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[勝手に大橋ちよ賞] 俳句編 [十六夜杯]

十六夜杯の勝手に賞やります~。
これは公式ではなく私設賞です。どうぞよろしく。

俳句編。
詠み人伏せた状態で全句拝見して選びました。
俳句は特に、選んでからの誰のだろう?のワクワク感がすごいです。

たった17音の中にたくさんの決まりや暗黙のルールが俳句にはあります。
その中でどれほど自分を出して世界を語れるか…それが俳句なのかな。

さらに私は、現代人らしい、破戒的な句にも心動かされます。
いろいろな角度から楽しめるのが俳句の素晴らしさだなと思うのです。

というわけで、選んでみましたよ。
※各賞ごと並び順は投稿順です

◎勝手に金賞


教えてよどの音なのよキリギリス

詠み人:はやしっぷ♡さん

童話のようなワンシーンが思い浮かぶ一句です。
それでいて、自分らしく今を生きるキリギリスに人生を問うているような、そんな哲学的な香りもします。



語りえぬもの語る友月の宴

詠み人:雪ん子⛄(おっちー)さん

この句を読んで私は、みんなで焚火を囲んでいる時のことを思い出しました。
無言で火を見ているだけなんだけど、心は繋がっている感覚。
たくさんたくさん語りあった後に訪れる、そんな静かな時間も私は好きなんです。



生ゴミを食む鳩の群れ運動会

詠み人:camyuさん

とっても好みな俳句です!!
食んでいるのが生ゴミなところがこの句の奥行と感じます。

鳩は身近で好きな鳥ではありますが、ちょっと目が怖い…。
ただ可愛いだけじゃない生々しい命の営みを感じました。



三日月を背置いてゆくや豆腐売り

詠み人:汐田大輝さん

短歌編でも汐田さんの歌を選ばせていただきましたが、こちらの俳句も浮世絵のような情景がバシッと思い浮かぶ一句です。
すばらしいです!!!!



笑えない虚数の僕と素数の君

詠み人:十六夜さん

明確な季節感はないのですが、これは春でも夏でもないな…という句。
落ち葉を踏みしめながら思うのにぴったりな句ではないでしょうか。
数学と秋は似合います。

全く異なる性質の二人。
僕の片思いなのかな…と思いつつ、相まみえない二人が結ばれる物語を考えたくなりました!
虚数や素数という文字を見るとなぜか宇宙を感じます。
人の心を詠っていながら、とても壮大な一句です。



宿題のゴールの見えぬ残暑かな

詠み人:これでも母さん

詠み人確認を解禁して、母さんwwwとなりました。
母さんと共感が多いような気がしてます私。

私の子はまだ未就学児ですが、数年後にはこうなってそうだなと、未来を見た気がしました。
なぜなら私がそうだったから…。
私は「やらずに終わる残暑かな」でしたがw

なんとも言えない哀愁の漂う一句です。



古の紫式部光るBERRY

詠み人:春~と共にさん

紫式部の実の色がとても好きです。
娘が保育園のお散歩で持ち帰って来て秋だな~と思います。

“古の紫式部” と “光るBERRY” が今昔みたいで面白いです。
光るBERRYが光源氏っぽい感じもしますし。

紫式部は現代にいてもヒット連発の作家になったのではと妄想します。



ヒヨドリに残す無花果お静かに

詠み人:夕凪遙さん

うちのばっちゃが、生前に果物を庭の木に刺して鳥が来るのを眺めてました。
そのころは割と山の方に住んでいたので、いろいろな野鳥が遊びに来ました。

そんな思い出と共にほっこりしました。無花果を残してるところも色気があってよいです。



◎勝手に銀賞


赤き月 そぞろ歩きの三次会

詠み人:せきぞう、さん

絵になる俳句だなと思ったら、せきぞうさんの絵付きの一句でした。
何やら昭和の繁華街の香りもする一句でした☆



艶肌つやはだの割れるのを待つ柘榴ざくろかな

詠み人:歓怒さん

時が来るのをじっと待っている。小さな宝石のような粒粒。
これを人に例えて、いろいろなふうに読める一句でステキと思いました。



秋の朝テレビはキーフを伝えをり

詠み人:KOMAさん

日常の一コマの中に戦争の足音。今しか詠めない句だなと思いました。
百年後に読んでも胸に来る一句かもしれません。



つまの腹つかむバイクや天高し

詠み人:袋小路 綴乃さん

我が家も以前はバイクに二人で乗ってました。今は車になっちゃいましたが。
“腹つかむ” という表現ひとつで、二人の長い時間を感じさせる一句です。



掻き出した子宮は空、残月

詠み人:MITEI NARICOさん

これはかなり攻めている句で、私はパンク魂を感じました。
何か内に向かって行く印象もあるこの句は、もう一つの「虚栗」の句と連動してるのかなと感じました。



歌うのを 知らぬ案山子に 鴉寄る

詠み人:月夜案山子さん

田園で見る微笑ましい風景に思いを馳せつつ…。
案山子を自分になぞらえて読むこともできる句だなと思いました。



十六夜に居酒屋行こういざ酔いに

詠み人:PJさん

ダジャレ…と思ったらPJさんでしたw
標語のようで、さらにこのご時世に読むとジワジワくる一句です。



り立つは旅路のはて刈田かりたかな

詠み人:k_maru027さん

これはもう、私の好みの音の並びで一目惚れです。
旅路の果てが刈田なところで、ある人は遠くに来たと思い、またある人は帰って来たと思うのかも。



学園祭終わりの星が満ちている

詠み人:たまごまるさん

ノスタルジーです。
私の母はわりと厳しかったので門限がずっとありました。
でも学園祭の時だけ夜遅くまで学校にいれる特別感があり、その時見上げた夜空を思い出しました。



足早に向かふ待合まちあい夕月夜

詠み人:中岡 はじめさん

最初に句を選んだときは待ち合わせ的なことかと思ってたのですが、待合ってラブホ的なとこだったんですね。
はじめさんの記事でそれを知りまして、それならますますこの句よい!! となりました。

うちの近所に唐突にラブホがあるんですけどね、割と住宅街なのに誰がこんなとこでラブホ行くのか?と思ってると、意外と頻繁に出入りがあるんですよね~。
足早に向かう人たちにはいろいろなドラマがあるんだろうなーと見ちゃいます。



紅葉の眩しき麓に君が待つ

詠み人:xu❄さん

いいですね~とてもよいです。
時々こんなロマンチックを吸収したくなります。
絵に描きたくなるような美しい一句でした。



継続の意味を噛みしめ秋祭り

詠み人:沙々良まど夏さん

うちの近所でも久々開催のお祭りがいくつかありました。
子供たちがうじゃうじゃ集まっていて、こういうのをやめちゃいかんな人類は…と思ったのでした。



ベンチには遊び疲れし猫じゃらし

詠み人:キラキラヒカルさん

誰かが置き去りにしたらしいものって物語がありますよね。
ひとつの情景からいろいろ妄想できるステキな句です。



鰯雲三年ごしのマーチング

詠み人:夕凪遙さん

三年越しの重みがあるのはもしかしたら今だけかもしれませんね。
大人の三年よりももっと重い三年間だったろうなと思います。



馬肥ゆる三段腹の抑止力

詠み人:路傍の花(O87)さん

破壊力のある句です。思わず自分の腹を見ちゃいました。
ゴロもよくて声に出して言いたい句です。



以上です。
すばらしい俳句をたくさんありがとうございました!!!

★勝手に賞は、本当に誰でも勝手にやってよいのです★
ぜひみなさまも!!

★十六夜杯 俳句 決勝やってます。通りがかりでスキしてもよし。
11/1(火)20:00まで


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