見出し画像

ただの草野球チームが、めちゃ本格的なサイトを公開したワケ

「ただのヒマつぶしですよ」そう謙遜して語るのは、創設13年目を迎えた東京チュウナマイツのGM(ゼネラルマネージャー)を務めるAさん。チュウナマ編集部の初回のテーマとして、本サイトの立ち上げに込める思いや、チーム設立の背景についてインタビュー形式で掘り下げてみます。

ただの草野球チームが、なぜここまで本気なのか?

まずは草野球界の背景について語ってくれた。
「草野球の競技人口をご存知ですか?そもそも野球界は競技人口の減少が叫ばれていますが、日本のプロと学生野球を合わせると約50〜60万人。ところが草野球の競技人口はなんと全国500万人とも言われることも。草野球チームとしてコミュニケーションする先を、たかが草野球と侮らず大きな業界として扱い、本気で準備をするのは当然だと思っています(笑)」

500万人規模というと、福岡県民とほぼ同じなのだから驚きです。それだけの人間が日本中で草野球をしている国。VUCAの時代だと叫ばれる不安な昨今において、平和を実感できるシンボルのようにも見えてきました。その500万人に含まれる40名ほどのチュウナマイツの選手たちも、週末ともなれば、普段は早起きを嫌がる人さえ自宅から遠いグラウンドにもワクワクしながらやってきます。もっと自宅近くにも草野球チームもあるはず。草野球自体の魅力もさることながら、なぜチュウナマイツに人が集まるのでしょうか?

※あくまでイメージです(笑)

「今でこそ安定していますが人数不足で悩んでいた数年前は、所属チームを探している方々を野球掲示板で見つけて個別にメールを打ち、地道にお誘いをしていました。しかし同じように誘うチームは山のようにあるわけで、その倍率を勝ちぬけない特長の無いチームでした。そこで、我々はどんなチームを目指すのか、ビジョンやバリューを明文化して募集側の掲示板へ頻繁に投稿するように戦略を変えたんです。すると早速、チームスローガンに共感した世界的なビール会社の社員さんたちから応募がありましたよ(笑)。そして今では、ほとんどがチュウナマイツ指名で応募してきてくれる方だけで回っています。」

平日はブランドやコミュニケーションの仕事に従事するGMだからこそ、プライベートにもその知識を活かして独自性を強調したそうです。草野球チームは誰でも作れる(そしてすぐ潰れる集団)故に日本全国で常に30万チームほど存在し、競合先は数多です。先ほどの競技人口からすると単純計算で1チーム17名前後が一般的なレベル。メンバーの出入りも激しい草野球界で、チュウナマイツは恒常的に参加しているアクティブプレイヤーが40名、不定期参加のサポートメンバーが20名近く所属し、都内でも中所帯といえる規模のチームではないでしょうか。ここまでのチームに育った転機は何だったのでしょう。

「初めは掲示板でしたが、SNSで情報発信し始めたのも大きな転機です。結構みなさん見てるものですね(笑)。チームの雰囲気やイメージを伝えることで応募数自体も増えましたが、ミスマッチも減って定着率が上がり、このチームだから野球したい、と思ってくれる協力的な選手が急激に増えました。おかげで月イチ活動だったものが今ではほぼ毎週活動、ダブルヘッダーでも人が集まります」

チュウナマイツは何を目指すのか?

そんなチュウナマイツがさらにコミュニケーションの輪を広げるべく、それら各SNSのハブになる本格的なウェブサイトを作って、今後何を目指そうというのか。

「基本的には当初の考えと変わらず、本気で楽しむために本気で遊ぶ、ということです。スローガンにもありますが、すべてを本気で取り組むほどに、その先にあるビールが美味くなるんですよ(笑)。本気で集めたメンバー同士で、本気で草野球を楽しんで戦って、勝利する。その後に飲む一杯のために、今後も本気で準備をするだけ。ビジネス目的に拡大しようとか、むやみにメンバーを増やしてチームを大きくしたいワケじゃないんです。人数が増えれば面倒ごとも手間も増えて、ビールが美味しくなくなるので。そしたら辞めると思います、辞め時を見失ってここまで来たので(笑)。ただ、このウェブサイトがあることで、ほどよくオープン、少しクローズドなコミュニティとしてチームの価値が内外により浸透したら良いなと思って、本気で遊びに誘っています。」

こうした派手なプロモーションによって「大規模で強そうなチームですね」と誤解を招くことも最近は多いそうだが、草野球の本質である「余暇を楽しむこと」を突き詰めた、ひとつの形がこのウェブサイトだったようだ。同時にビジネスライクに転換する気がない事もわかったので、所属選手や今後入団を希望する読者も安心したはず。それもそのはず、このサイトやチームが商業目的だと勘違いされた途端に、各方面からお叱りを受ける表現であることは自覚があるそう。「あくまで個人的な遊びであり、ソレっぽく作り込んだだけなので広い心でどうかご容赦を」と神妙な面持ちでインタビューを締めくくった。

(チュウナマ編集部)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?