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お菓子のチカラ 佐々木朗希が両手いっぱいの袋に詰めたもの

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WBC盛り上がっていますね。
ふだん野球なんて興味ない私まで、夕方からソワソワして6時にはテレビの前で夕食と共にスタンバイ。

3日目のチェコスロバキア戦は、最強選手を集めたジャパンと、純真無垢なチェコ選手との戦い。アマチュアながらもチェコ選手たちのまっすぐすぎる一生懸命なプレーに心打たれました。

野球後進国のチェコ選手たちにとって屋根付きのドーム球場は未知との遭遇だったそう。修学旅行の学生さながら、試合前には夢中になって写真や動画を撮りまくっていたそう。この日の大舞台に備え、自国での練習時には日本の観客の応援の音声を大音量で流していたそう。

とはいえ、全てが未知の世界での諸体験。
先発投手は海を超えてその名を轟かせる令和の怪物、佐々木朗希。4回にウイリー・エスカラ外野手の右膝に死球を当ててしまいました。162kmの球って、高速を無制限で走る車の速度で、小さな球とはいえ、まさに死球の衝撃。つくづくプロ野球って、命掛けのスポーツだと思わされました。

エスカラ選手は痛みを堪えて出塁。
申し訳ない思いでいっぱいのジャパン選手に気を遣って走る姿と笑顔に、観客はせいいっぱいの拍手を送りました。

その瞬間のエスカラ選手の少年のような眩しい笑顔といったら! 痛みよりも、今ここで世界を舞台として野球をできる嬉しさに満ちあふれていました。

こんなにまで野球が好きなんだ、ここで野球ができることが最高の幸せなんだと、そんな晴れ晴れとした空気がドームいっぱいに満ち渡りました。

試合の翌々日、佐々木朗希投手はエスカラ選手のもとを訪れました。選手たちのバス移動をホテルの外で出待ちして、出てきたエスカラ選手に両手いっぱいの袋に詰め込んだお菓子を手渡しました。

こちらは、佐々木朗希選手のInstagramより。

普通、お詫びのお菓子をお届けと言うと、ちょっと改まった高級な菓子折りだったりしますよね。お菓子よりも体裁だったりしますが、佐々木投手は自分のお金で袋いっぱいのロッテのお菓子を買ったそう。わたしたち日本人にはお馴染み、チョコクリームの入ったコアラのマーチやパイの実、チョコをたっぷりかけたチョコパイ。チョコレートを使ったお菓子はみんな大好き。

こんなにも袋いっぱい、可愛いらしくて、そして自分も大好きなお菓子を選んだ佐々木投手の想いが詰まっていました。写真を拡大し、袋に透けているお菓子を見てみると……確かにチョコパイの箱やコアラのマーチがいくつかのフレーバーで入っていますね。

予期せぬ贈り物に、エスカラ選手がどれだけ喜んだか、その少年のようなまっすぐな瞳が、本当にキラキラと輝いています。憧れの野球大国、日本で、屋根付きのドーム球場で、その名を轟かせている佐々木朗希投手が自ら選んだお菓子を、ホテルの入り口で、出待ちしてまで直接エスカラ選手に手渡しに来てくれたのですから!

佐々木投手は身長192cm、エスカラ選手は身長180cm。まるで大人と子供が並んでいるような感じですが、どうですか、この二人の笑顔。きっと子供の頃から変わっていない、互いに野球が好きで好きでたまらないといった気持ちは、言葉を超え、そのままふたりが、まっすぐな野球少年のままでそこに立っているようにさえ見えてきます。

野球少年なら、試合の後の差し入れにコアラのマーチがあったなら、めっちゃ報われますよね。たとえ負けたとしても。  

次もまた頑張るぞ!
次はきっと勝とう!

おそらく、佐々木投手は自分が相手だったら、野球少年の頃の自分だったなら、何をあげればいいのか、何をもらったら嬉しいのだろうか、そう考えたのでしょう。

千葉ロッテマリーンズの所属だから、ではなく、ロッテのお菓子が、日本の子供たちや、野球をがんばル子供たちの、小さなご褒美だったから。

佐々木投手は岩手の陸前高田市に住んでいた幼い頃より、祖父母が用意してくれたおやつのコアラのマーチやチョコパイが大好きでした。中でもチョコパイは震災で亡くなった祖父母を思い出させるお菓子だそうです。

大船渡高校を卒業した際には、学校の生徒や教職員に600個ものコアラのマーチを贈ったそう。式典の前に野球部の仲間たちに手伝ってもらって皆に手渡したサプライズプレゼント。チョコパイよりもコアラのマーチの方が一箱をより多くの人と分かち合えるからと考えたそうです。佐々木投手は野球だけでなく、どうすれば皆が心から喜んでくれるのか、それを実行する天才でもありますね。

ちなみに、コアラのマーチは成長期の子供に嬉しいカルシウム入り。佐々木投手のように身長を高くするのにはもってこいのおやつでもあります。

あ、なんだか私までコアラのマーチが食べたくなってきました。子供の頃のまっすぐな想いがよみがってきそうで、今すぐその懐かしい味とあの頃の夢を甦らせたくなりました。

お菓子ってすごい。
勇気や想いを届け、言葉以上にぐっとくる味わいで、それは時間も言葉も国境もあっという間に超え、私たちを友情で繋ぎ、夢にもアクセスしてくれるんですね。

ロッテのお菓子は私たち日本人にはお馴染みのお菓子でも、チェコ選手にとってはクールな憧れの日本のお菓子。あのロウキがくれたんだぜと、意気揚々とエスカラ選手がチームメンバーに振る舞ったお菓子の味を、皆がずっと覚えていてくれるでしょう。

チェコは中国戦での奇跡の大逆転で4年後のWBC参加権を獲得し、今回の目標は達成しました。4年後にまた彼らは日本を訪れるでしょう。日本のリーグを目指す選手が出てくるかもしれません。4年後のWBCで、再びジャパンと対戦する日が来ることを心待ちにしたいです。

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