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(つぶやき小説) 真昼の夜道

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続いたら、私がうれしい。不定期。
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#通信大学

資格をとったことで、母はあなたが大丈夫だと思ったのだろう。あなたは通信大学に入学することになった。高校は、なんとか卒業できたので、大学卒業といくつかの資格をとることを目標に、あなたは通信大学の学生となった。あなたは不安だった。勉学に対する自信など、とうに失っていた。(3546日)

通信大学はスクーリング以外はレポートを書く作業に終始される。とにかくレポート、レポート、レポート。レポートを出したらテスト、テスト、テストである。あなたは、ひたすらにレポートを書き、テストを受けるという日々をすごす。終わりがみえないが、一歩一歩、地道に進むしかない。(3545日)

短縮版といっても、五年分である。五年間、レポートとテストの生活をしていたわけだ。はたらかずに学業に専念していたといえば、きこえがいいが、実際はそんなことはない。私は社会に出て、はたらくというイメージがどうしても、もてなかった。人生を適当に生きても全く問題ないのにだ。(3542日)

レポートを書くには、テキストを読み込む必要があった。ただし、読み込む場所は決まっていて、レポートに必要な箇所のみだ。そして、レポートには自分なりの考えを盛りこむ必要はなかった。あなたのレポートは引用だらけだった。自分の言葉を書くと、感想になるのがわかっていたからだ。(3510日)

通信大学はレポートを提出し、テストを受け、両方合格しなければ、単位はあたえられない。正直、大学で講義を受けて課題をこなす方が、よっぽど楽だ。弱音は、はいていられない。レポートを出し、テストを受ける。あなたは、いつまでこのような日々がつづくのかと、暗い気持ちになった。(3480日)

ただ、いいこともあった。通信大学のテストは会場まで行き受けなければならない。つまりは外出できるということだ。あなたはテストのあとには、外遊をした。本屋に行き、甘味に舌つづみをうった。けれども満たされなかった。一時は楽しいが、いつまでも楽しいわけではない。勉強せねば。(3450日)