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アート関係を必死に理解しようとしてレビューするマガジン

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#デザイナー

メゾン マルジェラ「シネマ・インフェルノ」

メゾン マルジェラ「シネマ・インフェルノ」

マルタン・マルジェラだったころのデザインは、前衛的ではありながら、どこか垢ぬけない印象だった。良くも悪くも手作り感があった。

創始者が引退して、ジョン・ガリアーノがデザイナーになった。2015年のことだ。そのあと、マルタン・マルジェラが自らを語る映画が公開された。悪くはなかったのだが、映画そのものはマルジェラっぽくなかった。あの、真っ白ではない、ちょっとくすんだ白と特徴的なフォントで構成された、

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特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」

特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」

これはすばらしかった。

藝大美術館はひさしぶりにいった。
こぢんまりとした美術館で、質のいい展示をする印象がある。以前は狩野派の展覧会だったが、これもとてもよかった。

今回は、蒙古襲来絵詞や、春日権現記絵など、すばらしい作品がいくつもあった。
また、平安時代の書物などは、書の美しさだけでなく、紙や装丁も凝ったものが多く、当時は自分が思っていた以上に豊かで、発展していた時代だったのだと知った。

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アート:石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

アート:石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

石岡瑛子は資生堂のデザイナーとしてキャリアをスタートさせた。アメリカにわたり、ハリウッド映画やオペラのコスチュームデザインなどを手掛けた。

ぼくは資生堂時代の石岡瑛子を知らない。「ドラキュラ」でアカデミー賞を取ったことは知っている。しかし、ひとりのコスチュームデザイナーであって、たとえばH.R.ギーガーなんかもそうだけど、「そういうすごい人がいるんだな」という感じだった。

石岡瑛子の展覧会にい

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