

相手が自分にしてくれないのならば、
相手は自分とは違う気持ちだと思ってしまう。

当たり前が違うことを、忘れてしまう。

相手の行動の理由を勝手に決めつけてしまう。

自分の気持ちでさえも、
自覚できるものは、ほんの一部なのに、

目に映るものや聞こえてきた言葉だけを全てであり、
分からないことばかりの空白を
無意識に自分の想像で埋めて

自分が見たいもの、描いたものを
真実だと思ってしまうことがこわくもなった。

私はこれまで都合よく
相手の空白を勝手に埋めて解釈して
理解したつもりになってしまった心当たりがある。

映画を観た人は、自分と重ねたでしょうか。
どんな感想を思いましたか。

人と人との関わりのなかに想像の余地があることを
不確実で面白いなと感じられる作品でした。


同じ大学を卒業して別々の企業で働くふたりが
Coco と Rakuとして匿名で綴るブログ📝

社会人7年目。
転職したり結婚したり、悩みながら歩んでいます🌱

読んでくれた方のこころをらくにできますように。

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