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甘やかなるモノトーン

白と黒、熱さと冷たさが一体化し、渾然と混ざり合う一瞬に至福の時がある。 

ねっとりとした視線であなたを見上げる。 

悪魔は私じゃない。それはあなた。 

「ドルチェはぼくの部屋で」と耳元で囁かれた。
デザートをイタリア語でいうのに、ズボンにはパン屑がついている。

 笑う私を怪訝な目で見る。  

「東京の冬は寒い」とぼやくあなたがわからなかった。
 「北海道のほうが寒いでしょ?」というと、首を振る。  

札幌のあなたの部屋に来てわかった。
 暖かく、居心地のいい室内。寒がりの私も、薄手のセーターでくつろげる。 ソファの袖に、猫のように首をのせる。 

 深みのある香りが立ち込める。

 差し出されたのはアフォガート。
 エスプレッソの湖にバニラアイスが浮かんでいる。 

ひと口ずつゆっくりふくんでいると、ほどけるように溶けていく。
 喉鼓を鳴らしながら味わうと、もっともっとと舌がねだる。

 蜜のような時間。
 あなたともっと睦び合いたい。 

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