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自作【毎週ショートショートnote】まとめ

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途中参加している毎週ショートショートnoteの記事だけをまとめたマガジンです。
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2023年11月の記事一覧

【毎週ショートショートnote】 親切な暗殺

本日、深夜にあなたを殺します。
私はスナイパーです。
窓ぎわには、ご注意を。

「ふざけるな…」

私は、組織の連絡係に手渡された予告状をにぎりつぶした。

体勢が変化しつづけるうちの組織では、ふざけた暗殺の予告状を送りつけることが、慣例となりつつあった。

今のボスは、相当に狂っており、馬鹿だ。

ゆえに、私は蜂起を起こそうと、計画していたのだが…どこから漏れた?

こうなっては、仕方がない。ひ

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【毎週ショートショートnote】 新説なピン札

「やーやー、おつかれさま。大変だったな」
「たいした数じゃねえよ。それより、報酬をくれ」
「はい、これ!」

俺の目の前に札束がおかれる。
どの国の金でもない柄だ。

「なんの冗談だ?」
「これ、組織内で新しく使うことができる社内マネーだよ!」

「は?」

「わーお、落ち着けって。銃を持つな」
「俺は冷静だ」

「そうかい。じゃあ、俺の話を聞けるね! この社内マネーは、今ボスの権威を象徴するのが

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【毎週ショートショートnote】 ごはん杖

「おばあちゃん。今日は、オムライス食べたいな~」
「はいはい、わかったわ」
「やったー! やったね、ごはん杖!」

孫が長めの棒に、頬ずりしていた。
木の枝を白く塗って、リボンでぐるぐる巻きにされた棒だ。
孫の工作術の高さは、目をみはるものがあり、祖父としても鼻が高い。

「その棒は、なにかな?」
「ごはん杖だよ! これをね、おばあちゃんにむけて、食べたいものをお願いすると、つくってくれることがあ

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【毎週ショートショートnote】 小判食え

孫が、にこにことオムライスを食べた昼ごはんが終わり、もう15時になった。

「今日のおやつ、なにかな~」
「今日は、チョコレートよ」
「やったあ! チョコレート大好き!」

妻が冷蔵庫から取り出したのは、きらきらと光る金色の小判の形をしたものだった。

「おばあちゃん、これなあに?」
「小判型のチョコレートよ。包み紙をはずして食べるの」
「もらいものかい?」
「買ったのよ。なんでも、もらいものだっ

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【毎週ショートショートnote】 戦国時代の自動操縦

今回の仕事は、サウンドエフェクト以外も頼まれた。

神降臨! のような荘厳なBGMが必要らしい。

ピアニストでクラシックの知識にも明るいのなら、それっぽいのつくれませんか~という、期待がこめられたオーダーだ。

「戦国時代に、合体ロボットがいて。そこでの神とは…。うーん…」

ゲームの内容をだいたい把握したが、思いつかない。

しかたなく、カッコいいロボット合体時のサウンドエフェクトをちまちまと

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【毎週ショートショートnote】 訓告したいの四六時中

「川井! 俺の曲、イヨさんに聴かせたのか!?」
「ダメだったの?」
「ダメじゃない! ダメじゃないけど、けど…」

小番が雄叫びに近い悲鳴をあげた。

「うるさい」
「うるせえ! 俺だって、俺だってなあ!」

いなちゃんは、やれやれとため息をついた。

二人が話してるのは、小番の曲の譜面を勝手にイヨさんに教えたことだろう。
イヨさんから、ひさびさに、とんでもない曲を妹から聞いたと教えてもらい。

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【毎週ショートショートnote】 強すぎる数え歌

ワンッ! と一匹、犬が鳴きゃ

トゥッ! と二匹の鬼が来る

トゥリィィッ! 三本、だんご持ち

フォォォッ! 四羽のキジが飛ぶ

ファイッ! 

「このつづきが、思いつかなくてね」
「イヨさんでも、作曲に詰まること、あるんすね」
「ははは。そりゃそうだよ」

あれ? 俺、いらなくね? という疑問が常に浮かぶ。

俺こと狩田は、いなちゃんの頼みで、イヨさんと小番との飲み会の場をセッティングした。

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【毎週ショートショートnote】 エモすぎる謎ねぶた

青森のねぶた祭りから、帰ってきた。
得たものは多かった。
りんごのねぶたが、特にすごかった。お囃子が、りんごをすりおろす音なんて、だれが考えついたのだろう。
さて、仕事にかかる前に謝罪をしないとな。
僕は電話をかける。

『小番との旅行は、どうでしたか?』
「楽しめたよ。さすがに同室は遠慮したけどね」
『そうですか』
「前の飲み会は、すまなかったね」
『わかってんなら、いいです。俺も少し、大人げな

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【毎週ショートショートnote】 着の身着のままゲーム機

相方はゲームが好きだ。
好きすぎて、どんな格好でもやっている。
この前は、下着姿のままゲームをしていたので、洗いたての服をなげつけてやった。
反省したのか、それからゲームをするときは、ちゃんと服を着るようになった。

つまり、相方は自分の欲望に忠実だ。
その欲望にふりまわされた過去の経験から、俺は相方が自分自身の判断のみで、行動するとき、ろくな結果にならないのをよくよくわかっていた。

そう、俺や

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【毎週ショートショートnote】 木の実このまま税理士

「木の実(このみ)さ~ん。これ、どうすれば、いいですか?」
「ああ、これはね…」

木の実さん。
税理士事務所ではたらく私の先輩。
仕事は早いし、わからないことを聞いたら、やさしく教えてくれる。
好き。
私が木の実さんをつけまわすストーカーになるまで、時間はかからなかった。

そんな私でも、わからないことがある。
木の実さんが休日、どこでなにをしているかだ。
いつも尾行するけど、うまくいかない。

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