【毎週ショートショートnote】 強すぎる数え歌

ワンッ! と一匹、犬が鳴きゃ

トゥッ! と二匹の鬼が来る

トゥリィィッ! 三本、だんご持ち

フォォォッ! 四羽のキジが飛ぶ

ファイッ! 

「このつづきが、思いつかなくてね」
「イヨさんでも、作曲に詰まること、あるんすね」
「ははは。そりゃそうだよ」

あれ? 俺、いらなくね? という疑問が常に浮かぶ。

俺こと狩田は、いなちゃんの頼みで、イヨさんと小番との飲み会の場をセッティングした。

いなちゃんの頼みは断れない。惚れた弱味だ。

いちおう、三人での飲み会のはずなのに、俺をほったらかして、イヨさんと小番は、二人の世界にはいっている。

もう、俺、いらないんじゃないかなー。
早く帰りたいっすー。

でも、帰れない。
最後まで見届けてほしいというのが、イヨさんの妹、いなちゃんの頼みだからだ。

「今度、青森に行って、ねぶたを見に行くんだ。お祭りのお囃子とか、じかに聞きたくてね」
「へえ…いいですね」

俺をちらちら見るな、小番。
行きたかったら、二人で行ってこい。