内閉鎖筋-股関節安定性に寄与する縁の下の力持ち-
はじめに
今回は内閉鎖筋について学んでいこうと思います。
「内閉鎖筋」と文献を検索しても、文献の数が少ない印象です。
その数少ない文献や参考書(キネシオロジー等)から色々な情報を集めてみると、
内閉鎖筋の重要性に気付かされました。
明日からの臨床では、
深層外旋六筋を一括りに考えてしまうことも無くなるでしょう。
それぞれの筋に別々に治療していくことが外旋筋へのアプローチ効率化に繋がると考え、今回内閉鎖筋についてまとめていこうと思います。
起始停止/作用
起始:閉鎖孔周りの寛骨内面および閉鎖膜
停止:大腿骨転子窩
作用:股関節外旋
画像では青く光る筋が内閉鎖筋です。
上双子筋と下双子筋の間に挟まれています。
内閉鎖筋は深層外旋六筋の中でも、生理学的断面積が大きく、その分モーメントアームも長い。
内閉鎖筋を基盤として、大殿筋や中殿筋後部線維が働いていると考えられます。
股関節安定性を微調整する役割
内閉鎖筋の股関節安定性に関する研究があります。
(A):安静立位中、内閉鎖筋は小坐骨痕が形成する滑車を通過する際にその向きを130°変える。
(B):大腿骨固定下での立位中、内閉鎖筋の収縮は大腿骨に対する骨盤の(股関節)外旋を引き起こす。この筋が収縮したことで関節内に生じる圧縮力(関節力)は高まる。
これらの研究・解剖学から内閉鎖筋は股関節安定性に関与することが理解できます。
内閉鎖筋が股関節安定性に関与することは知っていましたが、
説明してと言われたらここまで話せる必要がありそうですね。
内閉鎖筋の訓練方法
内閉鎖筋について知識が深まってきたところで、
重要な内閉鎖筋の訓練方法について学んでいきましょう。
こちらの表は股関節屈曲0°と90°で内閉鎖筋の作用が異なることを表しています。
ここで着目するポイントは股関節屈曲90°では外旋作用が減弱していることが分かります。
つまり、クラムシェルで内閉鎖筋を狙う場合は股関節90°で実施しない方が良いという解釈ができます。
股関節屈曲位での外旋運動は内閉鎖筋の訓練を効率を下げると考えられます。
これを考えた上で内閉鎖筋の運動療法を考えるとなると
股関節屈曲0°でのクラムシェルが適していると考えられます。
ですが!
内閉鎖筋について色々な参考書や文献を探していくと、意見が異なる報告を見つけたのでここで紹介しておきます。
なんと先ほど紹介した文献と異なる意見が出ているのです。
これではどちらを信じれば良いかわからなくなります。
このような場合は研究された年、対象人数、発信源などからどちらが信憑性が高いか考えていくのが良さそうです。
異なる研究結果を見つけたら…
前項で、研究された年、対象人数、発信源などからどちらが信憑性が高いか考えていくのが良いと伝えましたが、結局自分の目の前にいる患者さんに適しているか判断していくことが重要であると考えられます。
実際に内閉鎖筋を触診して収縮が得られる方を選択するのも良いですし、訓練後に効果判定して狙った部位に効果が得られるのであればその方法を選択していけばいいと考えています。
これから沢山の文献を読み漁ることによって、色んな意見に出会うと思います。情報に溢れた世界ですので、自分で情報を取捨選択していくことが大事になってくると思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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