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「書けない悩み」を乗り越えろ! 文豪ヘミングウェイの執筆術

ヘミングウェイといえば『老人と海』をはじめ数々の名作を世に出した人として有名です。

彼ほどの文豪ともなれば、文章なんてすらすら書けるように思ってしまいがちです。ところが『作家はどうやって小説を書くのか、たっぷり聞いてみよう!』を読むと、まったくインスピレーションがわかないときもあったそうです。

しかし、ヘミングウェイは書き方に「ある工夫」をすることによって、そんなときも乗り越えることができていたようです。本書でヘミングウェイが語っていた方法が興味深かったので、ご紹介させてください。

彼は自分の執筆方法について次のように話しています。

前に書いたところを読み直し、いつもつぎがどういう展開になるのかわかっているところで書くのをやめているから、そこからすぐ先へ進んでいく。そして、まだ、活力が残っていてなおかつつぎの展開がわかっているところで、書くのをやめ、なんとか我慢して翌日まで待ち、またとりかかる。

『作家はどうやって小説を書くのか、たっぷり聞いてみよう!』

「いつもつぎがどういう展開になるのかわかっているところで書くのをやめる」というのが面白いですね。確かにそれがわかっていれば、次の日書くための足がかりになります。

ある意味ヘミングウェイの書き方は、勉強するときの予習復習にも似ているように思いました。「つぎがどういう展開になるのかわかっているところで書くのをやめる」というのはまさに、勉強の予習と同じですね。

そして、つぎに書くことがわかっているから、行き詰まることもなく書き進めることができます。そして、これをさらにフォローするのが前に書いたものを読み直すことです。

読み直しているとどこからさらに進むべきかがわかってくる。(略)いつもどこかに活力はあるんだよ。

『作家はどうやって小説を書くのか、たっぷり聞いてみよう!』

確かにいったん後ろに戻って読み直してみると、「こう書けばいいのか」と見えてくることがあります。また、書き直したほうがいいところも見えてきます。そこで書き直す。

読み直し、書き直すという行程を創作の流れに組み込むことで、いわば「書くことのエンジン」をあたためることになります。それから執筆に入るので、コンスタントに書くことができるということなのでしょう。

しかし、それでも原稿を書くのがつらいときはあるものです。そんなときヘミングウェイは自分が書いてきた作品を読み返すそうです。

書くのがつらくなると、ときどき読んで、自分を元気付づけるんだ。いつだって大変だった、ほとんど無理だったときもあった、と思い出す。

『作家はどうやって小説を書くのか、たっぷり聞いてみよう!』

ヘミングウェイにしてもそうなのかと勇気づけられる言葉です。

ちなみにヘミングウェイは朝早く起きて、立って原稿を書いていたそうです。スタンディングデスクがいっとき話題になったことがありましたが、ヘミングウェイは仕事のスタイルでも時代の先端を行っていたわけですね。

本書は1953年に創刊された雑誌『パリ・レビュー』のインタビューのなかから22人の作家のインタビューを2巻にまとめたうちの第2巻めです。ヘミングウェイのほかには、ジョン・アップダイク、カート・ヴォネガット、ガブリエル・ガルシア=マルケス、ジョン・アーヴィングなどのインタビューが収録されています。

書くことに興味がある方や、小説に興味がある方にはおすすめの一冊です。

※2016年11月5日にアメーバブログに書いたものの再録記事です。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!



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