どうも、古賀氏郷です。
Twitterの方で『東京都若年被害女性等支援事業』における一般社団法人Colabo(以下、Colabo)や、東京都福祉保健局(以下、都福祉保健局)の不正会計疑惑の問題を検証していたら、ある観点について「私以外に検証してる人がいない」ということに気づきまして、忘備録という意味も含めてに、私なりの検証結果をnoteに書き記すことにしました。
お見苦しいところもあるかもしれませんが、どうかご容赦の程を。
今回からはColaboの車両関連費について、都の監査では焦点が当たらなかった観点から、『東京都若年被害女性等支援事業』におけるColaboや都福祉保健局の事業報告や会計処理などに、本当に問題が無かったのかを検証していきます。
なお本記事の執筆と掲載に際し、筆者は実在する人物や団体への誹謗中傷や、名誉毀損など法令違反をする意図が無いことを、ここに宣言しておきます。
■これまでの経緯。
私は2023年1月4日に都の監査結果が公表されて以降、Twitter上で車両関連費に絞って、問題点を検証をしてきました。
それを語る前に、まずは一連の状況の整理を行いたいと思います。
全体の状況を端的にまとめた記事があるので、それをご紹介します。
産経新聞の記事末尾に書かれている「実際とは異なる備品や購入していない備品」が、私が検証している車両関連費の問題です。
■Colaboの車両関連費の問題とは何なのか?
時系列で振り返ってみる。
事の発端は2022年10月29日に、Colaboの不正会計疑惑を追求してきた暇空茜さんが、Colaboが都に提出した令和元年~令和4年の『若年被害女性等支援事業に関する事業計画書(以下、本事業計画書)等の車両関連費部分を、TwitterにUPしたことから始まります。
そして2022年11月4日、今度はエコーニュースさんが、Colaboが若年被害女性等支援事業で行っているバスカフェに使用するバスのタイヤは、2014年製の古いタイヤのままであるという調査結果の記事とツイートを発表しました。
同日、これを受けて暇空茜さんは、自身の所有するColaboの事業計画書や事業実施報告書、自身の調査結果などと照らし合わせ、タイヤは実際には購入されていないと判断。
本事業実施状況報告書の実績額内訳に経費として計上されたタイヤ購入費と交換費用は、架空の経費計上なので、「税金の横領」であるというツイートをするに至りました。
この時の車両関連費の本事業計画と本事業実施報告書の比較が、下記図になります。
暇空茜さんはタイヤ購入費だけでなく、駐車場代にも疑問を呈し、令和3年度の月6万円×3ヶ月の駐車場代は、2021年総選挙での特定政党候補のの選挙応援のためではないか?と疑惑の目を向けました。
これらの論点は『東京都若年被害女性等支援事業』に対する住民監査請求にも盛り込まれ、監査委員による調査対象となりました。
一方、Colaboはこれに対し激しく反発し、弁護団を結成。2022年11月29日に議員会館で記者会見を開き、暇空茜さんの一連の主張はデマであり、名誉毀損だと主張します。
驚くべきことにColabo弁護団は、タイヤ購入費が架空の経費計上であったことを認めた上で、次のように主張しました。
本事業の令和3年度実施状況報告書の実績額内訳に記載された、タイヤ購入費は架空の経費計上であり、またバス駐車場代として予算を申請した金額は、報告書に記載されていない他の車両関連費に流用したと述べています。その上で会計不正はないと正当化しています。
同様の主張は他でも見られます。
これらのようなColabo弁護団の説明は、当然のことながら暇空茜さんの主張とは真っ向から対立します。
これまでの暇空茜さんとColabo弁護団、双方の主張を要約すると次の様になります。
なおColabo弁護団の主張、(3)にある車両関連費でユニクロなどで備品を購入したという話は、令和2年度(2020年4月~2021年3月末日)のことです。当初ColaboがUPしたpdf『Colabo及び仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷等について』は、会計報告部分の黒塗り処理が不十分で、下記図のように一定の処理をすると支払先が判明するという仕様でした。
これにより車両関係費でユニクロや、オーガニック商品ショップ「たかくらとくらす」の商品を買っているという批判が起き、『Colabo及び仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷等について・補足説明』で説明するに至ったという展開です。
2022年12月1日。Colabo弁護団の主張(『誹謗中傷について』、『補足説明』)に対して、暇空茜さんは車両関連費の支払先を公開し、Colaboが都に提出した平成31年度~令和3年度の四半期実施状況報告書と照らし合わせ、「都庁に提出した四半期報告書と全く金額が合わない」等と反論します。
■都監査委員は、タイヤ購入費などが架空の経費計上だと認定した上で、基本的に問題なしと判断。
この両者の対立に対して東京都監査委員は、暇空茜さんの住民監査請求に基づき監査を行いました。
住民監査請求での監査対象はあくまで地方自治体が対象であり、本件では都福祉保健局ですが、その財務会計上の行為について違法性や不当性が問われるため、事業受託者であるColaboの会計処理が焦点となるわけです。
そこで監査委員は新たに作成した経費一覧、いわゆる「表(3)」を提示した上で、車両関連費について次の様に結論付けました。
この結果から次のことが判明しました。
つまり監査委員は、タイヤ購入費などの架空の経費計上が事実であったと認めた上で、その予算を他の車両関連費に使用してるので、都に財政的な損害は発生していないため、問題はないと判断。
本事業実施状況報告書における事実と異なる記載に対しては、不適切と指摘しながらも、同報告書に内容を記載しないままの、費目細目間の予算流用を容認したのです。
この結果に2023年1月4日、Colaboは次の声明を出します。
事実上の勝利宣言です。
一方、この結果を不服とした暇空茜さんは、住民訴訟を提起しました。
以上が、2023年1月末日までの概ねの流れです。
ここで注目すべきは、令和3年度の若年女性等被害支援事業において行われた、タイヤ購入費などの経費の架空計上を、暇空茜さん、Colabo弁護団、都監査委員の三者全員が事実として認めている点です。
違うのはその後です。
Colabo弁護団と都監査委員は、事業実施状況報告書で架空の経費計上をしても、その予算を他の備品購入などに充てて事業のために使えば、都に損害は発生しないので問題はない、不正ではないと認識しています。
さて、本件のように自治体や自治体から事業委託をされた団体が、事業報告や会計報告において架空の経費計上を行っても、自治体に経済的損失さえ出なければ、一切問題はないのでしょうか?
これで問題がないとすれば、自治体住民や地方議員が自治体の税金の使い方をチェックすることが、ほぼ不可能になります。
公文書開示請求をしても、出てきた事業報告や会計報告に書いてあることが事実なのか、虚偽なのか分かりませんから。
同じことは国政にも言えるでしょう。
架空の経費計上を隠れ蓑にできるのなら、税金の使い道について国民や野党議員のチェックを免れることができます。そうなれば官僚や政府、政権与党議員は税金の無駄遣いや汚職など、何でもやり放題になってしまいます。
■福井地裁判決「虚偽架空の事実に基づいた公金支出は、それ自体が違法であり、自治体に損害が出ているといえる」
ところがそんなColabo弁護団と都監査委員の認識に、頭から冷水をブッかけるような判決が、平成18年に福井県地方裁判所で出ていました。
それが『福井県カラ出張返還訴訟差し戻し審判決』です。
同判決ではハッキリとこう述べています。
「財務会計行為は、予算の範囲内において正確、厳正、公正に処理されることが求められており、真実に合致した会計処理をすべきことがその前提とされている」
「虚偽架空の事実に基づいて会計処理が行われ、公金が支出された場合、そのような公金の支出は、それだけで当然に違法であり、地方公共団体には当該支出金額に相当する損害が発生したものというべきである」
「快刀乱麻を断つ」と言わんばかりのこの判決文。
一体どういう事件で、どういう裁判だったのでしょうか?
それは次回の続きとしたいと思います。
乞うご期待。
2023年2月8日修正:タイトルを一部修正しました。
2023年2月9日:次回記事をUPしました。