見出し画像

好きなものの言葉をいうだけで幸せになれる

息子が3,4歳の時、結婚記念日に近くのイタリアンレストランに行った。
当時住んでいたマンションの窓から見える近さの、気さくなトラットリアだ。

気を遣って、外の道に面したテーブルに座った。

いすによじ登って座った途端、息子は「ぼく、からあげ」。

「からあげはないんだよ」
びっくりしたあと、キュッと「じゃあ、いやだ」の表情でこちらを見る。
「他においしいものがたくさんあるよ」
「からあげがいい」
「トマトのスパゲッティーがあるよ」
「スパゲッピー?」目がキラリ。
「ほかのお肉もお魚もあるよ」
「ふ~ん、じゃ、いいよ」

道に面した席にしたので、知り合いが目の前を通り
「あら、いいですね~」
「今日はごちそうですね」
と話しかけられて、ちょっと恥ずかしかった。
「結婚記念日なんです」
「おめでとうございます」なんて会話があって。

その時に食べた「ズッパ・ディ・ペッシェ」が絶品だった。
ズッパはスープ、ペッシェは魚。
魚のスープだ。こんな感じの。

20210426ズッパインペッシェ

こくがあって、魚介の香りと味がたっぷりしていた。
臭みもなく食べやすく、海の味が深い。
私たちもだが、息子が気に入って「もっと、もっと」とおかわりを要求。
いっぱい食べて、大満足だった。

息子は一生懸命に何度も「ずっぱいんぺっしぇ」という言葉を繰り返した。
大好きなものの言葉をおぼえたい、というように。


好きな言葉をおぼえるのって、楽しい。
私は12歳くらいの時、植物図鑑の花の名前をおぼえた。
こぶし、サンシュユ(山茱萸)、ロウバイ(蝋梅)・・・
図鑑の春から読んでいったので、おぼえている名前も春の花が多い。

たとえばサンシュユ(山茱萸)はこの花。春先に咲く。

20210426山茱萸

ロウバイはこの花。上品ないい香りがする。

20210426ろうばい

名前を知っている花が多いので、春の散歩はとても好き。
いつもより世界が親しい友に感じられる。


少しして、電車の中で息子とことば遊びをした。
どちらかが言葉を思い浮かべて、その言葉を当てっこする遊びだ。

「お花だよ」
「何色?」
「いろいろな色がある」
「保育園にある?」
「あるよ」
「パンジー?」
「ちがう」
「チューリップ?」
「あたり!」

「お母さん、言葉を決めたよ」
「う~ん、それは乗り物?」
「ちがう」
「食べ物?」
「そう」
「うちでよく食べる?」
「うちでは食べないかな~」
「おやつ?」
「ちがうよ」
いくつか質問を繰り返して、

「ぼくが好きなもの?」
「そう」
「一番上はなあに?」
「ず」

「あ」といってぱっと明るい笑顔。
「わかったあ♬」

もううれしくてたまらない、という顔で、うふうふ、と笑ってしまう。
「あのね、あのね、え~っと」

「ずっぱでぃぺっしぇ!」

いえた!
大満足の顔。

好きなものをいうときって、こんなうれしそうな顔をするんだ。
心が光で照らされるような。

言葉と好きなものがまっすぐつながっている。
その、幸せ。

好きなものってすごい!
好きな言葉ってすごい!

いうだけで幸せにしてくれる。

特別な呪文のように。

画像4


読んでくださってありがとうございます😊スキ💗、フォロー、コメントをいただけたら嬉しいです💖


企画参加募集中です↓


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

子どもの成長記録

サポートいただけたら、よりおもしろい記事を書いていきますね💖 私からサポートしたいところにも届けていきます☘️ものすごくエネルギーになります✨よろしくお願いします。