TPOをわきまえず、青信号ダッシュで「風変わりな人」になってしまったエピソード
[Introduction]
先日、映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』についての記事を書いた。
それをきっかけに、久しぶりに「走る」ことについて考えていたら、1つエピソードというか失敗談みたいなものを思い出したので、共有したい。
「TPO」という言葉がある。
「Time(時間)」、「Place(場所)」、そして「Occasion(場面)」という3つの英単語の頭文字を繋げた言葉であり、これらをわきまえた行動や服装をしなくてはならない、、、といった文脈で使われたりする。
社会的動物である人間は、「家庭」のほか、「職場」、「学校」、「友人関係」、「趣味のサークル」、「習い事」、「スポーツのイベント」、「父母の集まり」、「招待主以外に知っている人のいないパーティー」、「note村」、、、などなど異なる場面において、意図的または無意識に「顔」を使い分けている場合が多いと感じる。
私は普段、「面白い人」というか「一風変わった人」を観察するのが好きである。
しかし、TPOをわきまえない行動を取ってしまった場合、誰しも意図せずして「非常に変わった人」になってしまうことがある。
その人が「実は全く変わっていない人」どころか「周りも認める常識人」だとしてもである。
この手の話をすると「そもそも変わっている人の定義は何だ?」とか「人間は誰しも変わっている。自分は変わっていないと思う人の方が、むしろ変わっている」と難しい議論を始め、こちらの話を始めさせてくれない人がいるが、そういう人も私から見るとすでに十分に「変わっている」。
そういう人たちには、別室として「白い部屋」を用意したので、この画像を眺めながら、まずはクールダウンして私の浅はかなレベルまで降りてきていただきたい。
ところで、私は『クワイエットルームにようこそ』みたいな話もとても好きであり、一時期、「精神状態を落ち着かせるスペース」とか「瞑想スペース」みたいな一画を家の中に作り出そうと本気で考えたことがある(面倒でやめたが)。
調べてゆくと「一面真っ白」の部屋というのも良し悪しのようであり、長く居座ると逆に心理的な緊張感が高まってきたりすることもあるらしい。
サウナではないので、上の部屋にあまり長居はせず、早めに出て来ていただければ幸いである。
Chapter 1 : [Hypothetical Study]
上に述べた「当事者にとっては、ときに悲劇」で「周囲にとっては、ときに喜劇(またはサスペンス)」な状況は、自分が所属する1つの組織において「日常」であることが、その組織を離れた場合にむしろ「非日常」であるにもかかわらず、それを引き摺ったまま外に出て来てしまうことにより発生し得ると私は考えている。
たとえばnote村でワイワイとショートショートのネタづくりについて話し合う我々が、リアルで「アリスのお茶会」を開催する運びとなる。
私は皆さんに対し、会場として、私の好きな「喫茶室ル〇〇ール」あたりを提案し、我々はウエイトレスさんの渋い顔を横目にテーブルを無理やりくっ付け、8~9人ぐらいが一緒に会話できるレイアウトにするのである。
初めてのオフ会であるため勝手が分からず、不運なことに「右下の角」と「左上の角」に一番声の大きい人たちを座らせてしまい、皆がつられて、段々とその人たちのボリュームに合わせて話し始める。
そこで皆で一斉に「いや、その状況で死神が〇すなら斧でしょう」とか「毒殺っていうのは、ちょっと、、、やっぱり食中毒で〇んでもらわないと」とか「私はちょっと〇し慣れてないので、どうやって動機がバレないようにうまく〇すかは、〇し慣れている皆さんにお手本を見せていただかないと、、、」とかやり始めるわけである。
周囲のお客さんたちは、いったい何の騒ぎかと我々をチラチラと見始めるし、ウエイトレスさんが2人がかりで、いやに早い段階で、トレイに8個だか9個だかの湯呑みに入れた緑茶を持って様子を見に来るのである(ル〇〇ールに行き慣れていない方には伝わらないかもしれないが)。
このようにして、日頃は「新幹線の座席を倒すときは、軽く後ろの人に声を掛けるほどの常識人」として通っている我々が、TPOをわきまえることを失念したがために「風変りな集団」になるのである。
「唐揚げに無断でレモン汁をかけたことなどない我々」がである!
この場合、「狼とみなされた子羊の我々」にとっては「悲劇」が生じている。
そして、「一見、お地蔵さんたちの集まりにしか見えないけど、あの人たち、実は過激派なのかも。確かによく見ると右下の角と左上の角の2人は、何かそれらしくも見える」とハラハラし始める周囲のお客さんたち、店員さんたちには「サスペンス」が生じている。
右下の角と左上の角の2人は、初めから全ての状況を知り尽くした上で楽しんでいるので、ここで密かに「喜劇」が巻き起こっている。
この話の教訓且つ有効なリスク低減策として、8~9人で会うときは「円卓」というのが実に万能であると、私は兼ねてから思い続けている(私は映画でも、円卓で皆がワイワイやるシーンが好きである)。
「長方形」のレイアウトを避けられない場合、「4つ角」の人選を見誤らないことが重要であり、分かりやすく言うと、テディベアみたいな人たちを座らせた方がよい。
要するに、今回の「お茶会」については、初顔合わせでもあり、想定される話題を考慮した上、「円卓での飲茶」を選択すべきであったのである。
よって私は、「喫茶室ル〇〇ール」を提案したことについて、各位には申し訳なく思う次第である。
加えて、右下の角に率先して座ったことについても、重ねてお詫び申し上げる。
話が楽しくてテンションが上がり、声がやや大きくなった次第である。
左上の角に座られた方も、罪悪感があるのであれば、自発的にほかの各位に謝っていただきたい。
Chapter 2 : [Case Study]
普段は「一風変わった人」を観察するのが好きな私であるが、TPOをわきまえず、不本意ながらも自分が「一風変わった人」になってしまった失敗談を共有したい。
Episode 1
私は以下の記事で、昨年、格闘技の稽古でマススパーリングをやっていた際、アドレナリン全開の指導員に豪快に投げ飛ばされ、腰の骨にヒビが入った件について書いた。
その日は稽古の後、応急処置としての「湿布薬」を求めて真っ直ぐに薬局に向かった。
早めに帰宅したかったので、店員さんに「湿布薬」の場所を尋ねた。
その際、顔をしかめて腰を押さえる私を見て、店員のお姐さんは親切にも「腰痛ですか?」と気遣ってくれた。
私は「あー、今さっき、背中から思いっきりぶん投げられて、、、」と言ったら、お姐さんは「シェ~!」という顔をされていた。。。
Hello darkness, my old friend~♪
はい、TPOをわきまえていない奴がいます。
私は慌てて、「、、、あっ! いや、スポーツの練習の最中に、、、」と取り繕ったが、ここは明らかに「話す順序が逆」である。
いきなり「誰かが〇んだ」という話をするとビックリするから話の手順を踏め、とご隠居に叱られる落語があるが、正にTPOをわきまえた上で「話の手順を踏む」ことの大切さを実感するエピソードである。
「喜劇」のない一瞬の「悲劇」と「サスペンス」が生じてしまったエピソードでもある。
Episode 2
冒頭で書いた「走ること」について、私が「思い出したこと」である。
私は以下の記事で、昔、ハーフマラソンのレースに何度か出場し、あの「皇居周辺コース」などでも練習していたと書いた。
同記事の中では、皇居で走っていた際に、お姐さんを追い抜かしたことから「抜かし抜かされ」の勝負が始まり、ロマンティックな1分間を過ごしたと書いた。
実際、練習の際にほかのランナーと勝負が始まることはあまり無かったので、特に記憶に残っている1件である。
ところで、「勝負」にはならないが、ほかのランナーを「ペースメーカー」とさせていただくことは時々あった。
ペースメーカーとは、その名の通り「ペースを作る人(ランナー)」のことである。
正式なマラソンのレースなどでは、理想的なスピードで走り、ランナーを先導することによって、その人に付いて走るランナーたちがスムーズにペースを掴むことができ、良い記録を出しやすくなるといった重要な役割だったりする。
皇居のようにランナーが集まるジョギングコースでは、走り慣れている人を見付け、少し距離を置きつつ、こっそりと後ろを走らせていただき、上手なペース配分を盗ませていただいたりした。
今考えると、なかなかに迷惑且つウザい行為に思えるが、当時のランナー各位には、若気の至りでご容赦いただきたい。
要するに、その当時、レース直前の私は「誰かの後ろについて走る」ということが極めて「日常的」な行為となっていた。
さて、軽井沢ハーフマラソンに出場した当時、私は職場から2駅ぐらいの距離に住んでいた。
2駅なので、夏などはたまに(スーツと革靴であるにもかかわらず)軽く走って職場に行ったりしていた。
ある朝、ソワソワしながら軽くボクサーのフットワークみたいな動きをして信号待ちをしていたときのことである。
「青信号」になった途端、「よし、走るぜい!」と思った矢先、隣のおじさんがパッ!と私より先に華麗な「青信号ダッシュ」を決めた。
要するに、私はスタートのタイミングでおじさんに負けたのである。
そこで私は「ほぉ~、私がハーフマラソンランナーと知っての宣戦布告かね?」とニヤリとし、そのおじさんの後ろにピタッ!とくっ付いて走り始めた。
要するに、おじさんがどこまでの脚か、まずは「ペースメーカー」とさせていただき、お手並み拝見である。
おじさんは私に気付いたようだが、負けじと(?)走り続ける。
「ほぅほぅ、なかなかやるやないけ。しかし、その程度のペースじゃ、まだまだオレは付いていけるぜ~。朝から楽しいっすね!」
私は、おじさんに対し、早くも「ランナー」として同志みたいな感覚を持ち始め、背中に微笑みかけた(おじさんには見えていないのだが)。
すると段々と、おじさんは頻繁に何度も何度も後ろを振り返るような素振りを見せ始めた。
、、、そして!
暫く走った後、一瞬の隙を突いて!
思いっきり不自然な角度で豪快にUターンして、逆の方向に猛ダッシュで走り去って行った。。。
、、、
、、、
、、、ヤバい!
Hello darkness, my old friend~♪
いやいや、歌っている場合ではない!
100万パーセント「変質者の類」と思われた!
ティ、ティ、ティ、TPOをわきまえてない奴がいる~!
、、、
この1件、よくよく落ち着いて逆の立場になって考えてみた。
こちらとしては、いつもジョギングコースで繰り広げられている「日常」風景であるが、スーツを着ての青信号ダッシュの勝負が起こった場所はジョギングコースではない。
青信号で気持ちよくサッ!と走り出したと思ったら、ヘンな奴が後ろにピタッとくっ付いて、追い抜くでもなく、常に自分と同じペースで延々と付いてきたら、、、
、、、ヤバイ! めっちゃ怖い!
なんか、それこそ映画『激突!』の如く、一度軽い気持ちで追い抜かした相手がサイコパスであって、執拗に自分を追い続けてくるホラーみたいだ。
相手がお相撲さんであれば、筒井康隆先生の『走る取的』みたいな話でもある。
よりによって、その得体の知れないサイコパス役が自分であるということが「悲劇」である(そして、おじさんにとっては「サスペンス」である)。
これって「一風変わった人」をちょっと過ぎてる感じがする。
実は、この話を当時の職場の女性にしたところ、彼女からも似たような話を聞かされた。
彼女はダイエット目的で夜に外を走り始めたらしいのだが、若干酒気帯びっぽいおっさんが「やあ、お姐さん、いい走りっぷりだね~」と付いてきたようである。
彼女は気丈にも「あー、いえ、、、」と対応しながら、、、そのまま助けを求めて交番に駆け込んだらしい(酒気帯びおっさんは、一目散に逃げていったらしい)。
こちらは「追われたバージョン」のエピソードであるが、TPOをわきまえ、走っている女性に絡むなという話である(怖いし、走り辛いので相当に迷惑な輩である)。
ところで、10代の頃、ジョギングしていたら、年配のご夫婦に時間を聞かれたのを思い出した。
私も若かったので、立ち止まって時間を教えてあげたが、ランナーを止めて時間を尋ねるとは、誠にTPOをわきまえない話である。
次に同じような目に遭った場合、私は無視するつもりである。
さてさて、同エピソードの教訓は「ジョギングコース以外の場所で、走る人を追うな!」である(映画の"It Follows"みたいに、知らない人が歩いてついて来るのも非常に怖いのでやめた方がよい)。
ところで、あのときのおじさん、、、もし本記事をご覧いただくことがあれば、その節は気味の悪い思いをさせて、すみませんでした!
[Remarks]
本記事には「この経験に学べ」タグを付けようと思う。
私を反面教師とし、くれぐれもご自身が「一風変わった人」を通り越して「普通にヤバイ人」とならぬよう、本記事が各位への注意喚起となるようであれば、私の失敗もムダではなかったと思う次第である。
また「TPO」というのは「和製英語」であるらしい。
それこそTPOをわきまえ、日本人以外の方と話される際は、別の言葉で説明しないと「一風変わった人」になってしまうので、注意が必要と思われる。
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