読書人間📚『デンジャラス』桐野夏生
『デンジャラス』 著者 / 桐野夏生
文豪、谷崎潤一郎の業と晩年の女達に焦点を当てた小説。3番目の妻の妹、の視点から描かれる。
文豪達のラブレターは公開されているものも多く、谷崎潤一郎ももちろん送っています。
「私の芸術は実はあなたの芸術であり、私の書くものはあなたの生命から流れ出たもので、私は単なる書記生に過ぎない。」
「私に取りましては芸術のためのあなた様ではなく、あなた様のための芸術でございます。」
桐野夏生さんは、谷崎潤一郎のことをこう仰っています。
"「小説の鬼」といいますか、「小説に囚われた作家」だと思っています"。私もそう思いますね。
この文豪、谷崎潤一郎王国の中で女の実績を積む事の過酷さは時代の象徴でもありますでしょうがミューズである事の苦悩は快感でもあり、一度味わってみたならば麻薬の様に取り憑かれていくのでしょうか。
でも、女達は解っている。
小説、最後の一行に全てが物語る. . .辛っ、
デンジャラスと言うタイトル、桐野夏生さんの作品としては、もう少しドロっとエゲツなく描いてある事を期待したのですが、"あれは色ボケ爺"と書くまでに抑えてあります。ちょっと肩すかし。
ですが、さすが桐野夏生さん。
女達の心情を細かく描写してるだけにその心が痛々しく刺さり、疲労を感じながらもなんとか読み終えました。
因みに谷崎潤一郎の『痴人の愛』を過去に読んでいますが、まぁほんとに谷崎さん!ったら!!(><)!な人ですね(女たちには大変な気苦労なお方。女性の読者は少ないかも??)。
装画 船田玉樹 / 花の夕 1938年
装幀 鈴木久美
中央公論新社
船田さんの代表作にここで逢えるとは!谷崎潤一郎オマージュに加えて絶品!
#本の記録📚 #谷崎潤一郎 #桐野夏生
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