2021年の8冊目
は、コチラ↓↓の長編小説!
『ひきなみ』(千早茜 著)
千早茜さんの最新小説です!
< あらすじ >
小学校最後の年を過ごした島で、葉は真以に出会った。からかいから救ってくれたことを機に真以に心を寄せる葉だったが、ある日真以は島に逃げ込んだ脱獄犯の男と一緒に島から逃げ出し、姿を消してしまう。裏切られたと感じた葉は母に連れられ東京へ戻るが、大人になって会社で日々受けるハラスメントに身も心も限界を迎える中、ある陶芸工房のHPで再び真以を見つける。たまらず会いに行った葉は、真以があの事件で深く傷ついていることを知り――。女であることに縛られ傷つきながら、女になりゆく体を抱えた2人の少女。大人になった彼女たちが選んだ道とは。
『ひきなみ』とは航跡(船が通った跡に残る波)のことなのですが、著者はこのタイトルにすることを最初から考えていたそうで、「波のようにすぐに消えてしまっても、残っている跡がいっぱい続けばいい」というささやかな希望を託しているそうです。
本作はまさに、そんな希望を感じる物語でした。
少しずつでもいいから、性別、偏見、過去やしがらみなどに縛られることなく、各々の生きた航跡を肯定できる世界に変わっていってほしいです。