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日々のできごと 初夏の音

日記のようなものです。


4月某日

散歩をしていたら、白山吹が咲いていた。

4月、いろんな花を見たけれど、いちばん心に残っている。
ひかえめで、楚々とした花。そういうものに憧れる。


4月某日

フィルムカメラをはじめて半年。
心がゆれてゆれてしかたないときは、いままでは水辺に行ったりして、凪ぐのを待っていた。
最近は草花を撮っている。

花は、ゆれる。ちいさな風にもゆれて、私もまた、ゆれている。
しんとして、しずかにいたい気持ちもあるけれど、ゆれてしまうときはゆれていればいいのかもしれない、と思うようになった。

フィルム写真って、三人称という感じがする。
私がまなざして、シャッターをきっているけれど、現像したものはいつも、私ではないだれかのまなざした世界になっている。


5月某日

私のふるさとはよく風がふく。
田舎家で昼も夜も戸窓をあけっぱなしなので、しじゅう風が流れている。

GWに帰省して以来、ずっとその風がふいている感じがつづいている。

✴︎


風にまつわる好きな短歌があります。

風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける

笹井宏之『てんとろり』


あなたの夜がどうかすこやかであるように。
遠くから小さく風を送るような。

シーツのような、うすぎぬ1枚。かけたか、かけてないかもわからないほどのさりげないふれかた。ささやかな想い。気づかれないかもしれない。それでも風のような、やわらかなものとしてあること。

私もまた、そういうものでありたいと思っています。



ー 春のありがとう ー

◯マガジン追加ありがとうございました

かなで。さんサークル『エッセイのまち』のどなたかさん糸崎 舞さんhisataroh358さんいとかよさん楡森ゆりのさん

◯記事のおすすめありがとうございました

しんきろうさん

◯記事での紹介ありがとうございました

りようさん(

そして、読んでくださったみなさま、ほんとうにありがとうございます。
表現すること、受けとめること、気持ちを伝えること、おなじ場ですごせること、その尊さをいつも思います。そばにいてくれて、ありがとうございます。
どうか、すこやかな日々がつづきますように。
そっとシーツをかけるような気持ちで、ここから祈っています。


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