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冬の始まり、痛みを思い出して

急激に気温が下がり、冬がすぐそこまで来ていることを感じる。というかもう、冬なのかもしれない。厚手のニットを着始めた。

毎年恒例なのだけれど、年末年始の期間の心の下降を恐れている。あっという間にまたこの季節。世間の”クリスマスハッピーモード”がスタートするとともに私の不穏は加速していくので、そろそろカウントダウンが始まる。

一昨年と昨年の年末に書いた日記を読んだ。どちらも御多分に洩れず「心がぐちゃぐちゃになっている」と書いてあった。締めくくりと幕開けの両方をほとんど同時に迎えていくことで、なぜか、”私はひとりぼっち” という実感の濃度が増す。「大切な人と過ごそう」「愛を抱いて生きよう」「幸せになろう」そんなメッセージがあちこちで溢れるゆえに、余計匂いたつのかもしれない。

誰かと一緒にいたって、ひとりぼっちには変わらない。人間はみな孤独、別に悲しいことではない。けれど不意に考える。私って、誰かにとって「取るに足る」人間だろうか。覚えていてもらえるだろうか。寂しい、苦しい、というかこんな卑屈な自分が嫌だ。思考に薄闇の靄がかかってぐるぐるする。

しばらくそんな時間を過ごしたあとで、まあそんなもんか人生、と思って急に殺伐モードが終わる。今年頑張りたいことや叶えたいことのリストなんか作っちゃって、突然未来に期待を寄せる。私の新年の受け入れ方のスタンダード。長期休暇は嬉しい、しかし行き場のない年の瀬に自己と向き合うのは生易しくない。いつになれば手放せるかな、いつになれば淡々と粛々とやり過ごせるかな。気持ちがまだ上向きなうちから、こんなことを考えている。今日は穏やか。さて、スープを作ろう。



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