ほどけた心のそばにいる
「私のことばと想いがきちんと届く」
そう安心できる相手がいることは、なんて嬉しいものだろう。
好きな映画の話をしたときに興味を持ってくれること。お気に入りのお菓子をおすすめしたら一緒に買いに行ってくれること。自分の世界を広げたいからと私の趣味に乗っかってくれること。譲れない想いや軸を互いに伝え合えること、そしてそこに共鳴できること。苦手や弱さや恥をそのまま見せられること。
「ことばと想いが届く」確信があると、建前の自分を用意する必要がなくなる。さらけ出すことが苦にならず、心の生肌までわかってもらいたくなる。そして、私の方も、相手をまるっと受け止める準備ができているとはっきり自覚している。どんな部分についても、互いに尊重しあえると知っている。やさしく支え合って立っている気分。私、ひとりぼっちじゃないんだな。
この嬉しさを、満たされた感覚を、10代を過ごす彼女たちにも手にとってもらいたい。
あなたは孤独ではなくて、あなたは傷つけられていい存在ではなくて、あなたは守られるべきで、愛されるべきで、自由に生きていくべきだ。
そんなことを、心の底から願っている大人が隣にいることを、どうか知っていてほしい。自分の内側に見つけたゆたかさを押し付けるようで、まるっきりエゴかもしれないと思いつつ、どうしても願ってしまう。世界に絶望するあの子の、社会を諦めるあの子の、自分を大嫌いなあの子の話に耳を傾けることで、隣に座ることで、「ひとりぼっちじゃない」と感じてもらいたいと思い、ここにいる。救ってあげることはできない。けれど沈む気持ちの重力を、下から支えるくらいの存在にはなれるよ。今までもこれからも、私の右肩には、好きな時に頭をもたげていいからね。
私のよろこびとかなしみには、いつだって子どもたちの横顔が透ける。乳白色のお湯の中でことばを紡ぎながら、想いをいろんなところへ泳がせる。明日、あの子たちが笑っていますように。
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