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最愛の死に男泣きした信長 ゆかりの寺が取り壊しへ

非道な性格としても描かれる織田信長。しかし1人の女性には優しかった。のちに側室となる吉乃の方(きつののかた)だ。信忠ら3人を産んだが、29歳で亡くなったとされる。信長が男泣きした相手と伝えられる人物だ。

そんな吉乃の方にゆかりのある寺が4月にも取り壊されると聞いて驚いた。名は久昌寺(きゅうしょうじ)。彼女の戒名などにちなんでおり、吉乃の方の墓がある。愛知県江南市だ。

吉乃の方は豪族・生駒(いこま)家の出身。約600年前に寺が建てられ、中興の祖が4代目当主の妹、吉乃の方だ。彼女が「控えめな性格」だと伝えられるのも仏教と関係しているのかもしれない。

信長は戦の合間、いまでは吉乃御殿と呼ばれる場所に足しげく通った。その愛情は3人の子供が相次ぎ生まれたことが物語る。

信長は吉乃の方の死後に生駒氏を支援。寺の境内は大きくなった。

かつて文豪の遠藤周作も吉乃の方に関心を寄せた。1991年発行の小説「決戦の時」に詳細を描いた。以前、遠藤が彼女の墓を探しあてる番組を見た時、墓に刻まれた戒名などを頼りに必死に見つけ出そうとする姿が印象的だった。

報道によると、久昌寺は後継者や支援者がなかなか見つからない問題に直面。取り壊された後は公園として整備される。吉乃の方の墓や文化財も保管されるという。

傍若無人な一面も持っていた信長。1人の女性に愛情を注いだ信長。そんなコントラストにひかれてしまう。末永く残してほしいものだ。

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