なぜアプリはロゴを刷新できるのか?
どうも、広告屋のエルモ(@elmo_marketing)です。
今日は、「アプリアイコンは整形するが勝ち、普通のブランドロゴは整形したら負け」という話をしていきたいと思います。
昨日、面白い記事を見つけました。
各社のアイコンが、非常に似通ってきている点を指摘しています。Facebookメッセンジャーが色を変えたときは、「おい、お前もか?」と思いました(笑)
どのアイコンも非常に刺激的。目がチカチカして嫌悪感を持ってしまうものの、ついアイコンに目が行ってしまう。そんなアプリデザインになっています。
各アプリはスマホ画面上でユーザーからクリックを獲得する(または認知を得る)、この猛烈な競争を強いられています。そして、視線獲得競争に勝つために、各社デザインは「目にとまりやすい刺激的な色を持っている」というのが僕の仮説です。
さて、今日の本題。
ブランドの顔はイジったら負け
別の視点でこの記事を見ると、アイコンデザインが何度も(気軽に?)変更されていることに驚きを隠せませんでした。というのも、ブランドロゴを大きく変更するというのは、基本的に悪手だからです。
ロゴを変えると、イメージがガラっと変わり、過去のイメージ資産は使えません。つまり、過去の商品イメージで手に取ってもらえる機会がなくなり、新しい商品をゼロから打ち出すのとほぼ状況。。
ブランドロゴの刷新は過去の積み重ねをゼロにする行為なので、それくらい勇気と覚悟が必要というわけです。
というわけで、ブランドロゴの変更は、基本的には継続と微修正が王道とされています。
たとえば、マクドナルドやスタバ、コカ・コーラも50年以上ほぼおなじロゴデザインを貫き通しています。
マクドナルドのブランドロゴの変化
スターバックスのロゴの変化
コカ・コーラのブランドロゴ変遷
美しい会社のロゴ:世界で最も有名なブランドの25のロゴとその歴史
ちなみにコカ・コーラは1985年にブランドロゴを刷新したのですが、売上が激減し、2年後に元のデザインに戻したというエピソードもあります。それくらい、ロゴの変更は難しいのです。
ブランドロゴの常識
ブランドの顔をコロコロ変えるのは、イメージの蓄積効果が失われるので、基本的には悪手
アイコンはブランドロゴと違って、抜本的変化にチャレンジしている
ブランドロゴと同じように、ネットサービスにとってアプリアイコンはサービスの顔だと思います。そして、冒頭でも取り上げたように、アプリ業界に関しては、どうやらこの顔の変化がスピーディに起きているようです。
Instagramアイコンの変化
Instagramのロゴは、先ほど取り上げたブランドロゴのマイナーチェンジと違って、抜本的にデザインを刷新しています。オフラインの世界でこれをやると、間違いなく「これどこのサービスなの?」とスルーされてしまうレベル。
それでも、各社がデザイン変更にチャレンジしている(しかも皆に通ったアイコンになっている)ことから、ロゴを変更することはアプリの世界では勝ち筋なんだと思われます。
なぜアプリは整形してもユーザーが離れないのか?
一般的なブランドロゴがデザイン刷新を敬遠するなかで、なぜアプリアイコンは果敢にデザインを変更し、PDCAをまわせているのでしょう?
理由は、単純接触回数にあると推察します。
たとえばマクドナルドがロゴを変えたとして、1年間でマクドナルドのロゴを見かける機会は300回、多くて1,000回くらいでしょうか?
(厳密には住んでいる地域や、広告キャンペーン量によって変わります)
一方のアプリ。1日にスマホ画面を開く回数は平均150回ほどと言われています。このスマホ画面を開く回数が、アプリデザインをユーザーの目にとまらせるチャンスの数です。(ゆえに、各社一度でも多く自社アイコンを認知させようと、アプリを刺激的なデザインにしているのです!)
単純にオフラインブランドのロゴとアプリアイコンの接触回数を年間で比較すると、
■オフラインブランド(マクドナルドやスタバ)
2~3回/日×365日=1,000回ほど
■アプリアイコン(Instagramやtinder)
100回/日×365日=36,500回
このように、サービスの顔が顧客と触れ合う機会が、スマホ画面に存在するアプリとブランドロゴでは大きく違います。この接触回数の違いが、ブランドロゴでは成しえなかったデザインの刷新を可能にしているのです。
オフラインブランドでは、これまで積み上げてきたレベルのブランド認知を獲得するのに、何年も接触を試みる必要があったのでしょう。しかし、アプリなら、元の認知水準に達するまでに数カ月、もしくは数週間で十分なのです。
だから、スマホアプリ各社は、アイコン変更後に起きるユーザーの嫌悪感(「アイコンが変わったせいで選びづらい!」のような)を許容してまで、新しいアイコンデザインにチャレンジしている。
その結果として、アプリサービスのグロースに貢献しているのだと思います。
ということで、本日は、同じブランドの顔でも、ユーザーとの接触機会の差によって、アプリは整形しやすく、普通のブランドロゴは整形しづらい、そんな仮説をお伝えしてきました。
このnoteの内容は仮説の域を出ていません。
もっと、こういった意図・理由で各社がアプリアイコンのデザインを変更しているという話を知っている人がいたら教えてくださいw
PS.
インターネットが可能にした高速PDCAの世界では、ブランドやマーケティングの在り方も変わっているのだと感じますね。
高速PDCAがもたらした変化については、以前このような記事も書いています。よかったらこちらも読んでみてください。
それでは、本日はここまで。
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