辻恵

人生の折り返し地点に立つ50代。母でもない妻でもない嫁でもない、自分探しに夢中の今日こ…

辻恵

人生の折り返し地点に立つ50代。母でもない妻でもない嫁でもない、自分探しに夢中の今日このごろ。 しかし、介護のプロであるケアマネージャーでありながら、家族の介護に日々悩んでいたりもします。 おばちゃんのチャレンジとして、日々感じている思いを発信していきます。

最近の記事

親の介護は誰がする?

介護は女性がするもの? 親に介護が必要になったら、誰が面倒見るの? やっぱり一緒に住んでる子どもや、すぐ近所に住んでる子どもが担うことが多いです。 独立して、親元から離れ遠方に住んでいる子どもは、物理的に支援は難しいですからね。 それも、やはり娘や嫁である女性が多いのは現実 核家族化が進み、同居して親の面倒をみるというケースは少なくなってきいますがそれでもまだ、「家」とか「嫁」という伝統的な価値観は残されています。 それに付随して親の介護がセットとしてついてくる。

    • 介護のお金の話

      介護にはお金がかかる1ヶ月8.3万円。 これは介護にかかる費用の1ヶ月の平均額です。 高齢になってから、病気や怪我、年齢的な衰えにより介護が必要になった際かかるお金です。 もちろんこれは、あくまで平均した額ですので、かかる費用は人それぞれです。 介護が必要になってからも自宅で過ごすのか、施設で過ごすかによっても大きく変わります。 施設への入所となると家賃や管理費、食費、その他のサービスの費用を合わせて平均12.2万円かかると言われています。 また、施設については、

      • 介護保険ってなに?

        知らないことが当たり前 「介護保険?うちの父は保険嫌いやから入ってないよ」 びっくりしました。 私たち介護に携わる人間としては、世間の皆さんも介護保険制度について当たり前に知っておられると思っていました。 しかし、よくわかっていない人が多いようです。 この方は、私が仕事で関わった50代の女性でした。 おそらく「介護保険」と聞いて、民間の保険会社の介護に備える保険商品と混同されたようです。 国の社会保障制度である「介護保険制度」について、まだ世間では認知されていない

        • ハンコがない

          利用者様のお宅にて 「ハンコ…どこやったかな」 食器棚の引き出し、客間の整理ダンスの引き出し、仏壇の引き出し 引き出しの中を全部取り出してみるも見つからない。 たまらず、同席されていた息子様も一緒になって家中を探される。 「あの、急ぎませんので、今度来た時までに探しておいてください」 ケアマネージャーとして、利用者宅を訪問し、必要書類に印鑑を頂くことがあります。 印鑑だけでなく、介護保険者被保険者証を見せて頂く際にも、同じことが よく起こります。 「どこ置いたか

        親の介護は誰がする?

          暖かく綺麗にサヨナラする流儀

          一つ目のサヨナラ 小さく三回息をして舌を少し出したまま唇を少し動かした。目はずっと前からほとんど閉じれなくなり、眼球は濁っている。 歩けなくなってからもうすぐ一年。寝たきりになってからも「ワンワン」とご飯やおしっこの意思表示をしていた。 しかし、最近はその声が小さくか細くなり、ほとんど吠えなくなっていた。 「近いかもしれないな」 朝起きてからすぐと仕事から帰ってからすぐに、ちゃんと息をしている確認した。小さな命がもうすぐ閉じようとしているのを、家族みんなが認識していた。

          暖かく綺麗にサヨナラする流儀

          大人の夏休み〜10日間の療養待機期間〜

          発症 姑のショートステイから電話が入った。朝から元気がなく、37度の熱があるとのこと。 「ついに来たな」 要介護5の姑は生活の全てに介助が必要で、ほぼ寝たきりの状態。 なので、月に一週間ほど毎月施設に預かってもらっている。いわゆるショートステイというものだ。私は一時、介護から解放されるわけ。 昨日からショートが始まり、やれやれとホッとしていたところだった。 お昼にもう一度熱を測ってみて、下がらないようなら感染が疑われる。 その後「申し訳ないがショートステイは中止させていただ

          大人の夏休み〜10日間の療養待機期間〜

          米作りの夢を叶えるため棚田オーナーになった話①

          🌾野菜作りの次は米作りという夫の夢 夫は公務員をしながら約30年、近所に畑を借りて無農薬野菜を作っている。自分なりに肥料を研究するなど試行錯誤して、様々な野菜作りに取り組んできた。 そんな夫は「天日干しの美味しい米が食べたい」と、時々米作りへの夢を語るようになった。 いやいや、田んぼとなるとそう簡単にはいかない。機械やなんや大掛かりになるし、家庭菜園のレベルでは無理でしょう。夢で終わっちゃうのかな。 ある日実家近くを一緒に散歩していて、小さな段々畑を見つけた。 「これくら

          米作りの夢を叶えるため棚田オーナーになった話①

          最後の駅で終電を見送る〜母を看取るということ〜

          「お母さん!」 何度も声をかけたが、反応のないまま約8時間、口をパクパクして一定のリズムで呼吸を続けている。いわゆる下顎呼吸と呼ばれる、死の直前の呼吸だろう。 母がずっと会いたがっていた飼い猫のハッピーは、ベットの足元で丸まって寝ている。そして、急に走り去ったかと思うと、空を見て「ニャー」とひと鳴きした。 その瞬間、母の呼吸がとまった。 癌であることは、主治医は最初から本人に伝えていた。それもステージ4だと。そして、あとどれくらいか詰め寄る私にだけ、「来年の3月ごろまでか

          最後の駅で終電を見送る〜母を看取るということ〜

          夫選びは仕事の選択

          「誕生日が一緒でも、全然違う人生歩んでるよな」 誕生年まで一緒の同い年の知人に言われた。 職場では先輩に当たる彼女は、あまり自分のプライベートのことを話したがらないが、以前から親しみを感じていた。誕生日が一緒と言われて、共通点を捜したりもしていた。 その彼女に「あなたは旦那さん選びで成功したから、幸せやわ」と言われた。 「夫選び?」「あなたは幸せじゃないの?」 確かに、結婚して子どもを授かり、家も買った。仕事も充実している。 幸せかと聞かれれば、答えはYESになる。 夫の母

          夫選びは仕事の選択

          ケアマネージャーの独り言

          「この忙しい時にウロウロしてもらっては困る」 強い口調で怒鳴られた。 担当している利用者のため、早急に必要な書類作成を依頼しに来たのだが、ドクターを怒らせてしまった。 在宅ケアマネージャーであっても、ドクターと関わる機会が時々ある。 介護を必要としている高齢者は、大概何かしらの病気があり、日常生活が困難になっている。そのため、月に一度以上、医者に診てもらう機会を必要としている。 また、病状を踏まえた上で介護サービスを利用してもらうことになるので、ドクターから留意する点などの

          ケアマネージャーの独り言

          人助けは義務でもなく手柄でもなく、必然だった話

          会社帰り、疲れてウトウトしかけていたが、降車する駅が近づいていきた。 電車内は混んでいたが、大体いつも座れる。 重い腰を上げて降車しようと扉の前に並んだ。 ふと見ると、年配の男性が小さな歩幅のすり足で扉に向かっている。 足元がおぼつかなくフラフラしている。今にも転びそうだ。 駅に着く直前ブレーキがかけられ、車内が一瞬大きく揺れた。 案の定、男性は後ろによろめいた。 一瞬、私は後ろに駆け込んで、男性の腰を持って支えた。 男性はなんとか転倒することなく、何事もなかったようにさ

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          認知症につける薬は家族の言葉

          「なんか食べさせてくれ」「おやつくれ」 早朝5時、姑がまた大きな声を出していた。 夫がいつものアンパンを手渡すと、たちまち笑顔になってかぶりついた。 「糖尿やし、ほんまはあかんのやけどな」 夫は優しく声をかけていたが、私は内心、取り敢えず黙ってもらうためにいたしかないと考えていた。 今年93歳になる姑は認知症を患っている。しかもこの所かなり急激に進行していて、朝と昼の区別がついていない。そして、早朝であっても夜中であっても、ずっと食事の催促をする。 食べたことを忘れる

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          チクチクと刺されて痛いと思っていたら自分も針だった思い出

          「こんな小さい子にアイスなんか食べさせて!」 「お腹壊すよ」 「この時期の食べ物は大事なんよ。甘いものばかり食べさせちゃダメよ」「顔に『はたけ』ができてるよ。栄養が偏ってるんじゃない」 優しい声であるが、若い私に向かって、お説教まがいの言葉を浴びせた。 まるで、チクチク針に刺されているように心が痛い。 一歳になったばかりの長女は、ベビーカーの中で顔と手をベタベタにしながら、大きなソフトクリームを頬張っていた。私がさっきまで食べていたのをほとんど食べてしまっている。 娘にと

          チクチクと刺されて痛いと思っていたら自分も針だった思い出

          年賀状はSNSより強力なプラットフォーム

          今年の年賀状は一昨年の半分にも満たなかった。 毎年、去年届いた分を確認して宛名を打ち込み直すのだが、昨年は喪中だったため、ほとんど年賀状は来なかった。 今年は一人一人夫と一緒に確認しながら打ち込んだ。 「もう何年も会っていないな」「どうしてるかな」 と言いながらも、今回から出さない事にした古い友人、遠い親戚が数十人。 何となく、知人を篩にかけているようで、申し訳ない気になったりもした。 ただ、確かに何十年も年賀状だけの付き合いになっている知人は多い。 年賀状はパソコンなど

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          勇気を持って変化を受け入れる

          大晦日には、毎年家族揃って伏見稲荷大社に初詣に出かける。 紅白が終わるのを待って、先ずは、近所のお寺の除夜の鐘を撞きに行く。 お寺に着くともう行列が出来ていて、順番を待っている間に年が明ける。 「あけましておめでとう。今年もよろしく」 稲荷大社までは、自宅から歩いて20分くらい。 いつもは、車通りが多く、毎日自転車で通り慣れた道。真冬の静まり返った真夜中、しかも新年の夜道はいつもと趣が違う。 稲荷大社に近づくと、段々と人通りが多くなり、社内は初詣者でごったがえしている。人

          勇気を持って変化を受け入れる

          人生を365日に例えると

          今年はクリスマスツリーを一人で片付けた。 子どもたちは、それぞれのクリスマスを過ごすようになったが、我が家はいつものように慌ただしい年末を迎えた。 この時期は一通り大掃除をせずにはいられない。 仕事に追われ、等閑になっていた整理整頓から始まり、サボっていた拭き掃除に窓拭き。 そして、リビングにはクリスマスツリーと交代してお正月飾りをした。 掃除は嫌いなくせに、季節の行事を楽しむのが好きだ。 毎年、決まった時期に季節に合わせたインテリアを楽しんだり、家族揃って出かけたりする。最

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