【パリ】外出制限中のレストランと、雇われシェフだから出来ること。

Chiku

2020年11月16日 09:26

◾️現在の状況

現在パリでは２回目の外出制限で、定められた理由以外での外出は禁止されています。全てのレストラン、カフェなどの営業が出来ない状況です。

少しでも利益を上げるためにテイクアウトを始めるお店、テイクアウトをしてもあまりプラスにならないと判断して完全に閉めるお店などがあります。

個人では出張料理、YouTubeやインスタライブなどで発信、リモート料理教室などをやる人がいます。

そんな状況でぼくらのお店は今のところテイクアウトをしないという選択をして、個人に行動が委ねられています。

ただ、週１度集まって新しい料理などの試食をしています。ぼく個人ではYouTube撮影、新しい料理の試作、新しい食材を探したりしています。

幸いなことに以前と違いマルシェが普段通りやっていて、良い食材が手に入るので助かっていますし、従業員の給料は働かなくても80%以上補償されています。

◾️雇われている料理人

フランスは年間１カ月以上のヴァカンスがありますが、料理人に限らず日本で働く人達にこんなにまとまった休みはありません。更に今こういう状況の中、レストランが休みでテイクアウトなどをやっていないお店のスタッフはとても時間があるはず。

制限範囲内なら何をしていても自由だし、日本に帰っている友人もいます。

経営者は大変ですが、今そういう立場にいない人はそれを最大限に利用して自分のスキルアップや、今後プラスになるようにした方がいいんじゃないかなと思います。

立場上は上かもしれませんが、経営しているから偉いわけじゃないし、雇われているなら雇われている立場を十分使ったらいいと思います。

ここで何をしているかで、レストランの営業再開した後や、今後の人生が変わるんじゃないかとまで思っています。というか、変えれるんじゃ無いかと。

普段時間がないことを言い訳に、やっていなかったことに言い訳が出来なくなるので、ここでやらなければおそらくそれをやる事は無いと思います。

と自分で発言する事でやろうとしてるのは、お店を知ってもらう為にYouTubeやInstagramなどを使うのは今じゃ当たり前かもしれませんが、YouTubeでちゃんと収益化をできるようにして、それを来てくれたお客さんやスタッフに還元したいという事です。

クラウドファンディングなどと違い、お金を払ってもらいそれを還元するわけじゃなくて、YouTubeを見てくれた人や応援してくれる人の思いでリターンしたいという考えです。ただ沢山の人の手助けが必要になります。

◾️これからやっていきたいこと

例えば、ランチ2500円とか3000円のコースでキャビアやトリュフ、フォアグラなどが出てきたら嬉しくないですか？

そもそもランチ2500円は安くありません。日本ならもっと安くて美味しいお店がたくさんあります。

そういう、激安では無いけれどちょっと贅沢してレストランに行った時に、こんなに安くて良いの？というのをパリでやりたいんです。

シェフや料理人は常に原価を考えて料理を作ったり仕込みをしています。それを考えないとビジネスとして成り立たないからです。（資産があったり、赤字覚悟で星を狙ったりする場合以外）

ただでさえ、飲食店は参入は比較的簡単なのに利益が薄くロスも出やすいので難しいビジネスです。

しかし原価を考えながら料理を作ることって当たり前なことだけど実は凄くストレスで、特にランチ2000円から3000円のフレンチで使える食材は限られてきます。

１人に半分使ったらいくらになるから1/3使おうとか考えて食材をカットしたり、あれ使いたいな、これが使えたらなと思います。

なのでいろんなシェフが決まった原価の中で創意工夫をして、コストパフォーマンスの良い料理を作って、かつお店の個性も出しています。

確かにそれが大切で、それしか手段は無いのかもしれませんし、自分もそう思って今まで15年近く学んで来たつもりです。

今のメニューもランチコースが21€（約2600円）と26€（約3600円）ですが、来てくれたお客さんがありがたいことに、「今まで行ったパリのレストランで１番コストパフォーマンス良い」と言ってくれた人もいて、お得な内容になっていると思います。自分でも行きたい値段、内容を意識して作っています。

◾️雇われシェフとして

オーナーシェフだからとか雇われシェフだからとかはどっちでも良くて、お客さんがお金を払う価値があって、喜んでくれたら良いだけなので、なるべく安い仕入れ先や良い食材を探して、手を加えて価値を上げたりする事は今まで通り変えずに、更にプラスアルファで普段使えないような食材を目に見える形でつけてお客さんに喜んで貰いたいなと思います。

もし良い黒トリュフが入ったら、メニュー代金にプラス10€です！とか言わず、今日はサービスです！ってやりたいんです。

何言ってるんだ？とか、決まった値段の中でやれないのは料理のウデが無いからとか、普通じゃないとか思う人もいるかもしれませんが、普通じゃないのはわかってるし料理のウデが無かったとしても極端な話、喜んで帰ってもらえればそれで良いと思ってます。

料理のウデもコストパフォーマンスも食材も喜ばす為の手段で、ウデや食材を自慢したい為にやっているわけじゃありませんから。

ずっとどういうお店をやりたいかということを考えながらやってきて、ようやく具体的なイメージが出来ました。

ちゃんと信頼出来るオーナーがいて、しっかりお給料を払ってくれているからこちらも応えようと思うし、料理を作るだけでなくまず知ってもらって、来てもらって、喜んでもらえるよう自分も自分の時間を使って今やれる事を全力でやろうと思います。

他のスタッフもいつも同じ食材じゃつまらないし、面白い食材や使ったことのない食材をどんどん使わせてあげたいし、それが経験になってやりがいもあればみんなが幸せに働ける職場になります。（人間関係は良好なので。）

この値段でこれが食べれるなら行こうと思って、お客さんもたくさん来て、喜んでくれたら結果的にスタッフみんなにもっと給料を払えるようにもなるし、良いことしかないので時間はかかると思いますが実現していこうと思います。

こんな外出しづらい時期に来てくださった皆様本当に、ありがとうございます！すでに何回も来てくださった人も！日々、より良い料理を作れるよう進んでいますので今後ともよろしくお願いします。

こういう時代になって、いろんな飲食店が本当に苦労して営業したり工夫してやっていると思いますが、やっぱり改めてレストランの存在価値を感じますし、こういう時に人を喜ばせたり、元気にさせるチャンスがあるこの仕事をしていて良かったと思います。

何よりこういう立場でやらせてもらい、お店を閉めている間も調理場を勿論自由に使って良いよ！と、快く使わせてくれる周りのスタッフや、アドバイスをしてくれたり刺激になるようなパリや日本の知り合いの料理人達の存在に感謝しています。

意見があったら教えて欲しいし、応援して頂けたら嬉しいです。

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