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【子育て】こんなときどうする? #11 子育てについて相談したいとき

元幼稚園教諭/元保育士が綴る、子育てにまつわる、こんなときどうする? のお話。 #100まで記事UPチャレンジ中😊



「子育て外来」


加奈子は、今、子育てをしている。

先月、1歳の誕生日を迎えた娘。ころころと笑う顔がたまらなく愛おしい。
この3月には、育休も終わる。4月からは職場復帰だ。しばらくの間は時短にしてもらえることになったけど、今後の生活がどうなっていくのか、まだうまく想像ができない。

職場復帰の前に、しておきたいことがあった。

娘をベビーカーに乗せて、いつものスーパーまでの道をのんびりと歩いていく。よかった、娘もどうやら機嫌が良さそうだ。

スーパーを通り過ぎ、大通りを左に曲がる。ここのパン屋さん、本当にいつもいい匂い。あ、今週の新作が出たみたい。よし、帰りにゆっくり寄ってみよう。

5分ほど道なりに行くと、目的地だ。娘を連れて歩いてこれる距離にあるのが、本当に助かっている。

「こんにちは〜」

「あら、加奈子さん、待ってたわよ。ささ、中へどうぞ」

娘と一緒に、先生に案内された部屋へ入る。先生は紅茶をいれながら、娘に笑いかけてくれている。

「今日はどんな感じ?」

「はい。いよいよ、4月から職場復帰じゃないですか。それまでになんとか、少しでも歩けるようにならないのかなぁって。
まだずりバイが主な行動手段なんですよ、この子。ハイハイは、めんどくさいみたい(笑)
つかまり立ちも、たまーーに気が向いたらやってくれるくらいで…。
たぶん、保育園の同じクラスになる子たち、早生まれの子も少ないみたいだし、みんな歩けるだろうなぁって。うちの子だけ歩けなかったら、ずっと抱っこかおんぶでしょ?もう1歳過ぎてるんだし、まだ歩けないのって言われたら、私もどうしたらいいのかと思って…」

先生は、いつもの穏やかな顔で、話を聞いてくれていた。今日はアップルティーをいれてくれたんだ。はぁ〜。ほんのり甘くて美味しい。

「そっかそっか、まぁ確かにそれは心配にもなるわよね。10ヶ月くらいで、ハイハイもほとんどしないのに歩き始める子なんかもいるみたいね。昔はあんまりそういう子いなかった気がするけど。
娘ちゃん、ずりバイはどんな感じ?」

「それが、もう超高速なんですよ!その筋力あるなら歩けるんじゃない?っていつも思うもん」

「あははは。想像つくわ。ずりバイ上手な子って、本当にびっくりするくらい上手なのよね。
あとは、普段遊んでいる感じはどう?変わってきた?」

「はい。やっぱり前より、おままごとをしていて、『ちょうだい』とか『どうぞ』とか、なんとなくやり取りみたいなのができるようになってきて。成長したなぁ〜って」

「うんうん。これからもっとおしゃべりになるわよ。楽しみね。
ちょっと娘ちゃん、抱っこさせてね」

娘は、先生のことが大好きだ。人見知りの時期も、先生だけには笑顔で抱っこされていた。先生のあの安心感はどこから出ているんだろう。

「加奈子さん、じゃあ今日も『処方箋』出しとくから。また3月、時間あったら一度来てみて。復帰の前にまた少しお話ししましょうね」


–––先生からの『処方箋』には、こう書かれていた。


今日は来てくれてありがとう。
お話が聞けてよかったわ。
1歳前後になると歩く、って常識みたいになってるけど、そんなことはないのよ。
みんなそれぞれ、タイミングがあるの。
娘ちゃんも、歩いてみたいという好奇心の高まりと、身体の準備のタイミングが整ったら、歩くようになるのよ。大丈夫。
お母さんお父さんが、『歩いたら、今までとはまた違う、楽しい世界が待っているよ。歩けるようになるのを楽しみにしているね』と思ってくれていることが、1番の〈おくすり〉かもしれないわね。
またいつでも待っています。

それから、ラベンダーの香りの、マッサージクリームが一つ。

先生ってば、今日はまた一段と素敵な物を用意してくれたわね…。

今日は娘にぐっすり眠ってもらわないと。私はお風呂あがりに、いい香りのマッサージクリームに、うっとりするんだから。



こんな話が実際にあったら、素敵だなと思って、書いてみました(笑)

風邪をひいたら内科へ。
湿疹ができたら皮膚科へ。
汗を流したければジムへ。
イタリアンが食べたければイタリアンレストランへ。
ピアノを習いたいならピアノレッスンへ。


子育ての相談をしたいなら子育て外来へ。


この子育て外来という言葉も、この話も、記事内における架空のものですが、本当にこのような場があり、日常の中に子育て支援が密着していれば、救われる方も多いのではと思います。

親になったら、誰にも相談せずとも、しっかりと子どもを育てられるはず??

もしそうだとしたら、保育士が国家資格であることに説明がつきません。

保育や子育てに決まりきった正解はないとしても、よりよいかかわりや育て方について、信頼できる専門家に聞くことは、全くおかしなことではありませんよね。

病気になったら、医者に診てもらう。

それと同じように、子育てに困っていたら、子育ての専門家に聞いてもらえばいいと思うんです。

子育て支援センターなどで、こういった活動に力をいれているところも増えてきています。

誰もが子育てについて、気軽に相談できるような場所が、もっともっと増えていくよう、私もできることを一つひとつ、実行していきたいと思っています。







未来を担う子どもたちの健やかな成長を願って…。大切に使わせていただくことを約束します!