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あしながおじさん

名作として知られる作品だが、読んだことがなかった。
まず驚いたのは作者のジーン・ウェブスターが女性だったことをはじめて知った。男だと思っていた。

本作がおもしろいかどうかというと、本作の主人公であるジュディに感情移入できるか、もしくは本作のあしながおじさんのように、彼女の言動を楽しめるか、という点だと思う。小生はどっちにも乗っかれなかった。翻訳者が楽しんでいるのはわかるのだが、その楽しさを共有できなかった。たとえるならば、テレビで芸人が楽屋落ちのネタで爆笑しているのを見ているような気分だったなあ。本作は楽屋落ちのギャグではないんだけど。

内容としては、孤児院育ちのジュディが富裕層の男性(あしながおじさん)の支援を得て大学で勉強をさせてもらうというもの。ジュディは支援を受ける代わりに報告の手紙を書く。この書簡が本作のメインの文体となる。「会えるアイドル」を応援している人はこんな世界を夢見ているのかもしれない。

「車輪の下で」の対になるような小説だなあと思って読んだので、本作の順風満帆ぶりが、なにを訴えているのかわからなかった。解説を読むと、本作は1912年当時の女性の生き方指南のようなものだという。そう言われると納得できた。日本だと大正時代であって、モガってこんな感じだったのかなと思うと、なんとなく本作の位置づけが理解できた。

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