見出し画像

【日本ドラマ】2023年冬、完走したのは? ーまとめ感想ー

恒例(?)の、2023年冬ドラマの完走/感想まとめをします。ざっくりです。
ほんと、毎回「ちゃんとメモっておけば」って思うのですが、それをせずに次々と見てしまうので、まとめがつらい。思い出しながらなので。
別にまとめをしろって誰にも頼まれてませんけれどもね笑。

開始前にピックアップしたのはこちら。11作品です。

結論から言うと、ここであげていたうち『夕暮れに、手をつなぐ』は初回でリタイア、他は一応完走しました。

そして、当初のリストに入っていない『罠の戦争』や『あなたは私におとされたい』『私ってサバサバしてるから』『女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~』『夫を社会的に抹殺する5つの方法』『リバーサルオーケストラ』『ひともんちゃくなら喜んで!』『スタンドUPスタート』『凋落ゲーム』『美しい彼2』『僕らのミクロな週末』『ジャックフロスト』なども実は完走しており。全部で20?22?ああもう数え切れない…

初挑戦のNHK大河ドラマ『どうする家康』は、あえなくリタイアとなりました。

ドラマ開始後、初期段階の感想はこちら。

【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信1
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信2
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信3
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信4
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信5
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信6
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信7
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信8
【日本ドラマ】2023年冬ドラマ短信9

とにかく本数が多いので、前期のように、「一言何か書いておきたいなという作品について軽くカテゴライズして短い感想を書く」スタイルにします。


圧倒的世界観の2作品

今期出色の2作品、『大奥』『ブラッシュアップライフ』。方向性は違えど、それぞれ圧倒的な世界観の作品でした。

『大奥』

『大奥』は、表面的には男女を逆転した“だけ”なのに、通常の大奥ではあまり描かれなかった“将軍の苦悩”が、将軍のキャラクターに合わせて表現されていました。子を産み“家”を繋いで行くことを強いられ、それが自身の幸せよりも優先すべきことであるような人生… 女性を将軍としたことで、そのことの異常さが際立って見えます。

通常の大奥のドラマって大奥内の女性同士のゴタゴタがメインでした。本作は、大奥というタイトルでありながら、大奥の内部についてはほとんど描かれません。その代わり、政治的なあり方や社会問題への対応、選んだ男との関係などを通して将軍自身の抱える問題や心情が描かれ、将軍を一人の人間として立ち上がらせています。

内容もさることながら、照明やアングルなど映像的な面衣装や意匠などの美術的な面でも楽しませてもらいました。キャストもみな素晴らしく、切実な内容が胸に響くような演技で、しょっちゅう泣かされていたくらいです。笑
秋からのシーズン2も楽しみです。

『ブラッシュアップライフ』

『ブラッシュアップライフ』は、バカリズムさんの脚本のリアリティが光る“地元&友情賛歌”でした。
私は地元があまり好きでなく離れて久しいですし、小学校からの友達なんて一人もいません。だから本作の描く地元や地元の友人関係で成り立つ世界は自分には馴染みがありませんが、こういう世界があることは想像できます。基本的に地元での小学生時代がとても幸せだった人たちの集まりって感じ。いいですよね。

何度も同じ人生をやり直す、ちょっとだけ違った道には行くけど、違った道の先では友人関係は持たない(登場しないだけで、あるのかもしれないけど)。この、他の友人関係を持たないところはまあドラマかな、って気はします。ドラマに関係ない要素は入れないっていう意味で。ともあれ、ドラマにおける雑談の持つパワーを知るバカリズムさんの書くナチュラルな雑談はずっと見ていても飽きないくらいだし、またキャスティングもハマってました。

基本は“さして事件は起こらないドラマ”であって、繰り返される人生も、一回一回はなんてことのない日々の繰り返しです。途中から「友達の命を救う」というヒロイックな命題が入ってくるけど、それを果たすために、やっぱり地道に日々を積み重ねる。最終的に本作は、日々を地道に生きる人々への賛歌になっています。

過去との決別の2作品

『6秒間の軌跡』『しょうもない僕らの恋愛論』は、中年期に差し掛かった主人公が、引きずってきた過去にピリオドを打って新しく人生を始め直す物語、だったと思います。

『6秒間の軌跡』

『6秒間の軌跡』の主人公・望月星太郎は、9歳の時に両親の離婚で母が出て行ったことで、“自分を捨てた母”に対し愛憎入り交じる複雑な思いを抱き、それが42歳の今も解消されないままでいます。父の死と、住み込みで働くようになった水森ひかりの存在によって、日常に少しづつ変化が起き、心も乱されますが、最終的にもやもやした過去に区切りをつけることができます。表層的には相変わらずの日常を続けて行くだけですが、星太郎の心情はこれまでと違ったものになっているのです。
幽霊が出てくるファンタジーですが、静かなヒューマンドラマで味のある作品でした。

『しょうもない僕らの恋愛論』

『しょうもない僕らの恋愛論』の主人公・筒見拓郎は大学生の頃に成就しなかった恋愛を40歳の今も引きずっていました。が、その恋の相手の娘・くるみが突然現れて、停滞していた人生が動き出します。
拓郎の友人の森田絵里もまた、過去を引きずっていました。20年以上も拓郎に片思いをしているのにそれを言えずにいたのです。しかしくるみの存在によって絵里もまた、背中を押され、過去にけりをつけます。
ネタバレにならないように書くのが結構難しいのですが、結末は私の望んでいた方向に向かったので、ほっとしました。笑
それぞれが一歩を踏み出して行く、静かだけれど元気が出るような作品でした。

復讐/世直しの2作品

『インフォーマ』『罠の戦争』は復讐と世直しの要素が混ざり合ったような作品でした。主人公の近親者が犯罪被害に遭い、その事件に権力者が絡んでいるという背景が共通しています。

『インフォーマ』

『インフォーマ』の序盤では、連続殺人事件を追うインフォーマ・木原の動機がわかりません。通常情報屋は、事件を追う者に情報を提供するものですが、木原は自ら事件を追っているフシがある。動機は追い追いわかってきます。木原と実行犯や黒幕との関係とその背景などもはっきりした頃には物語も終盤に入ります。本作は、犯人探しや事件を暴くサスペンスではなく、木原の動機にスポットを当てた人情物語だったのかなという気がしています。

情報屋といえば、目立った動きはせず暗躍するイメージです。本作(の原作)の狙いは“これまでと違う情報屋像”だったようで、確かに、木原は情報屋というよりチンピラやヤクザ(元はヤクザでした)にしか見えないようなキャラクターでした。再三「オレは情報屋やで」というセリフが出てきましたが、セリフで言わせるのでなく、なるほど情報屋だと思えるような情報収集場面、木原がどうやって情報を集めているのか、というところも見せて欲しかったな。

『罠の戦争』

『罠の戦争』は、『銭の戦争』『嘘の戦争』に続く戦争シリーズという位置付けですがこの三作は続き物ではありません。主演が草彅剛さんということ、そしてあえていうなら“騙し合い”的な要素が共通しているでしょうか。

前二作と比べると波乱がほとんどなく、見ていてハラハラするところがありませんでした。破滅するかも、というようなヒヤヒヤ感がなかった。終盤に鷲津が人が変わったようになってしまいますが、それも長くは続かず、離れた秘書もすぐ戻ってくる。
いや、たぶん、私の時間感覚がおかしくなっているのだと思います。この「長くは続かず」とか「すぐ戻ってくる」とかの時間感覚は、おそらく韓国ドラマが基準になってしまっているんです。これは本当に困ったものだと思います。

そもそも『銭の戦争』は韓国ドラマのリメイクだし、『罠の戦争』はオリジナルだとしても、このタイプのドラマは韓国ドラマの得意とするところ。基本的に1話60分超えで全16話という構成で、時間がたっぷりあるのが日本ドラマと違います。復讐ものは山ほどあるし、政治ものなら『補佐官』のように1話60分超え全10話×2シーズン、みたいな作品があるので、それらの“たっぷり時間をかけてじっくり復讐や成り上がりを果たす”感覚が私の中に根付いてしまったんだろうなと思います。

ともあれ、『罠の戦争』は45分×全11話に復讐物語の要素が過不足なく入れ込まれ、楽しめる作品になっています。その分、問題がすぐ解決するように見えたり、各要素に深入りできなくなるのは仕方ないですよね。韓国ドラマが長すぎてまどろっこしく感じる方にとっては、スッキリとコンパクトな日本ドラマのこの感じが逆にいいかもしれません。

再起の2作品

挫折やさえない現状からの再起がテーマになっていたのが『リバーサルオーケストラ』と『スタンドUPスタート』。芸術とビジネスで分野は違いますが、仕事が人生に幸福をもたらす話でもありました。

『リバーサルオーケストラ』

『リバーサルオーケストラ』は、映画『スウィングガールズ』(2004)や『フラガール』(2006)のように“さえない集団をかっこよくする”物語。恋の話もちらほらありましたが、あくまで主筋はオーケストラの立て直しでした。そして、そのために呼ばれた天才バイオリニスト・谷岡初音の再生物語でもありました。
初音は、子どもの頃から天才と評価されていたものの、一度の失態で表舞台から消えていました。しかし、鳴かず飛ばずの地方オーケストラ・児玉交響楽団を立て直すために迎えられます。同じく楽団立て直しに呼ばれた指揮者の常盤朝陽をはじめ楽団員と奮闘するうちに、自身の音楽を取り戻すことになります。

素人目には演奏シーンに違和感がなく、みなさん相当練習されたのだろうと思いながら見ていました。

『スタンドUPスタート』

それぞれの事情で人生に行き詰った人々が、“人間投資家”を標榜する三星大陽に背中を押されてスタートアップ(起業)していく『スタンドUPスタート』。もちろん実際のスタートアップはこれほど簡単にうまくいくケースばかりではないでしょう。しかし大陽のような人が身近にいて励ましてくれたら、一歩を踏み出せる人も結構いるんじゃないかと思わせるような、見ていて元気が出るようなドラマでした。

各回のストーリーの主人公が行き詰って苦しみの頂点にいる時に、自分と逆方向から歩いてくる人波の中で立ち止まり「うあーーーー」と叫ぶけれどもその声は聞こえない、というスローモーションのシーンが印象的でした。叫び声が聞こえないことで、余計に苦しみが伝わってくる秀逸な演出でした。

“障害”とともに生きる2作品

これはちょっと無理やりなカテゴライズですが、『星降る夜に』と『リエゾンーこどものこころ診療所ー』には、障害とともに生きる人物が登場します。

『星降る夜に』

『星降る夜に』の柊一星は生まれつき耳が聞こえない障害を持っています。しかしそのことはドラマの中でことさらに取りざたされることがありません。このドラマは、障害を“扱う”作品ではなく、過去の事件で心に傷を持つ産婦人科医・雪宮鈴と、遺品整理士である一星の、少し強引な出会いからのラブストーリーでした。

本作を見ていると、一星の耳が聞こえないことや、声を発することができないことは、背が高いとか、走るのが早いとかと同じように、ただただ普通にこのキャラクターの特徴の一部であるようにしか思えなかった。一星という人物がそれほど自然にそこに存在していました。その意味で本作は画期的な作品です。もちろんそのように意図されて作られたと思います。
実際に手話を使用している方々からみるとどうなのかはわかりませんが、私には演者の使う手話がとても自然に見えました。相当な勉強と訓練をされたのでしょう。ドラマを見ている最中は「相当訓練したんだろうな」とさえ思わないくらい自然でした。

『リエゾンーこどものこころ診療所ー』

『リエゾンーこどものこころ診療所ー』の、さやま・こどもクリニックは児童精神科です。この領域のドラマはこれまでなかったのではないでしょうか。発達障害、摂食障害、ヤングケアラーなど、近年話題になるケースが取り上げられていました。しかしストーリーは子どものことばかりではありません。

大きな病院で研修医をしていた遠野志保は、失敗を繰り返し、医師になることを諦めかけていました。度重なる失敗の原因は発達障害(ADHD)だったということがわかります。さやま・こどもクリニックはそれを知った上で、志保を迎え入れます。志保は仲間からのアドバイスや励ましに支えられながら自覚的に対処方法を実践し、少しづつ自信をつけて行きます。さらに、実は院長の佐山卓も発達障害(ASD)を持っています。二人とも自分の特徴を理解した上で、“普通に”生きているのです。

大人になってから気付く、いわゆる大人の発達障害という言葉をよく目にします。私も自分がグレーゾーンじゃないかなと思うことも多々あるのですが、診断がつくにしろそうでないにしろ、失敗を積み重ねながら自分の得意不得意をよく理解して自分の“取説”を作り、参照しながら生きていくのが最善なんだろうなと思っています。(参照するのも忘れてしまうってこともあるんですけどね)

* * *

さて、結構長くなってしまったので、この辺で切り上げることにします。
不倫ものとBLは別記事にしようと思います。もし書けたら、ですが。

春ドラマもぼちぼち始まっています。
引き続き日本ドラマも楽しんで、感想など書いて行きます。
よろしければお付き合いください。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?