ミスチル

Mr.Children(ミスチル)の美しい歌詞10選

noteが楽しくて、徘徊するのが日課になっているのだが、面白いnoteを見つけた。

なるほど、ポルノグラフィティの歌詞はたしかに美しい。

でも、もっと美しい歌詞を書くバンドがあるぞ、と思った。

そう、Mr.Children、すなわちミスチル。日本人なら知らない人はいない、モンスターバンドだ。

何を隠そう、僕はミスチルが好きだ。

だから今回はミスチルで、同じように美しい歌詞を紹介していきたい。

***

ミスチルの歌詞の特徴って?

歌詞の紹介に入る前に、まずはMr.Childrenの歌詞の特徴を述べようと思う。

「早く本題に入れよ!」という声が聞こえてきそうだが、僕は理論から入るのが好きなので、どうかご理解いただきたい。

その特徴は、ズバリ、3つに集約される!(コンサルタントの大好きな3つに集約するやつです)

・2番のサビ理論
・美しいメタファー
・度肝を抜く出だし

はい、ひとつずつ見ていきましょう。

(もう一度言うが、僕は理論から入るのが好きなので、「早く歌詞が読みてぇぞ、この野郎」という方は先に進んでしまって一向に構わない)

・2番のサビ理論

優れた構成を持つ映画は、ちょうど折り返し地点のところでピークを迎える。それは映画の種類によって絶頂のときもあるし、絶不調のときもあるのだが、とにかく、ピークを迎えるのである。

同様にミスチルの桜井さんは、2番のサビに「一番伝えたい内容」を持ってきている。(出典はわからないが、何かのインタビューで語っていたらしい。ミスチルファンの間では有名な話だ)

なぜ、2番のサビなのか?

それを考えるのは野暮だ。ユーアーナンセンス。とにかく、優れた映画は、折り返し地点でピークを迎える。そして優れた楽曲は、2番のサビに印象的な歌詞がくるのである。誰がなんと言おうと、そうなのである。

・美しいメタファー

頭のいい人は比喩が上手い。これは、マッキンゼーのコンサルタントだろうが、村上の春樹だろうが、同じことだ。

桜井さんも頭がいい。だから、彼の放つメタファーは、美しい。

・度肝を抜く出だし

ここに一冊の小説があるとして、はたしてどのページが1番読まれるだろうか?

無論、1ページ目だ。読者は最初のページを読んで、その先を読むかどうか決める。だから、1ページ目での離脱率が一番高い。

音楽に応用するなら、出だしに印象的な歌詞を持ってくるのは、至極自然な行為と言えよう。

以上の3つが、Mr.Childrenの歌詞の3つの特徴である。彼らの楽曲には、これらの特徴がてんこ盛りになっている。

***

前置きが長くなったが、それではようやく、Mr.Childrenの美しい歌詞を紹介しよう。

ぜひ、Spotify(Youtube)の埋め込みリストを再生しながらお楽しみください!

1. 切なくも美しい告白(NOT FOUND)

愛という 素敵な嘘で騙してほしい
ー NOT FOUND

はい、美しい。さっそく、「美しいメタファー」のお出ましである。

まあ正確に言えば、「という」と使うのは暗喩ではないのかもしれないが、美しい比喩であることに変わりはない。

この歌詞においては、「愛は嘘だ」と語られている。いやはや、全く、切ない言葉だ。

しかしそれは、悲観するものではなかった。

実は、「愛は、素敵な嘘」なのである。

そしてその「素敵な嘘」で、あなたに「騙してほしい」のだ。

なんというロマンチックな告白。こんなくさいセリフを言われたら、女の子は路頭に迷ってしまうだろう。

2. ここから物語が始まる(Singles)

君は嬉しそうに しばらく空を見ていた
東京タワーの向こうに
虹がかかって
で、そのあと僕の頬にキスした
ー Singles

これは比較的新しい「Singles」という歌の歌詞だ。

久々にドラマのタイアップ曲ということで、僕はドラマ「ハゲタカ」の初回放送を楽しみにしていた。

ドラマの終盤、その歌は流れ始めた。

君は嬉しそうに しばらく空を見ていた

あ、これ絶対いいやつだ。そう確信する。

虹がかかって〜〜〜↑

での音程の上昇は、ミスチルの名曲特有の「Aメロ盛り上げ」である。

まあ、今回はメロディのことはどうでもよい。歌詞である。

君は嬉しそうに しばらく空を見ていた
東京タワーの向こうに
虹がかかって
で、そのあと僕の頬にキスした

何かが始まる予感がする。壮大な小説か、映画か、あるいは、人生か。

そう、これこそが、「度肝を抜く出だし」である。

3. あなたは人生を何に例えますか(HERO)

人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕はいたい

- HERO

この歌は、CMにも使われたので、知っている人も多いのではないだろうか。

これはなんと、「2番のサビ理論」かつ「美しいメタファー」、その2つの掛け合わせである。

2番のサビすべてが、メタファーになっている。

しかも、人生を料理のフルコースに例えるという離れ業である。

4. 大人のためのラブソング(ファスナー)

きっとウルトラマンのそれのように
君の背中にもファスナーが付いていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を誰かに見せているんだろう

そんなの知っている
- ファスナー

「ファスナー」という曲。そもそも曲名が、オシャレオブザミスチル。

はい、で、上記は、それのサビです。これもまた、「美しいメタファー」の一つと言えよう。

なるほどね、という歌詞なのですが、実はこの曲、出だしのところにもファスナーを持ってきています(度肝を抜く出だし)。

昨日 君が自分から下ろしたスカートのファスナー
およそ期待した通りのあれが僕を締め付けた

よく読むと、ただのエロい歌詞なのですが、桜井節にかかると、こんなにも表参道風味を帯びてくる。

スカートのファスナー。ウルトラマンのファスナー。

具体的なものからメタファーまで、ワードの選択が神がかっている。

5. トンネルを抜けると、次のトンネルがありました(天頂バス)

トンネルを抜けると次のトンネルの入口で
果てしない闇も永遠の光もないって近頃は思う

- 天頂バス

桜井さんは、小説家になったほうがいいのではないか?

またしても美しい、美しすぎるメタファーの登場である。

トンネルを抜けると、また違うトンネルがある。だから、「はてしない闇」も、「永遠の光」も、ないって思ってしまう。

そもそも、曲名がかっこいい。「天頂バス」。恩田陸あたりの小説のタイトルになっていてもおかしくない。

このレベルがシングルではなくアルバム曲なあたり、ザ・Mr.Childrenってカンジだ。

6. これからの「愛」の話をしよう(名もなき詩)

愛はきっと奪うでも 与えるでもなくて
気がつけばそこにあるもの
- 名もなき詩

はい、日本人なら常識として知っていなくてはならない「名もなき詩」の、テストに出てくるフレーズです。

これも、言うまでもないですが、2番のサビ理論です。

真実をサラッと、わかりやすい言葉に変換しています。

7. モンスターの頭を仕留めたいんだ(Starting Over)

肥大したモンスターの頭を 隠し持った散弾銃で仕留める
今度こそ躊躇などせずに その引き金を引きたい

- Starting Over

映画「バケモノの子」の主題歌としても有名な、「Starting Over」。

爽やかなメロディなのに、「モンスターを散弾銃で仕留める」という、穏やかではない「度肝を抜く出だし」。

しかし実はこの歌、一曲を通してすべてが「美しいメタファー」になっているのでした。

出だしで出てくる「モンスター」とは、すなわち自分のこと。

自分に打ち勝とうぜ!そんな歌です。

8.もう一回もう一回、ではなく!(HANABI)

さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
もう一回もう一回
もう一回もう一回
何度でも君に逢いたい
めぐり逢えたことでこんなに
世界が美しく見えるなんて
想像さえもしていない 単純だって笑うかい?
君に心からありがとうを言うよ

- HANABI

みんな大好き、HANABI。ドラマ「コード・ブルー」のおかげで、ミスチルで一番有名な歌と言っても過言ではなくなった。

そんなHANABIで有名なフレーズは、なんといっても

もう一回もう一回もう一回もう一回

で・す・が!

これは1番のサビでの見せ場。メジャーな響きは1番に持ってきて、本当に伝えたいことは2番のサビに持ってくる。これが2番のサビ理論(おさらいです)。もちろん、2番にも「もう一回」のフレーズはあるのですが。

2番のサビは、切実な告白がズラッと並んでいる。

さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
もう一回もう一回
もう一回もう一回
何度でも君に逢いたい
めぐり逢えたことでこんなに
世界が美しく見えるなんて
想像さえもしていない 単純だって笑うかい?
君に心からありがとうを言うよ

ため息が出そうなほど、綺麗な言葉たち。

9. たったワンフレーズの威力(Heavenly kiss)

盲目ゆえに見えるものもある
- Heavenly kiss

超マイナーソング「Heavely kiss」より。(マイナーと言ってもファンの間では知らない人はいないと思いますが…)

倦怠期の男女をテーマにした歌。

これもまたまた「2番のサビ」で出てくるフレーズですが、この短い言葉にあらゆる真実が凝縮されていると感じます。

確かに、シェイクスピアが言ったように、「恋は盲目」なのかもしれない。だけど、「盲目ゆえに見えるものもある」。

恋をしている人とか、倦怠期の男女にしか見えない景色って、たしかに、ありますよね。

10. 桜の季節に聞きたいラブソング(ひびき)

君が好きで 君が好きで 涙がこぼれるんだよ
- ひびき

ラストには、超絶ラブソングを持ってきました。カップリング曲なのに、素晴らしい。

最後も、相も変わらず「2番のサビ理論」。サビに入ると同時に、

君が好きで 君が好きで 涙がこぼれるんだよ

君が好きで、涙がこぼれる。

不思議です。「君が好き」それゆえに「涙がこぼれる」なんて。

「好き」はポジティブな気持ちです。そして、だからこそ、涙がこぼれる。こんなにも美しい順接を、僕は他に知りません

なぜ、最後にこの歌をもってきたのか?

それは僕の名前がコボだから、「涙がコボれる」っていうフレーズを持ってきたかったのだ。

というのは冗談ですが、この歌は本当に素晴らしい。桜の季節に、いつも聞きたくなる。

***

はい、長かったです。

いつものエッセイとは打って変わって、こんなまとめにチャレンジしましたが、とても大変でした!!!(泣)でも楽しかった。

Mr.Childrenは歌詞が美しい。そんな自明のことを再確認する4000文字でした。

ではまた明日!

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