マガジンのカバー画像

読んだ本についてあれこれ語るマガジン

82
運営しているクリエイター

#アメリカ

ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

なかなかよかった。

自分の人生をもとにしたフィクション、という位置づけなのだと思う。謝辞のページにブコウスキーの著書を出版していた「ブラックスパロウ」や、作家のバリー・ギフォードの名前が載っていた。ブコウスキーやギフォードの名前を聞いてわかる人は、本作の位置づけもざっくりとつかめると思う。

日本の作家だと、中島らもあたりが意外と近いのかなとも思う。あそこまでめちゃくちゃではないんだけど。

もっとみる
あしながおじさん

あしながおじさん

名作として知られる作品だが、読んだことがなかった。
まず驚いたのは作者のジーン・ウェブスターが女性だったことをはじめて知った。男だと思っていた。

本作がおもしろいかどうかというと、本作の主人公であるジュディに感情移入できるか、もしくは本作のあしながおじさんのように、彼女の言動を楽しめるか、という点だと思う。小生はどっちにも乗っかれなかった。翻訳者が楽しんでいるのはわかるのだが、その楽しさを共有で

もっとみる
パパ・ユーア クレイジー

パパ・ユーア クレイジー

なかなかよかった。
サローヤンが自分の十歳の息子の視線を借りて、父親との生活を描く。
十歳の子どもがこんな会話をするだろうか、という印象だが、アメリカではそうなのかもしれない。むしろ大切なのは、物事にたいして自分なりの視点や考えを持つということで、そうすることによって自分なりに世界を見つけていくことができる。その過程とは、ディスカッションを大切にするアメリカという国の教育そのものなのかもしれない。

もっとみる