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勉強の醍醐味は"視野が開けた瞬間に訪れる快感"だと思う

勉強をしていると、今まで見えていなかったことが、急に見えてくる瞬間がある。急に視界が開けた感じがするというか、今まで気にも止めなかったようなものが見えるようになってくる。これは勉強の醍醐味の一つだと思う。

先日、まさに「勉強によって今まで見えなかったものが見えた瞬間」に遭遇した。

私は最近、以前より興味のあった妖怪について、個人的に調べながら勉強をしている。勉強といってもWikipediaで派生的に色々知識を得ているだけだけど、これが結構面白い。

そんな感じで妖怪について調べていく中で、『絵本百物語』のページを読んでいたときのことである。私はそこで、「恙むし(つつがむし)」という名前の妖怪がいることを知った。

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絵本百物語では、以下のように説明されている。

「むかしつつが虫といふむし出(いで)て人をさし殺しけるとぞされば今の世もさはりなき事をつつがなしといへり下学集などにも見ゆ」
(昔は恙虫という虫が出て刺されて人が殺されたりしていたという。であるから今も息災なことを「つつがなし」(無恙)という、これは『下学集』などにも見える説である)」

これを読んで、私は単純に感心した。
「つつがなしの語源は妖怪だったのか!」と。

この時点で勉強の面白さは感じていたのだけど、ここでは単純に面白いなと思っただけにとどまっていた。それが、恙むし(つつがむし)について知った直後、Twitterで面白いニュースを見かけたのだ。

この記事によると、「つつが虫病」と呼ばれる病気が存在し、現在でも死に至ることのある病気だというのだ。ツツガムシという生物が存在しているということにも驚いた。

ニュースを見つけたとき、全身の毛穴が開くような感覚がした。
めちゃくちゃ気持ちよかった。

多分、以前までの私なら、こんなニュースは気にも止めなかっただろう。
脳で処理されない視覚情報として、さらっと無視してしまっていたと思う。
私がこのニュースに反応できたのは、「つつが虫」という妖怪について知っていたからだ。

別に何かに役に立てようと思って妖怪について勉強をしていたわけではないけれど、勉強によって視野が広がる感覚を久しぶりに味わえて、とても良い経験ができた。


ただ、私はこの記事を書いている間に、もう一つ興味深いことを知った。

生き物の方の「ツツガムシ」のWikipediaの項目に、「「つつがない」の由来」という項目があるのだけど、こんなことが書いてあった。

手紙の冒頭などで常套句として使われたり、唱歌『故郷』の一節にある「無事である」という意味の「つつがなし(恙無し)」が、「ツツガムシがいない」という意味から来ているとする説があるが誤りである。「恙」(つつが)はもともと病のことであり、それがない状態を指す言葉として「つつがなし」という形容詞が生まれたが、その用例は9世紀にはあったことがわかっている。「恙虫」(つつがむし)も病気を引き起こす虫を意味するが、それが判明したのは19世紀のことであり虫の名前が「つつがなし」の語源になったということはない。

なんと、「つつがなしはつつが虫の由来」というのは誤りだったのだ。

よく見返してみれば、絵本百物語にも「下学集などにも見ゆ」と書いてあるだけで、「そんな説もあるよ」という程度の書かれ方しかしていない。話を鵜呑みにしてしまった自分が恥ずかしい。

けれど、「恙」(つつが)はもともと病のことを指すということを知れたので、まあよしとしようと思う。

こんなふうに間違えることもあるけれど、視野が開ける感覚を味わえることは確かだし、それはとんでもない快感だ。快感のために勉強するっていうのも、動機のひとつとしてありなんじゃないかなと思った。

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