【毎週ショートショートnote】 エモすぎる謎ねぶた

青森のねぶた祭りから、帰ってきた。
得たものは多かった。
りんごのねぶたが、特にすごかった。お囃子が、りんごをすりおろす音なんて、だれが考えついたのだろう。
さて、仕事にかかる前に謝罪をしないとな。
僕は電話をかける。

『小番との旅行は、どうでしたか?』
「楽しめたよ。さすがに同室は遠慮したけどね」
『そうですか』
「前の飲み会は、すまなかったね」
『わかってんなら、いいです。俺も少し、大人げなかったですしね』

前の三人の飲み会で、狩田が『旅行、いっしょに行けばいいじゃないっすか。俺、もう、空気になってるっすよ。二人で行けば、きっと楽しいっすよ。俺抜きで、行ってください。俺がここにいる意味も、旅行に三人で行く意義もないっすー』と言わなければ、小番くんを旅行に誘うことをしなかっただろう。

「旅行のお礼に、青森のおみやげの果実酒をあげるよ。家に飲みにおいで。いなもいるよ」

しばしの無言のあと、狩田はつぶやいた。

「今週のいつにしますか?」