映画🎞 『ブルーに生まれついて』チェット・ベイカー🎺
線の細いアンニュイな儚げな歌声、マイルス・ディビスとは全く合わさらず、イメージ通りのジャズマンとは一線を画するルックス、個性。
イーサン・ホーク演じるチェット・ベイカーの魅力的なことと言ったら、本来なら手にあまる身勝手ぶりにお手上げになりそうな女ごころも、これじゃぁ仕方あるまい、支えていかなくてはと腹を決める気持ちはわかります。がしかし現実はそう甘くはない。
夢を見ているのはチェットベイカーひとりだけ。夢の中に大切なはずのパートナーさえいない。彼女はそれを演奏の中に突き付けられます。
非凡な才能とルックスを持ちながらドラッグなくしてその能力を発揮できない... 生活という現実を生きなければならない彼女には彼を支えることの限界を感じても無理はありません。
ミュージシャンとドラッグ。周りが見えぬ程酔いしれなければ演者として成り立たないなら、それもその人の人生でしょうか。運命という程には共感はしにくいですが、黒人ではなく白人としてブルースを奏でるには苦境であったとは思います。しかしそれは結果的に彼の持ち味とし、頼りなげな歌声も更に彼の放って置けない気性、危うさも奏者としての魅力として備わっています。
この映画を観ただけではチェット・ベイカーというジャズトランペッターの性質はわかりませんが、作品としてはとても魅力的で残念なチェット・ベイカーを堪能できました。
イーサン・ホークの歌声、その佇まいが素晴らしく官能的で悲哀に満ちていたことが何よりも収穫です。イーサン・ホークでなかったら美しい大自然も大画面に映えなかったでしょう。
私も彼女と同じ立場なら、愛おしくてならない涙と諦めの涙と、一生忘れられない男として生涯閉じる瞬間に思い出すだろうと思います。
イーサン・ホークが歌うのは
「My Funny Valentine」と「I've Never Been In Love Before」の2曲。
難癖ではありませんが、トランペットの音は私の好みではなかったのがちょっと残念(気になる方はサントラを検索して下さい)。
歌に関しては、本人のYouTubeもピックアップしましたが、歌は "うたわない" もの、"うたわない" 事こそ歌だと感じられる大切なものが表れていて良かったです。
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