cinema

1980年生まれ。 映画が好きです

cinema

1980年生まれ。 映画が好きです

マガジン

  • 過去のノートから

    ノートやスケジュール帳などに書きためた映画のメモです

最近の記事

『雨のアムステルダム』(1975年)

2011年12月16日(木)鑑賞 @銀座シネパトス この時代なのに、なぜか画角がスタンダード。 アムステルダムのPR映画のような趣もある。 吉田喜重の『さらば夏の光』的な。 蔵原惟繕は『約束』や『青春の蹉跌』にかなり触発されたのだと思うが、 それっぽいミュージックビデオみたいで、映画としてはだめだった… ショーケンのオフの声が、やたら説明的。 ショーケンは、『化石の森』よりはずっと自然で、いかにもショーケンっぽい。 ショーケンの住み家のトイレがガラス張りで、後ろを振り向

    • 『港祭りに来た男』(1961年)

      2012年6月9日(土) 新文芸坐 二度目の鑑賞。 やはりとても好きな映画。 冒頭、花園ひろみが海岸で子どもたちに囲まれて七夕伝説の話をしている。 七夕祭りが迫っている。 港町に大きな船が着く。 眼帯をしてひげ面の大友柳太朗。 水島道太郎率いる大道芸人集団の一員だ。 彼らは、実は貧しい漁師暮らしが嫌で、一攫千金を狙って港町を飛び出した人々だったりする。 息子に出て行かれた高橋とよは、その中に息子がいるとも知らず(息子は覆面をしている)、大道芸人たちに群がる子どもたちを

      • 『若き日の啄木 雲は天才である』(1954年)

        2012年6月6日(水) シネマヴェーラ渋谷 石川啄木を岡田英次が演じている。 その妻が若山セツ子。 劇中に時折、啄木の短歌が画面に挿入される。 啄木は代用教員をしている。 放課後には通常のカリキュラムにはない世界史を教えるなど、 熱心な教員だが、他の教員たちと折り合いがつかず、 辞表を叩きつけるように辞める。 生活は苦しい。 隠居の父親は一家の惨状を見かね、 せめて自分の口がひとつでも減れば、と置き手紙をして家を出る。 寺に行く、と。 手紙を読み、泣き崩れる母親。 深

        • 『彼女について知ることのすべて』(2012年)

          2012年鑑賞 ごくシンプルな話。 女がいる。 ファム・ファタル的な女。 看護師をしている。 中学校教師の男がいる。 彼には恋人がいる。 恋人は、彼との結婚を望んでいる。 しかし、彼はまだ結婚は考えていない。 恋人は勝手に結婚話を進めようとしていて、 そのことで、彼の彼女への気持ちは冷めていく。 彼の恋人は女のことを知っていて、ひどく女の悪口を言う。 しかし、男は女に惹かれていく。 女がよく行く喫茶店に、男も通うようになる。 女は「あなたが来ればいいと思っていたら、本

        『雨のアムステルダム』(1975年)

        マガジン

        • 過去のノートから
          44本

        記事

          『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』(1980年)

          (2012年鑑賞時のメモ) かなり前に観て以来、二度目。 画面の強烈さのみが記憶にあり、筋はまったく覚えていなかった。 フランスの退廃ブルジョワ夫婦の話、みたいな味わい。 筋には妙な既視感がある。 美しい妻を持ちながら、若さゆえの肉体の美貌のみの女に溺れる男。 その妻に憧れを抱きながら、どうしても思いを遂げられない下男。 精神の愛というものは、潔いほどに一切描かれない。 肉体の愛、でもない。 ここにあるのは、階級があることで生じる欲情であると思う。 そして、そこまでだ

          『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』(1980年)

          『わたしのSEX白書 絶頂度』(1976年)

          2012年5月16日(水) ユーロスペース 多分、何度目かの鑑賞。 筋をまったく覚えていなかった。 ただ、鮮烈な映像と、そこに流れる空気感のみを記憶していた。 姉と弟がいる。 姉は病院の採血係で、弟は浪人生。 弟は、ヤクザのような男(益富信孝)の手伝いをしている。 益富の情婦は芹明香。 弟の友人が急に腹痛を起こし、姉の勤める病院に入院する。 友人の部屋に看護婦が入ってくる。 映像が二重映しになり、白衣を着ている看護婦と裸体の看護婦が重なる映像は強い印象を残す。 益富が

          『わたしのSEX白書 絶頂度』(1976年)

          『歌女おぼえ書』(1941年)

          2012年5月11日(金) 神保町シアター 旅芸人の女がいる。 芸人の一座は路頭に迷い、先の見当がつかず、途方に暮れている。 偶然に宿で出会った茶問屋の主人が、女を自分の家に置いてやってもいい、と言う。 女は好意を受けて茶問屋に置いてもらうことにする。 仲間の男たちは、今後のめどがついたら必ず迎えに来る、と言う。 女は、行った先の茶問屋であからさまな差別を受ける。 子どもたちは、彼女がいるせいで学校でいろいろ言われる、と父親である茶問屋の主人に泣きつく。 人格者の主人は、

          『歌女おぼえ書』(1941年)

          『南の島に雪が降る』(1961年)

          2012年5月7日(月) ラピュタ阿佐ヶ谷 敗戦間際、南方の島で、もともと役者だった加東大介は、兵士たちの慰安のために即席の劇団を組織する。 そこに集まってくる人々。 「東北の団十郎」と言われたと自称する伴淳。 軍の中では加東よりエラいけど、劇団の中では加東に従うと言う有島一郎(有島一郎はやたら良かった)、西村晃、桂小金治。 俳優を自称する渥美清。 (渥美が名乗る人物を知っていた加東は、渥美がうそをついているとすぐに気づくが、今それを追及しても…ということで、うそを知った

          『南の島に雪が降る』(1961年)

          『骨までしゃぶる』(1966年)

          2012年5月7日(月) ラピュタ阿佐ヶ谷 貧しい農家の娘の桜町弘子が女郎屋に売られる。 女衒が汐路章。 女郎屋の主人が三島雅夫で、女将は三原葉子。 かつては女郎で、売れなくなってからは店のあれこれをやっている女が菅井きん。 先輩女郎に、宮園純子、久保菜穂子、沢淑子ら。 宮園純子、久保菜穂子はゾクッとするような美しさがあって、よかった。 宮園純子は、救世軍がまいていた廃娼運動のビラを隠し持ち、 桜町にこっそり渡す。 警察に逃げ込んで救世軍に保護され、足抜けを果たす宮園だが

          『骨までしゃぶる』(1966年)

          『港の日本娘』(1933年)

          2012年5月5日(土) 神保町シアター 柳下美恵さんの伴奏つき上映。 この前に観た『警察官』の黒田京子さんの伴奏の、 前に出てくる感じに比べ、柳下美恵さんの演奏は、 映画への集中を妨げることなく、さりげなく寄り添う感じ。 この演奏も、とてもよかった。 『警察官』が男の友情ものであったのに対し、 『港の日本娘』は女の友情もの。 冒頭のシーンがほんとうに美しい。 港から巨大客船が出発する。 リボンを投げて見送る人々。 いつまでも見ていたくなる。 セーラー服の女学生たちの

          『港の日本娘』(1933年)

          『警察官』(1933年)

          2012年5月5日(土) 神保町シアター 黒田京子さんというジャズピアニストの伴奏つき上映。 警察官と犯罪者がかつて親友同士だった、という普遍的に泣ける設定。 ああ、『県警対組織暴力』は、この系譜の話なんだな、と。 ものすごくカットを割っている。 字幕量の多さにも面食らった。 美しき友情の回想シーンが泣けた。 伴奏もよかった。 この友情の感じはやはり男同士なんだよな、と思う。 女同士だとこの切なさが出ないのは、なぜなのか。 無声映画を見ていて特に思うのは、 映画の中

          『警察官』(1933年)

          『美しき鷹』(1954年)

          2012年5月3日(木) フィルムセンター 体調不良だったこともあり、結構寝てしまう… 『此村大吉』のときにも感じたが、マキノの映画って人物関係をつかむのが結構大変な気がする… 次郎長三国志っぽさは、やはり濃厚にある。 田崎潤は、売春窟の女が初めて逃走に成功したことを声高に喜び、逮捕されてゆく。 悪役の河津清三郎は刺されるが、 「俺が死んだところで悪いやつはまたどんどん出てくる」 と言い、刺した者を逃す。 自分を犠牲にして人のために生きる者たちの潔さ。 そこに起きる

          『美しき鷹』(1954年)

          『修道院の花嫁』(1946年)

          2012年5月2日(水) フィルムセンター 戦争の影がないことが印象的だった。 もちろん設定には戦後的状況があふれているのだが、暗さがない。 再会した友人たちに、再会の感動もそこそこに 「一緒に牧場をやろう!」ともちかける熱血漢の宇佐美淳。 ちょっと松岡修造的な熱血天然ぶりで笑える。 『雷雨』で好演していた鈴木美智子が、 好き合っているが優柔不断の小林桂樹(やせている!)に イライラしている女の子役で、やっぱりかわいい。 若原雅夫はヤミ商売で食っていて、はじめは宇佐美

          『修道院の花嫁』(1946年)

          『踊子』(1957年)

          2012年4月29日(日) フィルムセンター 横移動のカメラが美しい。 淡島千景演じる年増の踊り子と船越英二演じるダンスホールの楽団員のカップル。 ダンスホールの仕事は、いい年して続けるようなものでもなく、二人の間にはうらぶれた空気が漂う。 田舎から淡島の妹の京マチ子が上京してくる。 バスの車掌(確か)を辞めて東京に出てきた京を、振付師の田中春男は「いい体だ」と見初める。 田中とすぐに肉体関係になった京は、すぐにセンターの踊り子のポジションをつかむ。 一方、京にポジショ

          『踊子』(1957年)

          『下郎の首』(1955年)

          2012年 シネマヴェーラ渋谷 田崎潤は主人を殺され、主人の息子の片山明彦と仇討ちの旅(?)に出る。敵は小沢栄だが、二人は「彼にはほくろがたくさんある」という特徴しか知らない。 片山は病に倒れ、田崎が芸人のようになって稼ぐ。 道中で丹波哲郎を敵かもと疑い、顔を見せるように乞うが、人違い。 無礼だと丹波は田崎に指詰めを要求するが、「家来の失態は主人の失態」と、片山が代わりに指詰めしようとする。 丹波は「いい主君を持ったな」と二人を許す。 田崎の片山に対する忠誠は、ここで強固

          『下郎の首』(1955年)

          『へうたんから出た駒』(1946年)

          2012年4月29日(日) フィルムセンター 時は戦後すぐ。 とにかく食料がなく、配給だけではどうにもならない。 近所に住む可憐な娘さんと母親(浦辺粂子)が食べ物で困っているのをなんとか助けたいと、男2人が食料を求めて田舎町へ旅に出る。 親切に卵を分けてもらったり、立ち寄ったある家では、そこの娘の変な歌をさんざん聴かされておべんちゃらを言うと、どんどん値下げしてくれるのでおだてたりして、なんとか食料を手に入れる。 帰り際、ひょんなことから豪邸の食料備蓄庫に閉じ込められて

          『へうたんから出た駒』(1946年)