【毎週ショートショートnote】 木の実このまま税理士
「木の実(このみ)さ~ん。これ、どうすれば、いいですか?」
「ああ、これはね…」
木の実さん。
税理士事務所ではたらく私の先輩。
仕事は早いし、わからないことを聞いたら、やさしく教えてくれる。
好き。
私が木の実さんをつけまわすストーカーになるまで、時間はかからなかった。
そんな私でも、わからないことがある。
木の実さんが休日、どこでなにをしているかだ。
いつも尾行するけど、うまくいかない。
なので、休みの日は喫茶店で、すごしている。
「おまたせしました。メロンソーダです」
「ありがと」
ここはメロンソーダが大きくてうれしい。
舌鼓をうっていると、うしろから声が聞こえてきた。
「ここは、メロンソーダが絶品なんですよ」
「どうでもいい。俺の相方をたぶらかした責任をどうとるつもりだ?」
一瞬、私の舌はなんの味もしなくなった。
木の実さんだ。
口の悪いだれかと話してる。
「あせらなくても、時間はありますよ」
なんか、木の実さん。少し怖い。
でも、それも素敵!