【毎週ショートショートnote】 戦国時代の自動操縦
今回の仕事は、サウンドエフェクト以外も頼まれた。
神降臨! のような荘厳なBGMが必要らしい。
ピアニストでクラシックの知識にも明るいのなら、それっぽいのつくれませんか~という、期待がこめられたオーダーだ。
「戦国時代に、合体ロボットがいて。そこでの神とは…。うーん…」
ゲームの内容をだいたい把握したが、思いつかない。
しかたなく、カッコいいロボット合体時のサウンドエフェクトをちまちまとつくっていたら、かなりの数ができあがった。
「はあ、どうしよう」
「アニキいる?」
「ああ、いな。どうしたんだい?」
妹のいなが、部屋に入ってきた。
「この曲聞いて」
「ああ、いいよ」
いなに言われるがままに、聴き始めた曲。
天啓とは、このことだろう。
「いな。ちょっと仕事するから、出てってくれるかな」
「わかった。感想はあとで」
「ああ、もちろん」
なんだ。あの曲。
妹がつくったにしては…ひどく情熱的だ。
まるで、読ませるつもりなく書いたラブレターのようだった。