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<my story>出来ないものは「できない」から始まる2(30代~今)

職業:企画・経営  年齢:40代


【30代①家業】物足りない日々

嫁ぎ先は昭和8年創業、カップ・トロフィーなどの記念品等の販売をしている老舗。御所のすぐ近くに店を構えています。
結婚当初は、家族経営で義父・義母もお店に出ていました。
私と言えば、言われたことをする手伝いくらいで、本当に楽なもの。

看護師時代と比べてしまって、他にもできることがないのか。
とだんだん物足りなくなってきました。
友達を見ると、あんな風にやっている、こんな風にやっている。
とキャリアを積んでいるのが目に見えてしまって。

同じくらいの年で、結婚しなかった・子供を持たなかった人達のキャリアを見ていて、ちょっとうらやましくなったりもするし。
結婚しなければよかったではなく、続けられる選択肢はなかったのか。
とも思います。

【30代②】これが次の大きな壁

看護師も並行してできたかもしれないなって思うんですけど、今振り返っても、それをサポートできる体制はなかったし、いろんな場面で角が立つし、家庭としてうまく回らなくなっていた気がします。

看護師に戻って真剣にやると、みんなと同じようにやりたくなる。
私だけ早く帰るということが苦しくなったり、許せなくなったり。

そんな自分だから、どっちにも迷惑をかけてしまう。
切り替えるのにはすごく時間がかかってしまうでしょうが、踏み切れなかったところで、この環境を受け入れるしかない。
そう思います。

これは私に来た次のチャンス。
次の大きな壁だと。

ないものをねだっても仕方がないし、あるものを生かす方法を考えた方が良いと切り替えることにしました。

まだ答えはわからないけれど、長年自分に合っていると感じていた看護師を辞めて、お店のことを、主人の方をサポートすることをやってみようと決めました。

ときに想いが湧いてくることも。
「いつまでも言っても仕方ないじゃん。」と主人に言われながらも、自分の気持ちを都度正直に伝えています。

主人とは、仕事でももちろん毎日顔を見合わせないといけない関係なので、家のこともちゃんと割り切らないといけないんですよね。
でも逆に急ぎのものは、その場で伝えられる利点もあります。

時には、家のことにもっと目を向けられるのでは?
とそれなりに腹も立ちながら(笑)日々頑張っています。

今は、新しい事業を考えているというのもあって、うれしさや楽しさも感じています。

【40代①新事業】木々という意味のブランドを立ち上げる。

お店の前には京都御所があり、今の季節は新緑が美しいと小川さん

今、新しい事業づくりにチャレンジしています。

arbres(木々)。

私の周りにはいつも自然があって、好きだし、木でも花でもグリーンでもプラスチックのものだとしても、自然のものと一緒に融合できるというものがいいなということから名付けました。

機械を使っての作業もあるがそれだけじゃなくて、どこかには自然が関わっているということもあって。

メイン事業の強みでもある、名前入れ、記念・特別なシーンに関わることをと思って考えていますが、ずっとトライ&エラーが続いています。

社長にこういうものをやったらどうだろう、どうかなという提案するけど、
なかなかOKがもらえません。
「社会の仕組みとかわかっていない。そんなポンとだしてできるわけがない。」と。

何かやろうと思えば精査が必要なんですが、私の場合そういうことじゃなく思い付きでやる。
「そんなんはできひんやろう。」と言われても、「そうなんや。」とこんなようすです。

だから様々なところで、学びを得ようと試みています。

先日は社長さんの集まりに行くことにトライしました。

初めて会う方々の集まりに入ることは、私自身で苦手ではないと思っていたのですが、全然入ることが出来ませんでした。
というのも、思っていたのと違いすぎて圧倒されました。
こう、もっとなんていうか平等っていうわけじゃないけど、フラットに話しているのかと思っていたんですが。

実際は当たり前だけど、お仕事につなげないといけないしそういう話ばっかりなんだって。

こんな考え方があるんだなというか。
勉強にもなったけどとても難しいですね。

どれだけ儲けるかということは看護師にはなくて。
「儲けるのが何が悪いの?」ということですよね。
そうだよねと思うんですが、なかなか自分がストンって落ちなかったりとか、思っていた以上に利益追求が当たり前の世界なんだとハッとしました。
覚悟が違うんやろうなって思います。

その後、事業創りを進めると少しずつすごくわかったりとかして、その時には、しんどい作業だったなって思ったんだけど、自社ブランドを一つ立ち上げようとか、こういうことかと今になって思うことがに対してはある。
あの集まりは持って帰れることが多くあったなと。

営業するって買ってもらわないといけない。
選んでもらわないといけない。
準備してきたものも、いらないと言われることもあるし。

もっと選んでもらえる方法が、他にもあるんじゃないかな。
と思えば思うほど、前に進めなくなります。

100点に近いものにしようとするけれど、完璧なものを提供できるわけじゃなく、絶対ですと言えるものではない。

これも今までの私に、経験がないからで「楽天」などにも出すときはきちんと良さを伝えられないといけない。

本当にこれをいいって思ってもらえるのかなって何度も考える。
人に認めてもらうって本当に難しいことだなって感じています。

彩り豊かなドライフラワーを使ったオブジェ。月日が経つと色見も変化していく。
「生きているものならでは。変化を楽しんでもらいたい」と小川さん。

【30~40代③】一緒に頑張れる人との出会い

うちに来てくれている方が、インターネット関係のことは何でもできます。
それだけじゃなく衣服も作れたりして。

若いのにすごく色んなスキルを持っていて、どうやってこんなにもと思います。

私の時は「看護師っていったら看護師!」の時代なのに、今は「これもできますそれもできます。」って言っていて。

大学に行っているわけでもなく、その子は専門学校を出て、学校で学んだ以外にも色んなスキルを持っています。

とりあえず大学って思うから、子供には勉強しなさいって言っていましたが、こんな重宝されるなら、それって学力だけじゃないのかなって思います。

今来てくれている方たちは、クリエイターばかり。

お花ができる子もいるし、台湾人の子はイラストが描けるし。
みんな色んなところで、色々やってきている。

その人の集まりで、だから新しいことできる!
色々できるなって先をイメージできるし、だからやってみようって行動できたこともあります。

主人と2人だったら実現できないこと。

できれば彼女たちのスキルを活かしてあげられる場を創りたいなと思います。
でないと、もったいないなって。

自分たちのブランドをつくっていくこともチャンスだし、発信出来たら待っている人がいるんじゃないかなと思うので、どんどん企画ができたらいいなって。

ひとつのお店から出すのはカラーリングが難しかったりするので、そのもっていきかたや何を押しにするかが、今の課題です。

【これから】メイン事業をこれからの時代に必要なものへ

そして、今のメイン事業もしっかり立てていかないといけない。
どうにか新しい形にしていかないといけないなと思います。
たてやトロフィーとか。

今は褒める文化もなくなっていて、図書券もらったほうが嬉しいなんて声も聞きます。形がなくてもいい時代になりつつあるので、「よかった、がんばったことを形にする意味ある?」って。

10年後、3年後、なくなっててもおかしくないものになっているかもしれないなという危機感がある。

賞の価値が変化していく。
でもあえて形にする。
形にして手に持つ。
褒められたことって形には残らないから、手にもって実感してということをなくさないでほしいと思うんですけど。
記念日や記念をどうにか残したい。

でも結構難しい。
褒めることに目がいかなくなっているし、今は人と比べたりしない。
どっちが一番か。
そういうことにあまり価値がなくなってきていて。
トロフィー置くところもないし、ということも言われちゃったり。

どうにか頑張りには価値があると思ってもらいたい。

デジタルにする?
でも味気ないよねと思ったり。
そういうなんか商品的なことを思えたらいいかな。

どうでしょうかね。
称賛することをやったらいいのにな~って思う。

3代やってきた大事なものを残しつつ、でも決まったものしかなかったりするので、価値をどうつくっていくか、どう新しい形にしていくか。

今は転機だと思います。

看護師していた時にも、人を褒めるのが大事だよってずっと言われてきました。

特に看護師は離職率が高いから、離職させないことが大事。
続けているうちに見えてくるものがあるから、最初の壁であきらめさせないのが大事、だから褒めようと。

その頃、私の中に「積極的に褒める」という意識はありませんでした。
「間違ってる」「なんでできひんの?」と看護学校時代、厳しく指導されてきた為、「えっ、ほめんの?」みたいな。

「ここまでできるんだったら次ここまでやってみようか。」
責めない、ダメと言わない。

結構目からうろこでした。

実際、離職率が減ったことも目の当たりにしました。

任せる、できるを増やしてあげる。
褒めるってすごいことだなって。

ここで学んだことが、今の仕事にもつながっている感じがしています。褒められる人をもっと増やしたいって。

フラットにいろんな形で、たくさんの人々を彩ってあげられたらいいなと思います。

小川金正堂instagram
https://www.instagram.com/ogawakinseido/

arbres(アルブルーズ)  instagram
https://www.instagram.com/arbres_special_days/

Q:くじけそうな時はどのように解消しますか?

苦しいとき、壁にぶつかったときは一旦、受け入れるようにしています。

この時の自分はこんなもんや!

かっこ悪いこともいろんな人に見せないといけないけど。
もっとできそうって言われることもあるけど、こんなもんです!失敗しました!みたいに。

原因は考えるけど、自分を責め切らないようにしています。

あ、ケガした。だから痛いんだな。
痛い、そらケガしているからね。
そのまま治ることもあるし、ちょっとお薬の力を借りたり。
今ばい菌と戦っているし、痛いに決まっているじゃん。
だからけがしないように気を付けよう。

そんな風にして、受け入れて見つめるようにすると次の切り口が見えてくることもあります。

Q:生き方や考え方に影響した本や言葉を教えて下さい。

「思ったほど壁って高くないのに、自分で壁を高くしていることない?」

看護師長のから聞かれたことが今に響きます。

あーせなあかん、あれもせないかん。
思い込んでいる節の方が多くって、周りから見たらそんなの飛べるやろ?
見方を変えたらこんな風になるやろ?って。
そこから見方を変えようっと思うきっかけとなりました。

「その段差はいっこやし、向こうの壁は2個かもしれんけど、いっこ飛んだら向こうの段はいっこになってるんやで。」
そうかと腑に落ちました。

置き方を考えたら、10段の壁やったら1段ずつ10っこ前においていくイメージにしていったらいいんかなって。
飛び箱10段なら飛べないけど、1段ずつ10個なら飛べると思うから。

Q:自分にとってのとっておき時間を教えてください。

子供ともスキー初めてなんですけど、次行こうと予定しています。もともとスポーツが好きで、体を動かすのが好きなので。今は何でもやってみたいと思っています。

■プロフィール
小川 静香さん
子供の頃からの夢だった看護師になり、関西各地でキャリアを積む。
その後、パートナーの家業 小川金正堂内で、新規の事業arbresを立ち上げる。美しいものづくりをモットーとして記念日をより思い出に残るものに、草花をアレンジしたディスプレイを提供している。



編集後記

まずは自分の今を受け入れる事から始まる。
出来ないものは「できない」。そんな潔さ、そして目の前の課題に果敢にチャレンジし続ける小川さんの強さを目の当たりにし、私も頑張らなければと背筋が伸びる思いです。木々が太く大きく育つように、沢山のチャレンジが新たな価値となり、育っていくことが楽しみです。



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