マガジンのカバー画像

六枚道場

11
オンライン文芸サロン「六枚道場」に出された作品の感想を言う場所です。
運営しているクリエイター

#小説

第八回六枚道場の感想

第八回六枚道場の感想

暑さも少し和らいできましたね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
ほどほどに感想を書く体制に移行したいのですが、つい力を入れてしまいがちです。自分の創作を優先すべきとは思うので分量少なめで行きます。てか今回数多くない?

・あくまで感想であり批評や分析ではないよ
・感想の長さは作品評価に比例しないよ
・基本いいところを探すが、御世辞は言わないよ

今回もこれでやっていこうかと思います。

008A

もっとみる

六枚道場1E

第一回の最終になります。ここまで感想をひねり出しこねくり回して、ものすごく勉強になりました。次は参加したいな。では。

草野理恵子さん「おはなし皿」

 生まれてきた子にとっても今の僕たちにとっても、外から聞こえ入ってくるほとんどの事物には「おはなし」が内在していて、おはなしは素直に受け取ればたいてい快不快に分けられる。いま世にあふれている「物語」はそういうおはなしの無垢を、良くも悪くも汚した先に

もっとみる

六枚道場1D

谷脇クリタさん「ジャンケン橋」

ジャンケンは単純なようでとても奥深い。ジャンケンは身体性を伴った契約と同意のプロセスだ。成立までにはまず、お互いに手があって、そこに五本の指があることを前提としていて、そのうち指の折る本数に意味があり、意味づけをされた形態には相互関係があるという共通認識を必要とする。それをものすごく素朴かつアクロバティックに逆手に取った本作はだから、同意、折衷、(ディス)コミュニ

もっとみる

六枚道場1C

夏川大空さん「六本木の紫陽花」

「カリフォルニアにも四季はちゃんとあって、それに気づかない人間が多いだけだ」みたいなジョーク? を聞いたことがあって(誰の言葉だったかしら)、それが思い起こされた。東京には意外と緑が多くて、初めて行ったときには驚いた。東京を箱詰めの人工都市にように感じるのは僕が根っからの地方人間だからで、その土地の人にとって当たり前の光景に注意が払われないのも当然といえば当然かも

もっとみる

六枚道場1A

 小林猫太さん「孤高の右翼手」

「野球の試合という一つのミニマルな秩序の中にあって、主人公が異分子として存在し続けるコンフリクト」という視点では、宮沢賢治「猫の事務所」を連想しました。「主人公は野球が好きなのか」と問いかけたとき、構造的にしかそれを肯定できないのが面白い。有り体に言えば、純粋に野球が好きでやっているようには見えないのが大事な気がする。
 自分事になるけれど、集団スポーツ、特に野球

もっとみる

六枚道場1B

ハギワラシンジさん「朱色ジュピター」

 一人称小説を他者視点で読むかどうかは人によって感覚が分かれるとこだろうが、僕の場合、読んでいる間は主人公のつもりなので、ジュピタバコは「ある物」として違和感なく読み、ベーカーのことも「よく知っている」人なのであんまり追求しようとならない。ので振り返ってみると浅い読みになっていることはとても多い。ごめんね。
 とにかくこの作品はとても読みやすくて、しんみりし

もっとみる