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「本能」で書いた作品が何より強い/編集者の言葉#7

今回採りあげる名言は、『とある魔術の禁書目録』『ソードアート・オンライン』をはじめとしたヒット作品の担当編集者で、LINEノベル統括編集長でもあるストレートエッジの三木一馬さんの言葉です。

大事なのは、(俗っぽくてもかまわないので)それが作家自身の本能に従っているか、です。遠慮や照れ、気後れや手加減といった思考を一番はじめにとっぱらって、自分が本当に好きなものを思い描く、それが本能に従うということです。/

『面白ければなんでもあり』

三木さんは作家さんと新作の打ち合わせをするとき、書きはじめる前の準備として、その作品の「家訓」を決めるそうです。

家訓とは、簡単にいえばその人がその作品で作家さんが絶対やりたいと思っていることこの言葉は、家訓が家訓たり得るためのポイントについて説いたものと私は解しました。

ダメな家訓の例として、三木さんは、

「描写が楽だから『現代モノの美少女ハーレム』でいいや」

「アクションやりたいけど、他のシーンは面倒だから異能バトルにしよう」

「最近アイドルものが流行っているから、その舞台裏を描こう」

という三つをあげています。いずれも作家さん自身の本能をうっちゃって、作品を書こうとしているのが見て取れます。作家さんのこだわりが入っていないわけですから面白くなりようがありません。

三木さんは、次のように言っています。

作家のこだわりが入っていない作品は、書くものに芯が通っていないため、たとえばキャラの心情が首尾一貫していなかったり、メインストーリーがどこに向かっているかよくわからない、といった物語においての致命的な弊害を生んでしまいます。

『面白ければなんでもあり』

私は主にビジネス書や人生論などの書籍を編集していますが、ノンフィクションの本でも同じです。「自分はこれが本当に好きで書きたいんだ」という思いで書いた原稿には、読者の心を動かすパワーがあります。

その作品が力をもっておれば、一見タイミングにはずれているようにみえても、作品自体が自分でタイミングをつくっていくことがある/

『俺は現役だ カッパ大将発言録』

名編集者といわれた神吉晴夫さんの言葉ですが、「家訓」に忠実に全力で書いていれば、作品自体が自分でベストセラーとなるタイミングを作ってくれることがあるということです。

本気で書くというのは、本能で書くということなんだなと、三木さんの言葉に気づかされました。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!



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