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読書人間📚『肉体の学校』三島由紀夫


『肉体の学校』    著者 / 三島由紀夫

1963年(昭和38年)、雑誌に連載され、翌年1964年に単行本刊行された長編小説。

三島由紀夫の恋愛エンタメ作品。これがもう直ぐ60年前の作品か!?と驚く内容。まるで時差を感じさせない。
今も変わらず三島作品の中の話は現代もどこかにある。
だからこそ、長く読み続けられる傑作恋愛小説なんだと先ずは思います。


主人公、妙子はとても魅力的な女性で彼女の心理描写が細やかに描かれています。
後半、胸をえぐられるようで私は涙します。

私にもあるなぁ、ああ言う所…
素敵だ!と浮かれて居たのが幻だったかのような、サッーと熱も愛も恋も霧となって消えていく瞬間ってありませんか?我にかえりますよね。


相手の男(千吉.ゲイボーイ)について解説の郡ようこさんは触れていませんが、この手の男性には特に「触らぬ神に祟り無し」と、一言仰ってるように感じました。同感。

解説から妙子の様な女性は
彼女には自分がした行動全てについて、自分が責任をとる覚悟が感じられる。彼女には「逃げ」がないのだ。」、「太刀打ちできない」と言っています。千吉の様な男にまで逃げる事無く自ら終わらせる。とても男気があるように見せていますが、それは裏を返せば女性らしくしなやかな母性、人情深く、愛に惜しみなくエネルギーを使い果たす人だと言う事を表し、ただの気高い女とはわけが違います。

千吉は妙子とは真逆の可哀想な人生ですが、内面に反して美しい美貌と肉体。でも未熟さ故に起きた悲劇。
あそこまで手段を選ばず生きている人はいつの時代も居るでしょうが、それが崩れた時の哀れさと言ったら. . .


解説者が
千吉について言及して無いのは何故だろうと思いましたが、最後の妙子の一言に同性として、妙子の愛へのたくましさ、強さ、エネルギー故にもう何も千吉にかける言葉は無いと言う事だと感じました。


読み終わりの深いため息。
本の中で必死に私も恋をし、苦しい愛に打たれた様な感覚は妙子にただただ感服です。

 
女性からの視点描写作品。
三島由紀夫が何故こんなに女性の気持ちがわかるんだ!?どんな恋愛をした人なんだ!?
女性に対しとてもきめ細やかな人だったんだろうか?
と驚く一冊でした。


以上、2017年に読んだ感想です。(過去にsnsに掲載した内容を一部削除、加筆しています)
この後私は、美輪明宏さんについて調べ物をする事があり、当然、友人だった三島由紀夫も調べる事になります。どういう場所と、交友から生まれたものか見えてきて、なるほどと更に面白く感じます。
そして今また2021年、再読するとまた新たな感想が生まれそうですね。ただ、あれ程の恋愛をもう一度体感するには体力がいるので再読はいつになるかわかりませんが. . . 

三島由紀夫をどこかのバルコニーでクーデター騒ぎ起こしたヤバそうな人だとか、政治運動のヤバそうな人で、筋肉美マッチョに執着しておきながら、割腹自殺をしたやっぱりヤバそうな人。と言うイメージは頭から消して、三島由紀夫文学を食わず嫌いしている女性の皆さんに是非読んでもらいたい一冊です。
男性ももちろん楽しめる一冊ですが、女性にはちょっと、いや結構引かれ気味な作家だと思うので、わたし的には友人にお薦めの本を聞かれたら先ず本書を"シビれる"一冊として薦めます。

解説 / 群ようこ
カバー装画 / 山本容子
装幀 / 安野光雅
ちくま文庫


1965年(昭和40年)岸田今日子主演で映画化。

監督 / 木下亮
音楽 / 池野成

主題曲は、バッハの《無伴奏フルートの為のパルティータ》
私はこの映画は観てないので、調べたところこの曲ではないだろうかと推測ですが、この曲でしたらピッタリです。

尺八での演奏も素晴らしいので貼っておきます。


1998年(平成10年)フランスで映画化。

The School of Flesh』 (French: L'École de la chair)


(過去にsnsに掲載した内容を一部削除、加筆しています)
こちら #みんなのおすすめ本 に選んで頂きました💮

#本の記録 📚 #映画 #三島由紀夫 #肉体の学校

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