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僕はグラデーション職人

色とりどり。何色あるんだろう。

コーデュロイのスカート、ぶ厚いニット、
格子模様の入った上着

僕のしごとはこのこたちを
ぴしっとまじめに整列させること

背比べをするでもなく、試験の点数で比べるなんてことでもなく。

虹の橋を思い出してみよう、
なないろの道が仲良くよこならび。
みんなでひとつ、みんな揃って虹になる

そんな姿を頭に浮かべる。

あるいは。
むかし、絵を描く時間にメガネのもじゃもじゃおじさんに習った、色相環。
色の輪っかはたしか12の色からできている。
虹の橋よりももっと綿密に。隣同士が仲良し

そうやって目の前の色たちは並べられていく
背でも成績でもなく、もちろん好きな順番でもなくて。

虹や色相環みたいになるように。
すこしずつの色の移り変わりを気にして。

そしたら、ほら。
虹にも負けない綺麗な列を作った。
ついつい撫でてしまう、ついつい指で追う。

ぼくのしごとは凄いんだ。
素敵な整列の最高責任者。

なんてったって僕は、グラデーション職人。
なめてもらっちゃ困るんだ

さあ、洋服屋さんを後にして
これから向かうのは絵の具やさん
その次は傘やさん。

本屋さんは、色のならびは必要ないらしいから仕事で行ったことはないんだ、つまらないな。

いつかぼくは虹よりも高い雲に乗って
ぼくの作った整列を空からいっぺんに眺めてやるんだ





.

古着屋でアルバイトをしています
倉庫みたいに、広くて壁が高くて
とってもたくさんの洋服が並びます。

寒くなって、厚手のフィッシャーマンニットが入荷したり、コーデュロイのパンツもたくさん並びます。

わたしの大好きな仕事。
お店をお客さんにみてもらうこと。
広い広い店内では、ひとりひとりと話すのは大変だから。素敵なディスプレイやラック、トルソーでお客さんの目を輝かせたい。

その中での1つ。色並べは大切なお仕事。明るい色、暗い色。寒色に暖色。夏と冬で並べ方も一工夫。柄物があるときももう一工夫。

出来上がったときの喜びと、その美しさといったら。

自己満足もあるけれど、きっとどこかで誰かの心に引っかかって。心躍っていたら。

新年は年1番の繁忙期。
忙しい中、昨年のアルバイト中に考えた
グラデーション職人のおはなしをふと思い出し
ここに綴ってみました。

挿し絵も必要だなこれは。

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