自然を見つめて秋の俳句
艶肌の割れるのを待つ柘榴かな
歳時記の言葉や写真で見ても、あのつややかな色感は伝わらない。実際に目にするとザクロは光沢を持って青空に浮かんでいる。
名月も欠けて三日の朝の風
十六夜は十五夜の次の晩だが、さらにもう一日過ぎれば少し欠けて見える。それでも自己主張をしながら、朝になり、青くなった空に白い姿で浮かんでいる。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる 藤原敏行
これは聴覚で秋を感じる古今集の歌だが、目の前の朝の月は、視覚と触覚、皮膚感覚で秋を感じさせてくれる。季節は流れていく。
赤蜻蛉人も決まった道歩む
赤トンボは田で生まれ、山で育ち、秋になると平地に降りてくる。決まったコースをたどるけど、人はそれ以上に決まった通路で365日職場や学校に通っている。
生き物は全て、生まれて生きて、命を輝かせる。
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