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「憎まれっ子世にはばかる」

みなさんは「憎まれっ子世にはばかる」という諺をご存知だろうか?簡単に言えば、憎らしい子ど(大人)ほど世間では偉そうにしていると言う意味らしい。諺の由来は江戸時代のいろはかるたで、「に」で始まるかるたに用いられたことから始まる。類義語として「雑草は早く伸びる」という言葉を昔誰かに教えてもらった気がします…

反対語としては、「正直者が馬鹿を見る」「善人ほど命が短い」などがあります。

私は正に反対語の正直者だと思います。
他人にも真面目に物事を考えすぎる、余計な事まで心配しすぎだよ、もっと気を抜いてなど言われがちです。自他共に認める真面目気質です。

善人は命が短い

私も気がつけば30歳手前。幼少期に良くしてくれた近所のおじいちゃん・おばあちゃんや私の祖父母も次々に天国に行ってしまっている。
その中で痛感している事。
少し棘のある内容になってしまうのだが、「俺にやらせろ!」「私が一番!」など自我が強いくせ者はピンピンと生きている事だ。

・周りの話を遮って話をする
・町内の悪い噂をかき集める事が大好き
・相手が傷つくことをさらりと言う
・人の個人情報を勝手にばら撒く
・周りの意見は受け入れない、自分こそ正義
・順番抜かし、信号無視などモラルゼロ
こんな特徴を兼ね備えている人ほど、しぶとく生き残っている印象だ。そしてそんなくせ者を側で支えるパートナーが早死にしているケースが本当に多い。
「うちの人、口悪くてごめんねぇ。傷ついちゃったでしょう。」
「natoちゃんこれ好きかな?食べる?」
そんな優しい心をもった多くの人は、病の仕業により早々に天国へ旅立ってしまった。

癇癪持ち


今年の大河ドラマ「どうする家康」ブームにあやかり、私も徳川家に関する書物を読んだのだがその中で初めて知った言葉がある。
「織田がつき羽柴がこねし天下餅すわりしままに食うは徳川」
織田信長はかなりの"癇癪持ち"だったという逸話が残っている。信長の家臣であり後に裏切った明智光秀に対しては、大勢の重臣がいる中で打ち据えた(動けなくなるほど殴ったりすること)というエピソードも残っている。これは裏切りたくもなる…。そんな憎まれ話もある信長だが、天下人として戦国時代を生き抜いたのだから、本能寺の変が無ければもっと長生きしていたに違いない。
鳴かぬなら殺してしまえ、ホトトギス。ですもの…

ただ一つ感じた事は、上記に記した餅の一句。
天下統一を「餅つき」にたとえ、織田信長が杵で餅をつき→明智光秀がその餅をひっくり返す→羽柴(豊臣)秀吉が餅を丸める→最後にゆっくりと餅を食うのが徳川家康という表現をした句である。

私は癇癪持ちの信長が「図太い神経ポジション」にいると今の今まで思っていたが、この句を見ながら考え直してみると違うように感じた。
3人の中でずば抜けて「図太い神経」を持っているのは、家康だと思う。ホトトギスの句にもある様に、彼は獲物が弱る瞬間を上手に見極め、体力を無駄に使わず温存させ、時が来たら喰らうのだ。

それを証明するかの様に、徳川家は13代まで続き江戸の世を築いた。憎まれっ子にはなりたく無いが、苦手な人や嫌いな人に対しては、禅語でいうところの和顔でやり過ごしていきたい。
「さすればお主も長く生きよろう…」
そんな家康公の言葉が聞こえてきそうな気がした夜でした。

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